教職員の協力を高める学校づくり〈№141〉 教育文化等アップデートを 学校安全と危機管理意識と遂行力②(教職員の協力を高める学校づくり 2024-06-28付)
今号は、教師の安心や慢心とも言える心理状態や、危機管理意識の低下さらに危機管理の遂行能力の減退について記載します。
まず言えることは、学校管理職やそれ以外のスクールリーダーが、日常から学校安全や危機管理について意識化を図り、必要に応じて教職員へ問題発生の事後対応ばかりではなく、予見できているかどうかです。
教職員には口やかましく言うのではなく、危機管理の予見と対応について協議し教育活動に臨ませるよう、日常から意識しなければなりません。
また学校事故の教師側とも言える人的要因として、つぎのようなことが言えます。一番問題視しなければならないのは、個々の危機管理の事例によって異なる場合がありますが、一部の教師は長期間同じ環境で働くことで自身の経験に安心感を抱き、新しいアプローチや変革に対するオープンさが減少することがあります。
教育は常に社会が学校教育に求める内容によって変化します。昨今はもちろん、今後もますます変化の激しい時代となることが予測できます。残念ながら、一部の教師は過去から今までに培った教育方法に固執し、最新の教育トレンドや情報について更新していない可能性があり、安心や慢心、遂行能力の低下につながることが見受けられます。
つぎに当然のように学校の組織文化やリーダーシップの在り方が、教職員の勤務態度や教育活動そのものに影響を与えるのは紛れもない事実です。学校管理職やそれ以外のリーダーが、時代に応じた教育の変革を奨励せず、安定性を重視する場合、教師たちも変化への抵抗感を持つことがあります。
さらに一部の教師は特定の方法や教育アプローチに専念しすぎて、他の視点や情報を閉ざす傾向があることも指摘され、新しいアイデアや危機に対する適切な対応の妨げになる場合があると言われています。
これらの要因は相互に関連し、教育環境や個々の教師の特性によって異なる影響を与える可能性があります。教師の慢心や危機管理意識の低下および遂行能力の減退を改善するためには、まず常に新しい教育文化や研究結果にアクセスし、専門知識を更新する習慣が、個人的にも学校組織としても必要です。
そのためには定期的な研修やプロフェッショナル・ディベロップメント(教師としての進展や発展)の機会を提供することが重要であり、特に管理職が教育の進展に伴う変革を奨励し、教育の原理に基づく新たな教育方法学などを積極的に導入するように努めるようにします。
さらに学校安全と危機管理意識の醸成と遂行力を高めるためには、教師間の関係性の強化が重要であり、同僚性の問題が過去の重大事故の例からも大きく関与していることが理解できます。特に教職員同士が互いにサポートされていることを感じ、自分の意見を発表しやすい雰囲気を築いていくことが課題と言えます。
併せて教師のストレスを軽減するためにワーク・ライフ・バランスのサポートを提供し、教育活動そのものへの成功や失敗に対するフィードバックを互いに自己開示し提供することで、危機管理の実践的学びにつながるため、失敗から学ぶ学校文化を、ぜひつくり上げていただきたいと考えています。
最後になりますが、学校内でのコミュニケーションの強化です。管理職や教師同士が互いに対話を通じてアイデアを共有しやすい環境を築き、教職員のモチベーションと意欲を向上させるよう同僚性を高めるなど、上記に示したいくつかのアプローチが、学校安全に対する危機管理意識と遂行力が高まることにつながると考えています。
〈参考文献〉
▽学校安全と危機管理・三訂版(渡邉正樹、伊佐野龍司、桜井愛子、大修館、2020)
▽リスクコミュニケーション~多様化する危機を乗り越える(福田充、平凡社、2022)
(北海道文教大学人間科学部健康栄養学科教授・石垣則昭)
(教職員の協力を高める学校づくり 2024-06-28付)
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