【解説】生徒主体の防災教育広がる
(解説 2024-01-24付)

 令和元年9月に札幌市内の北海きたえーるで開催された「世界津波の日」高校生サミットでは、44ヵ国の高校生394人が集い「イランカラプテ宣言」を採択。過去の教訓を伝承し、災害への備えと迅速な避難、当事者・支援者の双方の視点を持って社会貢献に取り組むことを誓った。

 サミット開催を契機として、道内各地で防災教育の輪が広がる。高校生による防災ボランティア団体「BLOSSOM」は防災意識を啓発するイベントの開催や支援活動に積極的に取り組んでおり、高校生によるネットワークが形成されつつある。

 道教委はサミットの成果を継承し「道高校生防災サミット」を毎年度開催。昨年10月の会議には全道各地の高校生約190人が防災教育の実践を発表したほか、SNSを活用して情報を発信している。

 学校の取組は、津波、地震、火山噴火と地域の課題に応じた様々な特色が見られる。函館水産高校では立体モデルを作成して津波到来時の被害を予想する独自の教育プログラムを展開。伊達開来高校は有珠山の噴火に備えた防災地図を、苫前商業高校はクマのハザードマップを作成するなど災害を「自分事」として捉え、地域に貢献する教育活動が行われている。

 一方、防災教育は専門家である防災関係機関の知見、地域との協力が不可欠だ。担当教員の異動で取組が中断する例もあり、連携体制の構築と形骸化を防ぐ不断の見直し、教育課程上の位置付けが必要となる。

 今般の能登半島地震の被災地では、親元を離れ生徒の集団避難が始まった。期間は2ヵ月程度を見込んでおり、学びの保障や心のケアが焦眉の課題となる。予測不可能な自然災害に備えた平時の防災教育と、有事の管理体制への支援が求められている。

(解説 2024-01-24付)

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