高校の探究 教職員の意識統一へ 課題設定を焦点に議論 帯広三条高 探究推進部設置し(学校 2023-11-10付)
高校の探究・帯広三条高
【帯広発】高校「総合的な探究の時間」の必修化から1年半。地域と協働した取組が学校の新たな魅力創出につながる一方で、探究活動自体に対する教職員の意識統一を課題とする声も聞かれる。ゼミ形式の探究学習を進める帯広三条高校(合浦英則校長)は、校務分掌の一つに探究推進部を設置。校内研修では、活動の導入に当たる「課題設定」に焦点を当てたアプローチを議論することで、教職員の歩調を合わせられるよう努めている。
学習指導要領改訂に伴い、4年度から高校における「総合的な探究の時間」が必修化。探究の見方・考え方を働かせ、自己の在り方・生き方を考えながら、より良く課題を発見し解決していくための資質・能力の育成を目指すものとして、学習の目的を明確化した。
十勝管内では、高校生主体の商品開発や催事の開催などが地域活性化につながり、探究活動が魅力化の一助となった学校もある。一方で、教科学習に力を注ぐ教員の意識を、探究学習にも同様の熱量を込めるよう導くことに苦慮する学校も見られる。
管内の教職員からは「生徒の前向きな変容や校外からの肯定的な声が、教職員の意識に大きく影響する」と、探究活動を通じた教職員の変容を実感する声も。また「探究活動の成果は生徒が社会に出てから実感することも多く、教員への意識変革には長い年月がかかるのでは」「共通テストが重要視される現行の大学入試制度では、探究活動に力を注ぐことが難しい」との指摘も挙がっている。
帯広三条高は、各学年の教員9人で構成する探究推進部を組織。週1回の会議で現状や課題を報告するとともに、学年団の担任会で情報提供しながら全体での共有を図っている。
9月には、1年生におけるゼミ形式の探究活動が本格化する前に、探究推進部の教員が主体となり校内研修を実施した。同校における探究活動の概略や目的を教員間で再確認。教員の役割を「生徒と伴走すること」と位置付け「最終的な判断は生徒。“指導”ではなく“声かけ”する意識を」と呼びかけた。
探究活動の始まりとなる「課題設定」を重要視し、事例をもとに適切な声かけの在り方を協議〓写真〓。5人程度のグループに分かれ、生徒が課題設定に迷った際の声かけに関してアイデアを出し合った。教職員からは「自分にはない発想を得ることができた」「声かけの量と待つ姿勢が大切」「伴走と指導のさじ加減が難しい」などの声が上がった。
探究推進部の西川翔太教諭は、他校と同様、教職員の意識共有を課題と認識しつつ「教員によって探究活動に対する意識が異なっても、生徒の成長を願う気持ちは同じ」と力を込める。「探究活動の目標を共有することで、意義を理解してもらいたい」と、探究活動に対する意識の共有に努める。
今後の校内研修では「情報収集」「整理・分析」などの内容も取り扱う予定だ。
合浦校長は教員向けの通信を発行し、探究活動の意義や目的、望ましい教員の関わりを解説するなど、教員の挑戦を支援する。「どのような活動にも意味があること、考えて行動した過程に意義があることを、教員が価値付けることを大切にしてほしい」と期待する。
(学校 2023-11-10付)
その他の記事( 学校)
帯農高 全日本農ク熊本大会好成績 意見発表大会Ⅰ類 2年連続最優秀 酪農科の多田さんに栄誉
【帯広発】帯広農業高校(佐藤裕二校長)の生徒4人は、10月に開かれた第74回日本学校農業クラブ全国大会熊本大会で好成績を収めた。意見発表大会の分野Ⅰ類では、最優秀賞受賞者を2年連続で輩出。...(2023-11-15) 全て読む
EBE実践校の枝幸高 中高交流会 円滑な接続へ連携強化 研究授業見学や分科会など
【稚内発】枝幸高校(辻芳恵校長)は1日、同校で中高交流会を実施した。宗谷教育局の石山智浩高校教育指導班主査による講演や研究授業の見学、分科会での意見協議を通して、中高における連携強化を図る...(2023-11-15) 全て読む
函館東山小 キャリア教育 地元事業所で職場体験 CS委員が協力 地域とつながり
【函館発】函館市立東山小学校(永井貴之校長)は本年度、地域資源を生かしたキャリア教育に力を入れている。学校運営協議会委員の協力のもと、地元の事業所と連携し、児童に職場体験の機会を提供。6年...(2023-11-15) 全て読む
北海道の新たな未来は 半導体人材育成へ出前講座 北見工高 北大・村山副理事招き
【網走発】北見工業高校(小山彰博校長)で8日、道が主催する半導体人材の育成を目的とする高校生向け出前講座が開かれた。同校電気科の1、3年生が参加。北海道大学副理事の村山明宏教授が来校し、半...(2023-11-14) 全て読む
深川納内小 教育推進校公開研 ICT活用の実践発信 端末で個の考え全体で交流
【岩見沢発】深川市立納内小学校(大脇明子校長)は10月下旬、同校で5年度教育推進校事業公開研究会を開催した。田中昌幸市長をはじめ、空知管内の教育関係者約100人が参加。公開授業や講演会を通...(2023-11-13) 全て読む
わが村は美しく運動・景観研修 日常の景色を意識して 帯農高 開発局職員が講義
【帯広発】開発局等による「わが村は美しく―北海道」運動・景観研修が6日、帯広農業高校(佐藤裕二校長)で開かれた。農業土木工学科1年生39人が受講し、道内および管内における景観の美しさを再認...(2023-11-10) 全て読む
札幌稲雲高 40周年記念講演会 夢実現へ自立型人間に 原田教育研究所社長招き
札幌稲雲高校(坂本浩哉校長)は10月30日、開校40周年記念講演会を行った。放送局が制作した「学校の歩み」を振り返る動画を上映し、㈱原田教育研究所の原田隆史社長が「夢を実現する方法~自立し...(2023-11-10) 全て読む
学習履歴で学び改善へ 道教大附属函館中が研究大会
【函館発】道教育大学附属函館中学校(中村吉秀校長)は2日、教育研究大会をオンライン開催した。研究主題「1人1台端末環境下における指導と評価の一体化~学習履歴の利活用による学びの改善」のもと...(2023-11-10) 全て読む
稚内高創立100周年記念式典 歴史を紡ぎ輝く学校に 地域の発展へ挑戦続けて
【稚内発】創立100周年を迎えた稚内高校(矢橋佳之校長)の記念式典が4日、稚内市総合文化センターで挙行された。全校生徒や同窓生ら約850人が出席。先人が紡いできた歴史を振り返るとともに、同...(2023-11-09) 全て読む
小樽未来創造高 工事現場見学会 建設業の雰囲気体感 トンネル工事や車庫新築等
【小樽発】小樽未来創造高校(松田圭右校長)の全日制・建設システム科1年生30人と定時制・建築コースの4卒生・3卒生の4人は10月中旬の2日間、工事現場見学会に参加した。開発局小樽開発建設部...(2023-11-09) 全て読む