【解説】札幌市6年度予算案
(解説 2024-01-31付)

 秋元市政3期目初の本格予算となった札幌市の6年度当初予算案。アクションプランに掲げた事業への重点配分に努めた結果、「過去最大級の予算規模に仕上がった」(財政局)と話す。

 教育関連事業をみると、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカー活用、不登校児童生徒の新たな学びの場整備や、部活動改革推進費など、教育課題の対応に向けた適切な事業を措置。中でも、いじめ対策・自殺予防に係る関連事業費をはじめアクションプランを超える予算を確保する事業もあり、市教委の努力がうかがえる。

 予算規模も、職員費を含めた教育費は1470億2600万円で、一般会計に占める構成比は11・8%。職員費に関する算定方法が若干異なるため単純比較はできないが、他の政令市の水準に近づきつつある。

 冷房設備整備や学校施設の新改築、増築、長寿命化など、不可欠な施設整備への配分も手厚い。市街地再開発を含めた市全体の施設整備関連予算には「まちづくり推進基金」を充当。当初予算で約150億円を取り崩し、一般財源の支出を極力抑えた。財政局は「市民生活を支え、未来への投資のため、必要な経費。財政的に苦しいが、辛抱しなくては」と理解を求める。

 市の財政を苦しめる一因に、年々増大する扶助費がある。国の補助とともに多額の一般財源を要する各種手当は、市の政策に制限をかけており、教育施策も例外ではない。実際、物価高騰で苦しいやりくりを迫られる学校現場からは、一般財源を原資とした学校運営管理費の増額を求める声は根強く残る。

 財政局によると、物価高騰も「プラン策定時を上回るペースで進んでいる」という。アクションプランに基づく施策を着実に実行する予算繰りが一層求められることになりそうだ。

(解説 2024-01-31付)

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