教職員の協力を高める学校づくり〈№136〉 横たわるジェンダー問題 女性管理職が創造する学校①(教職員の協力を高める学校づくり 2024-04-12付)
札商付属入学式
今号から4回にわたり「女性管理職が創造する学校」と題して記述します。
昨年暮れに空知女性管理職の会・樹輪の会(会長・菊地佳子岩見沢市立清園中校長)の「女性管理職の時代」と題した講演会に招かれ、一般の女性教職員も参加する中、和やかで楽しい時を過ごさせていただきました。
女性管理職の登用を巡っては、道内の教育関係者から依頼を受けて研修会に出向くことが年数回ありますが、不確実性の高い不透明な時代に突入している現代であるからこそ、女性管理職が切望されていると理解しています。
本シリーズは、なぜ女性管理職の登用が求められているのか。その時代的背景と根拠、社会的課題、女性が持つ固有の人間力の素晴らしさなどについて執筆します。
道内における女性管理職の現状について、道教委が公表している女性活躍推進法第19条第6項に基づく取組の実施状況(道立学校職員および市町村立小・中学校職員等)をみると、平成28年度の女性校長および副校長・教頭の割合は全体の7・6%、令和3年度の女性校長は8・2%、副校長・教頭は10・8%、直近の5年度の女性校長は8・8%、副校長・教頭は13・0%となっており、全国的にみても低い水準となっています。
女性が管理職を目指すに当たって子どもの養育や祖父母の介護などの家庭的要因などワーク・ライフ・バランスや、いまだ男性優位と言われるわが国の組織文化による職場の中における女性教員の位置付けなど、男女平等と同権を取り上げる学校現場でありながらも、ジェンダーの問題が存在しています。
数年前からの相談事例ですが、女性校長が赴任早々「〇〇校長は女性なので、職員を取りまとめることができるのか」と教職員から問われ、またある女性校長は「足の先から頭まで眺められ、女性に何ができるのか」と露骨な態度を取られたと語っていました。
さらに現任の男性副校長、教頭から「今の時代、管理職登用は女性優先であり、なかなか上に上がることができない」など不適切な発言を耳にしたこともあり、「〇〇先生は校長の経営方針を受け、教育目標の具現化に向けてどのような課題を持ち、尽力していますか」「愚痴を述べる前にあなた自身が副校長、教頭として何が期待されているのでしょうか」と意見を述べさせていただきました。
男女共同参画社会基本法の基本理念の第3条では、男女共同参画社会の形成は①男女の個人としての尊厳が重んぜられること②男女が性別による差別的取り扱いを受けないこと③男女が個人として能力を発揮する機会が確保されること④その他の男女の人権が尊重されること―を旨として行われなければならないと記述しています。
男女共同参画社会基本法は、日本国憲法にうたわれている個人の尊重、男女平等の理念の実現を前提に、性別による差別的取り扱いが根絶され、(略)男女が社会のあらゆる分野で自立し、自分の存在に誇りを持つことができると同時に、一人の人間として敬意が払われる社会を趣旨として記述しています。
「男女の人権」の規定では、人権について性別に起因する問題という観点に着目し、その観点から人権を尊重することを強調したものと記載しています。
実現に向け児童生徒を指導しなければならないのが大人であり、教育者であるはずですが、上記で示した職場内の具体例を読者の皆さんはどのようにお考えでしょうか。次号以降は時代背景とともに、ますます期待される女性管理職の優位性について記述します。
(北海道文教大学人間科学部健康栄養学科教授・石垣則昭)
(教職員の協力を高める学校づくり 2024-04-12付)
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