全道高校教育改善研 道教委所管事項〈下〉
(道・道教委 2023-12-19付)

◆特別支援教育課

▼特別支援教育の充実について

 中学校の特別支援学級に在籍する生徒の約4割が高校へ進学していることや、昨年12月に公表された文科省の「通常の学級に在籍する特別な教育的支援を必要とする児童生徒に関する調査」においては、学習面または行動面について著しい困難を示す生徒の割合が、高校では約2・2%となっていたことなどから、どの学校においても特別な教育的支援を必要とする生徒が在籍していることを前提に、全ての教員の特別支援教育に関する専門性向上を図ることが求められている。

 5年5月31日付教特第283号「教員等の特別支援教育に関する専門性の向上について(通知)」を踏まえ、各学校においては校内研修の充実を図っていただくようお願いする。

 校内研修の実施に当たっては、当課が実施した研修会のオンデマンド配信や、道立特別支援教育センターの「特センライブラリ」、国立特別支援教育総合研究所の「NISE学びラボ」などの積極的な活用をお願いする。

◆総務課

▼教職員の不祥事防止

 11月末現在の懲戒免職処分は、わいせつ行為によるものが8件(うち道立学校2件)、給与の不正受給によるものが1件(道立学校)、金銭事故によるものが1件(市町村立学校)、飲酒運転によるものが1件(市町村立学校)であり、既に免職処分は11件となっており、極めて憂慮すべき状況。

 特に、わいせつ行為については、全国的に教職員が児童生徒へのわいせつ行為により懲戒免職処分を受ける事案が後を絶たない事態を受け、4年4月に「教育職員等による児童生徒性暴力等の防止等に関する法律」が施行され、被害を受けた児童生徒等の同意や、当該児童生徒等に対する暴行、脅迫等の有無を問わず、刑法上の性犯罪の対象とならない行為も含め、児童生徒性暴力等は全て法律違反とされ、道教委の懲戒処分においても、厳正に対処している。

 児童生徒性暴力は、児童生徒の権利を侵害するとともに、児童生徒に対し生涯にわたって回復し難い心理的外傷その他の心身に対する重大な影響を与えることから、各学校においては、法の趣旨を踏まえ、わいせつ事故の防止に向けた取組を進めていただきたい。

◆教職員育成課

【教職の魅力啓発事業】

 教員の確保は、本道の教育行政上の最重要課題であり、当課においては、高校生段階の早期から、教員や子どもたちとの交流、学校現場の実践に直接ふれる機会を通して、教職の魅力ややりがいを実感することができる取組を実施。

 学習会型の「教員養成セミナー」には、5年度は2月までの計6回で、前年比200人増の81校1300人が参加予定。

 実習型の「小・中学校インターンシップ」には、4年度は前年比260人増の44校650人が参加、5年度は私立高校の協力を得て、事業を拡充し実施中。

 各学校においては、事業への理解と高校生の参加や教員の協力に力添えをいただいていることに、厚く感謝を申し上げる。

 これまで教員養成大学への進学実績のある高校においては、特に、自校のキャリア教育の一環として事業を活用いただきたいと考えており、本年度、自校の生徒が事業に参加していない高校においては、次年度の参加を検討願う。

 また、自校の生徒が参加している学校においては、次年度以降も、学習会型の「教員養成セミナー」と実習型の「小・中学校インターンシップ」両事業への参加を検討願う。

【大学院への研修派遣】

 大学院研修派遣については、各地域や学校の指導的な役割を果たすことができる人材、具体的には、派遣修了後に学校管理職や指導主事へのキャリアアップが期待できる人材の育成を目的に実施し、直近3年間の派遣者は、34人(小学校18人、中学校12人、高校1人、特別支援学校3人)。

 道教育大学教職大学院への派遣については、次年度から、従前のキャンパスへの通学修学(キャンパス近郊の学校への人事異動が伴う派遣)に加え、遠隔修学(人事異動せず、現在の所属校からの派遣)が実施される。

 道教育大学では、冬季休業中の12月26日に、現職教員向けに教職大学院について周知・啓発を図るセミナー(遠隔・集合ハイブリッド)を開催予定。各学校に案内があった際は、キャリアアップを期待できる教員等に積極的に周知願う。

【新たな研修制度】

 本年度から実施となった「新たな研修制度」については、各学校において、年度当初から、本制度の趣旨や考え方に関わる教員等への周知・啓発や一人ひとりに寄り添った受講奨励を行っていただいていると承知しており、年度当初からの本制度の円滑な実施に向けた理解と協力に感謝している。

 本年4月送付の「5年度教員等の研修履歴の記録の手引」においては、受講奨励は少なくとも年1回実施することとしており、対話に基づく受講奨励に使用した前期分研修履歴記録については、先日、教育局を経由し市町村立高校定時制を含めた道立高校165校(約80%)から当課へ提出。

 後期分研修履歴記録については、来年3月以降に教育局へ提出いただく予定としており、提出期日は別途通知で知らせる。

 対話に基づく受講奨励については、研修履歴を記録・管理すること自体を目的化しないよう意識しながら、あくまでも教員の新たな学びに向かうための「手段」として研修履歴を活用し、教員と校長が対話を繰り返していく中で、教員が自らの研修ニーズと、自分の強みや弱み、学校で果たすべき役割などを踏まえながら「学校で期待される役割」や「学びを深めるべき分野」などについて、校長と教員が共に考える場としていただくようお願いする。

 道教委では、文部科学省が構築している「研修受講履歴記録等システム」を6年度から利用することとしており、来年4月からの稼働に向け、現在、提出いただいた前期分受講履歴の取込み等の事前準備を進めるほか、同時に導入される大学等が作成する研修コンテンツを一元的に提供する教員研修プラットフォームと合わせて、今後、マニュアル等を整備の上、年度内に学校向け説明会を実施予定であり、引き続き協力をお願いする。

◆教職員課

【授業時数の見直し】

 5年10月31日付教職第1440号において、「各学校における授業時数や学校行事の在り方の見直し等について」通知。

 文部科学省通知を踏まえ、全ての学校が授業時数について点検した上で、6年度以降の教育課程の編成に臨むこととし、高校では、1単位時間を50分とし、35単位時間の授業をもって1単位として計算することが標準であることに留意して、計画的に授業時数を管理していただきたい。

 可能な場合は、学校の実情を踏まえ、本年度途中からでも改善を進めていただきたい。

【学校行事の在り方の見直し】

 学校行事では、地域との連携が多く組み込まれている場合があることから、改めて働き方改革の必要性と意義を地域・保護者へ発信するとともに、学校運営協議会等を通じて共通理解を図った上で、より充実した学校行事にするため行事間の関連や統合を図ることなど、学校行事の精選・重点化を図っていたいだきたい。

 コロナ禍に行われた活動の工夫や見直しの内容を踏まえて、単にコロナ禍以前の姿に戻るのではなく、それぞれの教育的意義を改めて捉え直した上で、真に必要な活動を中心にその在り方を検討していただきたい。

【北海道アクション・プラン(第3期)の策定】

 現在、北海道アクション・プラン(第3期)の策定に向けて作業を進めている。今後、パブリックコメントの意見なども踏まえて、今年度末の策定を目指しているので、引き続き、校長協会等の協力をお願いする。

【スクールロイヤーの活用】

 弁護士への相談は敷居が高いものではない。難しく考えず、トラブル対応の一つとして気軽に活用を検討いただきたい。

◆道立教育研究所

【研修事業】

▼管理職対象の研修講座

 本年度の研修講座については、個別最適な学び、協働的な学びの充実を通じた「主体的・対話的で深い学び」を目指した研修を企画し「新たな教師の学びの姿」を実現するための研修を実施している。

〈管理職対象の研修講座の日程〉

▽学校経営におけるアセスメントとファシリテーション=6月9日(遠隔型研修Ⅰ)、9月8日(遠隔・集合選択型研修Ⅱ)、10月18日(遠隔型研修Ⅲ)

▽組織力を高める校長のマネジメント=8月25日(遠隔・集合選択型研修Ⅰ)、11月22日(遠隔型研修Ⅱ)

▽学校教育の質を高める働き方改革=6月6~19日(オンデマンド型研修)、6月20、21日(遠隔型研修Ⅰ)、9月20、21日(遠隔型研修Ⅱ)

▽協働性、同僚性を高める管理職のマネジメント=10月2日(遠隔型研修)

▽学び続ける教員を支える教員研修=5月31日(遠隔型研修Ⅰ)、9月13日(遠隔型研修Ⅱ)

▽スクールロイヤーから学ぶ危機管理体制の在り方=10月6日(遠隔・集合選択型研修)

▽組織を活性化するヒューマンリソース・マネジメント=6月1~14日(オンデマンド型研修)、7月12日(遠隔型研修)

▽組織開発につながる校内研修=5月23日~6月6日(オンデマンド型研修)、6月27日(遠隔型研修)

▽メンター研修による若手教員の育成=7月14日~8月31日(オンデマンド型研修)、9月1日(遠隔型研修)

 全ての研修について、受講者の積極的な参加で所期の目的を果たすことができた。

〈各研修における受講者の主な感想〉

▽学校経営におけるアセスメントとファシリテーション=学校経営の改善のための評価の観点を理解することができた

▽組織力を高める校長のマネジメント=自校の教育実践を根本から見直すことができたとともに、他校の校長との交流によって学校経営に向けた活力が得られた

▽学校教育の質を高める働き方改革=研修で得たアイデアを取り入れ、より協働性を高め効率的で働きやすい学校づくりにつなげていきたい

▽協働性、同僚性を高める管理職のマネジメント=管理職として、心理的安全性の確保に向けて学校経営を進めたい

▽学び続ける教員を支える教員研修=主体的に学び続ける教職員集団をつくる手立てや環境づくりの具体について理解できた

▽スクールロイヤーから学ぶ危機管理体制の在り方=外部の専門家やネットワークの活用の重要性を整理しながら危機管理マニュアルを見直したい

▽組織を活性化するヒューマンリソース・マネジメント=自校の組織を客観的に分析して現状を把握する方法や、課題に応じた解決の手だてが明確になった

▽組織開発につながる校内研修=学校課題について合意形成を図り、組織的な校

内研究を推進したい

▽メンター研修による若手教員の育成=データや事例に基づく講義から、メンター研修の具体的な実践方法について理解が深まった 次年度の研修講座については、既存の手法や考え方を捉え直すことで教育実践を再構成・変革することを目指す探究的手法を一部の管理職研修に取り入れたり「令和の日本型学校教育」を担う教師に求められる、特別な配慮や支援を必要とする子どもへの対応およびICTや情報教育データの利活用等に係る研修を新規に設定したりするなど、学校経営研修が一層充実したものとなるよう、計画を進めている。

▼探究的な学びの充実に向けた授業改善(高校)

 6月から11月まで約半年かけて実施した本研修講座のうち、国語、地理歴史・公民、数学、英語の遠隔型研修Ⅱが、11月14日から11月17日の日程で実施、終了した。理科の遠隔型研修Ⅱは、来年1月22日に実施する予定。

▽地域連携共同企画支援研修

 本研修は、教育団体(管内の研究会等)や学校単位で、道研職員を講師として集合形式や遠隔形式で研修を行うもの。実施の2ヵ月前までに申し込みを行うもので、本年度については12月中まで申し込みを受け付けている(現時点での受付は遠隔による研修のみ)。

 本年度の高校に係る本研修については、11月10日現在で3つの教育団体(研究会)から教科教育や生徒指導に関する研修の依頼をいただいた。本年度の残りの期間および次年度においても、学校経営や教科指導、生徒指導等に関わる研修として活用いただければと考えている。当研究所のウェブ上に案内を掲載しているので参照願う。

▼遠隔研修の受講

 多くの高校から先生方に受講いただき感謝。一方で、校内事情等による急な欠席連絡が増えている。やむを得ない欠席に対しては、事情を勘案の上、理由によって後日の動画受講等のフォローアップを実施し、研修受講扱いとしているが、欠席となると、受講者の研修の成果の校内への報告や普及等が十分行えなくなることが危惧される。

 研修講座の欠席は、急病等限られたものとし、可能な限り出席を検討いただくよう特段の配慮を願う。

【研究事業】

▼プロジェクト研究

 探究的な学びの充実に向けた授業改善(高校)の研修講座の受講者とともに、研修と関連させた当研究所のプロジェクト研究として、探究的な学びの充実に資する実践事例集を共同開発している。

 授業参観などの協力をいただいている10校(白老東高校、登別明日中等教育学校、浦河高校、奥尻高校、羽幌高校、礼文高校、置戸高校、上士幌高校、釧路湖陵高校、白糠高校)を中心に、受講者ならびに所属校には、本研究に理解、協力いただいたことに感謝。

 本事例集については、探究的な学びの充実を図るために、当研究所のウェブ上で公開し、全道の高校への紹介、次年度の高校向けの教科研修講座での活用等を図る予定。また、多くの教諭に活用していただき、意見や感想を収集する予定。

 当研究所のウェブページでは、これまでのプロジェクト研究成果も掲載している。今後とも、各学校において教職員に周知するなどして活用願う。

(道・道教委 2023-12-19付)

その他の記事( 道・道教委)

道教委 5年度就業状況調査 就職者 休日取りやすく 企業側の回答傾向と相違

表  道教委は、5年度就業状況調査の結果をまとめた。離職者が、早期離職を防ぐために会社が取り組んだら良いと思うものについて「休日を取りやすくする」が10・7%で最多。一方で、企業側は、早期離職防...

(2023-12-20)  全て読む

釧路局 ASIRUオンラインPG 学びのプロセス明確に NITS動画等で意見交換

釧路教育局・ASIRUOnlineProgram  【釧路発】釧路教育局は11月中旬、「ASIRU Online Program」をオンライン開催した。管内の幼稚園、小・中学校、高校や教育委員会職員を対象とした独自事業で、事前視聴した教職員...

(2023-12-19)  全て読む

石狩局 チャンネル・キャリア第3回 看護師を目指すには 現役職員がやりがい等紹介

 石狩教育局は6日、チャンネル・キャリア第3回をオンライン開催した。独自事業の石狩WebチャンネルPlus+に係るもので、柏葉脳神経外科病院の更谷和樹氏と宇野夢叶氏が講話。男性看護師と女性看...

(2023-12-19)  全て読む

道内 対策済み94・3% 通学路の交通安全取組状況 年度末までに完了を 文科省

 文部科学省が15日に発表した通学路における合同点検の取組状況(9月末時点)によると、札幌市を含む道内で交通安全上の対策が必要とされた延べ1845ヵ所のうち、94・3%で対策が完了したことが...

(2023-12-19)  全て読む

どさんこプラザで高校生チャレンジ 地場産の独自商品PR 道立6高が企業と連携し開発

高校生チャレンジinどさんこプラザ  道教委は15日から2日間、札幌駅構内西改札口付近の北海道どさんこプラザ札幌店で「高校生チャレンジinどさんこプラザ」を開催した。道立高校6校が企業と連携して開発した商品6種を販売し、更別農...

(2023-12-19)  全て読む

日高局 独自に若手職員向け勉強会 仕事の基礎身に付けて 講話やプレゼンで資質向上

日高局若手職員向け勉強会  【苫小牧発】日高教育局は今秋、全6回にわたる「若手職員向け勉強会」を独自に開催した。新採用職員ら10人を対象に、管理職や先輩職員が講話し、仕事の基本や心構えなどを伝えたほか、若手職員による...

(2023-12-19)  全て読む

4年度高校等の就業体験 コロナ禍明け回復傾向 実施時期調整に課題 道教委

 道教委は4年度における全日制高校・中等教育学校のインターンシップ実施状況をまとめた。実施校数は179校で、実施率は前年度と比べて17・3ポイント増加するなど回復傾向がみられた。コロナ禍での...

(2023-12-18)  全て読む

胆振局 働き方改革中間報告会 地域人材活用し外部化を 伊達東小など3校が実践発表

胆振教育局働き方改革中間報告会 【室蘭発】胆振教育局は5日、管内働き方改革推進事業の中間報告会をオンラインで開催した。各市町の教育委員会から14人、小・中学校から約30人が参加。推進校の伊達市立東小学校など3校が実践発表...

(2023-12-18)  全て読む

道立特別支援学校の冷房整備 7年度稼働 8管内25校 肢体不自由、知的障がい優先

 道教委は、冷房設備の整備に着手予定の道立特別支援学校をまとめた。比較的夏季の気温が高い8管内の地域から、肢体不自由や知的障がいの学校25校を対象校に選定。これら以外の特別支援学校に関しては...

(2023-12-15)  全て読む

道教委 特支教育課程改善の手引 自立活動等の留意点整理 指導実践や評価の事例も

 道教委は「5年度特別支援教育 教育課程改善の手引」を作成した。個別の指導計画のPDCAサイクルをもとに、自立活動の指導ポイントなどを整理。児童生徒個々の実態把握から具体的な指導内容を設定す...

(2023-12-15)  全て読む