帯広市教委 5年度全国学力等調査 中学校 3教科全国超 小学校国語 全国との差縮む(市町村 2023-11-16付)
【帯広発】帯広市教委は5年度全国学力・学習状況調査の結果を公表した。小学校では2教科とも全国平均を下回ったものの、国語は4年度と比較して差が縮まった。中学校は3教科とも全国平均を上回り、国語で3・0ポイント、数学で2・7ポイントの差をつけた。結果を踏まえ、市教委は校種間連携による授業改善や学習習慣の確立、研修等の充実による指導力向上などに継続して注力する意向を示した。
本年度の調査は、小学校26校の6年生1247人、中学校13校の3年生1151人を対象に実施。小学校は国語・算数の2教科、中学校は国語・数学・英語の3教科の学力を調査した。
小学校は2教科とも全国平均を下回ったが、国語が全道平均を0・3ポイント上回り、全国平均との差が縮小。国語においては学習指導要領の内容「書くこと」、算数では問題形式「記述式」を課題としている。
中学校は3教科とも全国・全道平均を上回った。国語・数学は、学習指導要領の内容および評価の観点・問題形式の全分類区分、英語は問題形式「記述式」を除く分類区分で全国平均を超えた。
正答数の少ない層に含まれる児童生徒の割合は、4年度と比べて小中共に全国との差が縮小した。
市教委は「基礎・基本の定着を目指した授業改善や習熟度別・少人数指導の成果が表れている」と分析している。
質問紙調査の結果をみると、授業内でICT機器をほぼ毎日使用している児童生徒の割合は、小中共に全国平均を上回った。1人1台端末の家庭内利用に関しては、小・中学校全校が可能としていることが分かった。また、近隣校と9年間を見通した教育課程に関する共通の取組を行った学校の割合は小中共に100%だった。
例年、中学生の学力が高い傾向に対し、市教委は「小学校からの取組の蓄積が中学生の学力に結び付いている」との見解を示している。加えて、市内高校への進学を目指す中学生も多いことから、高校受検も日々の学習に励む要因の一つと認識。教科担任制など、複数の目で見守る教育環境が子どもに与える良い影響に着目し、小学校への専科教員加配の継続にも期待を寄せている。
結果を踏まえ①エリア・ファミリーを基盤とした授業改善・学習習慣の確立②専門家等と連携した研修等の充実による指導力向上③タブレット端末の効果的な活用・個別最適な学びと協働的な学びの一体的な充実―の3点を改善策に挙げた。
中でも、専門家等と連携した研修機会に関しては、道教委の科学研究費助成事業を活用した大学教授による協力校3校への研修に加え、新しいかたちの学びの授業力向上推進事業によるICT活用の検証・普及に努める。「児童生徒が学ぶ授業への教師の指導観の転換を図ることが大切」とし、市教委主催の研修講座の充実等にも力を注ぐ。
◆検証改善サイクル確立へ取組推進 PJチームや1校1実践
帯広市教委は、全国学力・学習状況調査や標準学力調査を活用し、学力向上に向けた検証・改善サイクルの確立に力を注いでいる。各校の教務主任らによる「学力向上推進プロジェクトチーム」を5年度に組織し、年2回の協議によって現状や課題、次年度に向けた取組を共有。各校は他校の好事例を取り入れながらも、児童生徒の実態に応じて「1校1実践」の取組を深めている。
市教委は5年度、学力向上・体力向上・生徒指導の3分野において、各校の代表者によるプロジェクトチームを編成。学力向上に関しては、市教委が各校の現状や課題を協議する場を年2回設け、中学校区をもとにした14のエリア・ファミリーでの共通理解や学校間の情報共有を図っている。
全国学力・学習状況調査が4月に行われ、5月には初会合を開催した。各校が学力に関する自校の課題や解決に向けた方策をシートにまとめることで現状を把握し、授業改善に役立てる「1校1実践」の様式を作成する前に、自校採点の結果等をエリア・ファミリー内で共有。小・中学校での学習規律等の統一や共通の課題設定など、活発な意見交流が行われた。
12月には小学校3、5年生、中学校2年生を対象に、教科書出版会社が提供する標準学力テストを実施する。
小学校5年生、中学校2年生は次年度に全国学力・学習状況調査を受けるため、市教委は「継続的な分析への活用にも有効」としている。
また、標準学力調査、全国学力・学習状況調査を踏まえたエリア・ファミリーでの協議によって、中学校進学者の学力や生徒の特徴に対する理解にもつなげる見通しだ。第2回会合は5年度末に実施し、各校が6年度の取組を具体化していく。
市教委は「小学校間、小・中学校間で連携を図る機会とし、分析をもとに学力向上に向けたサイクルができるよう、取組を継続していきたい」と話している。
(市町村 2023-11-16付)
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