【解説】多様なニーズ 対応した支援を
(解説 2024-03-22付)

 医療的ケア児とその家族に適切な支援を行う国・自治体の責務を明文化した医療的ケア児支援法が3年9月に施行。医療技術の進歩でたんの吸引や経管栄養などが必要な医療的ケア児は増加し、各学校においては児童生徒の障がいの状態に応じた合理的な配慮を行う努力が続けられている。

 一方、総務省が今月8日に発表した調査によると、就学予定の医療的ケア児の把握が遅れた事例、就学時に医療的ケア実施者を確保できず様々な場面で保護者の付き添いが発生した事例があり、該当者の把握や医療的ケア実施者の確保に課題が生じていることが浮き彫りとなった。給与水準の低さ、勤務環境に対する不安、小学校勤務という働き方の認知度不足なども看護師の確保が困難な要因にもなっている。

 「医療的ケア児は特別支援学校で受け入れることが一般的」と認識している教育委員会もあった一方、福祉部局など関係部局との連携や独自の調査によって対象者を確実に把握する教育委員会や、付き添いが生じないよう看護師の採用・配置を工夫している教育委員会もあり対応に差も。

 災害発生への備えも課題として浮上。必要な物品の備蓄や人工呼吸器の非常用電源の確保が行われていない小学校もあったことから、総務省は文部科学省に対し、関係部署等と連携した医療的ケア児の早期把握や保護者への早期のアプローチを促進するよう改善を要請した。

 医療的ケア児支援法の施行後2年半が経過したが、学校の支援体制は十分ではない。看護師の不足は地方部で特に大きな課題となっており、宿泊学習や登下校の多くは保護者が付き添っている状況にある。多様なニーズに応じた支援の充実や家族の負担軽減に向けた道教委のモデル事業の展開に期待がかかる。

(解説 2024-03-22付)

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