4個人7団体に栄誉 十勝局 管内教育実践表彰等
(道・道教委 2024-03-12付)

伝達式
表彰式の様子

 【帯広発】十勝教育局は2月26日、幕別町百年記念ホールで5年度道教育実践表彰および管内教育実践・活動表彰に係る表彰式を執り行った。受賞者等が一堂に会する式典は6年ぶり。管内教育実践・活動表彰においては個人4人、団体7者が受賞。新山知邦局長が表彰状を手渡し、功績をたたえた。

 管内教育実践・活動表彰において、個人表彰は、上垣陽一教諭(鹿追町立鹿追小)、山根美早教諭(鹿追町立瓜幕中)、長岡行子氏(帯広三条高・地域コーディネーター)、森志美江教諭(大樹高)の計4人。団体表彰は、中札内村立中札内小学校、池田町立池田中学校、帯広市立大空学園義務教育学校、帯広工業高校、中札内高等養護学校、更別村コミュニティ・スクール委員会およびみんなの学校応援団、足寄町教委の計7団体。

 新山局長は受賞者による今日的な教育課題の解決に資する取組に「管内のみならず全道に誇れる十勝の教育実践として、今後の新たな道しるべになるものと確信している」と強調。「受賞を契機に、さらなる実践を積み重ね、引き続き、管内教育の充実・発展に向けて力添えを」と求めた。

 瀬越義範教育支援課長が受賞者の実践活動を紹介したあと、新山局長が受賞者の功績をたたえて表彰状を手渡した。

 引き続き、管内教育委員会連絡協議会の菅原康博副会長がオンラインを通じて祝辞。「皆さまのこれまでの実践は、管内はもとより、北海道の教育の発展に資するものであり、他の学校や団体の取組に大いに示唆を与える」と称賛し、さらなる取組の充実や発展に期待を寄せた。

 このあと、受賞者を代表して帯広市立大空学園義務教育学校の村松正仁校長があいさつに立ち「このたびの受賞を励みとし、子どもたちを真ん中に学校教育と社会教育が手を携えて、全ての子どもたちの可能性を最大限に伸ばせるよう、一層の研鑚を重ね、それぞれの活動に引き続き精進していく」と述べた。

 管内教育実践・活動表彰を受賞した個人、団体の功績概要はつぎのとおり。

【個人】

▼上垣陽一教諭(鹿追町立鹿追小)

 児童の自己肯定感や興味・関心を高めることによって、児童が主体的に学習する取組を積み重ね、大きな成果を上げている。

 特に、3年度から校内の学力向上推進委員会で、全国学力・学習状況調査の分析から、学力低位の子どもの基礎的・基本的な学習内容の定着を図る「放課後チャレンジタイム」を計画するなど、中心的な役割を果たしている。

 また、児童理解をもとに、児童が責任を持って生き物を育てる飼育や、創造性豊かな発想をもとに、より良い人間関係の構築に向けた学級活動の取組等、児童の自主性を高める活動を展開し、管内教育の発展に寄与する実践として高く評価されている。

▼山根美早教諭(鹿追町立瓜幕中)

 外国語によるコミュニケーションに係る資質・能力の育成を図るために、発達段階に応じた簡単な語句や文を用いて即興で伝え合う活動を重視した授業展開の工夫を推進し、大きな成果を上げている。

 特に、小・中学校の英語における交流授業の実施や、鹿追高校の入学者選抜と連動した第3学年における自己アピール文の作成および発表機会の創出など、小中高12年間を見通した英語教育の充実について、中心的な役割を果たしている。

 また、生徒の実用英語技能検定の受検を推奨する等、生徒一人ひとりの英語でコミュニケーションを図る資質・能力を高める個別指導等を行い、管内教育の発展に寄与する実践として高く評価されている。

▼長岡行子氏(帯広三条高・地域コーディネーター)

 3年度から、道教委指定事業である道CLASSプロジェクト(地学協働活動推進実証事業)に係る帯広三条高地域コーディネーターとして、生徒や教職員と自治体・企業等をつなぎ、課題探究型のキャリア教育の推進の充実に資するとともに、校外での活動「麦音Deフェス」や「おびひろ動物園フェス」の中心的な役割を担い、探究活動を支えた。

 生徒の多様なニーズに対応しつつ、地域と連携・協働したキャリア教育の発展に寄与する実践として高く評価されている。

▼森志美江教諭(大樹高)

 長年にわたり、家庭科の教諭として、地域の人材を活用した授業に取り組み、主体的に家庭や地域の生活を創造する能力の育成に尽力するとともに、家庭科における教科指導を推進する中で、地域の様々な人材を把握、活用し創意工夫ある教育活動を展開してきた。

 特に、担当の科目「家庭基礎」「生活と福祉」「子どもの発達と保育」「フードデザイン」において、地域の人材を招いたり、地域の関係機関に生徒が出向いたりして、地域の方と生徒が直接触れたり、話を聞いたりするなど地域人材の活用を図った取組は他の模範となっており、本道ならびに管内の地域と連携した教育の振興と充実に大きな成果を上げている。

 また、大樹町給食センターと連携した高校生考案レシピによる給食の提供、企業と連携して町が推進するロケットにちなんだ「ロケットパン」の開発、さらに大樹町教委と連携した開放講座においては、毎年講師として協力することによって、町の活性化や生涯学習の充実に大きく貢献するとともに、その実践は高く評価されている。

【団体】

▼中札内村立中札内小(牧伊津子校長、児童数203人)

 同校は、児童の学力向上を図るため、各種調査で明らかになった自校の課題の改善に向けた組織的・計画的な取組を推進し、大きな成果を上げている。

 特に加配教員を活用した習熟度別学習による児童の理解度に合わせた指導体制の構築や、放課後教室による児童一人ひとりに寄り添った手だての充実と授業外の学習時間の確保に向けた実践等、組織的な学力向上に係る取組の充実に努めている。

 また、単元の評価の観点を明確に位置付け、指導と評価の一体的な充実を図った授業改善に向けた課題解決型の校内研究に取り組んでおり、管内教育の発展に寄与する実践として高く評価されている。

▼池田町立池田中(中村俊緒校長、生徒数101人)

 同校は、生徒の学力向上を図るため、各種調査で明らかになった自校の課題の改善に向けた組織的・計画的な取組を推進し、大きな成果を上げている。

 特に、単元の学習において身に付けさせたい力などを生徒と共有する学びガイドを活用した授業改善、加配教員を活用した習熟度別指導や放課後学習等、生徒の実態を把握し、目標を明確にした学力向上に係る取組を全教職員で行っている。

 また、本への興味・関心を高めるポップの作成や生徒のリクエストに基づく本の購入等、学校図書館の活性化を図る取組を推進しており、管内教育の発展に寄与する実践として高く評価されている。

▼帯広市立大空学園義務教育(村松正仁校長、児童生徒数491人)

 同校は、4年度から十勝管内初の義務教育学校としてスタートし、義務教育9年間の学びと育ちの連続性を重視した取組を推進し、大きな成果を上げている。

 特に、義務教育9年間を見通した教育課程の編成および充実を図る検証改善サイクルを確立するとともに、第5学年からの教科担任制の導入による教科の専門性を高めた授業改善等の取組の充実に努めている。

 また、生徒指導の4層に係る対応の在り方について、全教職員の共通理解を図るとともに、不登校児童生徒の学習機会を確保するステップアップルームを設置するなど、組織的な生徒指導の取組を推進し、管内教育の発展に寄与する実践として高く評価されている。

▼帯広工業高(中島泰彰校長、生徒数447人)

 管内唯一の工業高校として、即戦力となる技術者を育成するなど、行政や企業、産業界等と協働しながら、地域創生に資する人材を育成している。

 特に、行政や企業等と連携した取組として、例えば環境土木科の課題研究(3年)では、開発局帯広開発建設部や地域の建設業の複数の企業から協力を得ながら、生徒は地域の都市計画や施工管理などに関する具体的な課題を設定し、実際に現場に足を運ぶなどフィールドワークを通して、土木に関する課題解決に向けた学びを深めるなど、具体的な地域課題を踏まえた探究的な学習を推進している。また、協力を得た関係機関等を招いて課題研究発表会を開催し、探究学習の成果を発表するとともに、つぎの課題解決に向けた取組につながる気付きや学びを得られるよう工夫している。

▼中札内高等養護(太田千佳子校長、生徒数115人)

 同校は、道立学校ガバメントクラウドファンディング事業のモデル校として、「日本一美しい村連合」に加盟している中札内村の特色を生かし、花の植栽を中心とした活動を通した「花と緑の村づくり」に貢献している。

 特に、村の活性化に向けたまちづくりテーマ「みんなでつくる自然と笑顔になるまち・なかさつない」のもと、同校農業科の生徒が春から夏にかけて畑や温室で育てた約30種類の花を村民と一緒に植栽活動を行ったり、植物の学習会や村民向けの講演会、ワークショップを企画したりすることで、村や村民とのつながりを持ちながら、生徒の村づくりへの参画意識を高め、村を支える次世代を育成するなど、地域にある学校としての役割を大いに果たしている。

▼更別村コミュニティ・スクール委員会およびみんなの学校応援団(吉田昭一委員長、会員数11人、登録数71団体・個人)

 元年度、学校運営協議会の設置に伴い、更別村コミュニティ・スクール委員会およびみんなの学校応援団(地域学校協働本部)を組織するとともに、2年度にはコミュニティ・スクールと地域学校協働活動の総括的な推進役として専任CSコーディネーターを配置し、地域と共にある学校づくりのための推進体制を構築した。

 村コミュニティ・スクール委員会において、目指す子どもの姿を学校と地域で共有するため「村コミュニティ・スクールアクションプラン」を学校運営協議会のほか児童会や生徒会での熟議を踏まえて策定し、学校、子ども、家庭、地域の役割を明確にした取組を進めた。 

 また、地域住民が学校を応援する「みんなの学校応援団」において、各学校が進める「社会に開かれた教育課程」の実現に向け、学校と一体となり子どもたちの成長を支えている。

 両団体の取組は、コミュニティ・スクールと地域学校協働活動の一体的推進が図られており、管内教育の発展に寄与する実践として高く評価されている。

▼足寄町教委(東海林弘哉教育長)

 長年にわたり、町民ボランティアと協働で、乳幼児の保護者に対して年10回、子育てに関する学習会や実習、会員相互の交流する機会である「すくすく」を実施するとともに、子育て世代の地域住民と協働で作成している子育て支援情報紙「えんぜる」の発行、月1回リサイクルの日として町民ボランティアと乳幼児の衣類等を無償で提供する場を運営している。

 家庭教育支援や子育て支援に関する取組を組織的かつ継続的に推進しており、管内教育の発展に寄与する実践として高く評価されている。

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鹿追小・上野教諭
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