中学国語新3観点アイデアブック刊行 指導と評価一体化へ 道内教職員ら執筆 テスト等掲載
(道・道教委 2024-05-24付)

新3観点アイデアブック表紙
新3観点アイデアブック表紙

 【函館発】道内で国語科の指導力に定評がある教職員らが執筆した書籍『中学校国語科 新3観点のテストづくり&学習評価アイデアブック』(明治図書)=写真=が5月に刊行した。教科書の具体的な教材例をもとに「知識・技能」「思考・判断・表現力」「主体的に取り組む態度」の3観点において、各学年の指導事項を踏まえたテスト問題や評価のアイデアを掲載。指導と評価の一体化を進めるヒントにつながる1冊になっている。

 国立教育政策研究所の教育課程調査官・学力調査官を務め、現行の中学校国語学習指導要領の作成に携わった十文字学園女子大学の冨山哲也教授、日本体育大学の杉本直美教授、道教育大学附属函館中学校の黒田諭副校長が編著。全国の小・中学校で実践力に定評がある14人の教職員が執筆した。

 道南では北斗市立久根別小学校の澤田詩織教諭、七飯町立七飯中学校の髙橋亜矢教諭、函館市立桔梗中学校の三浦貴之教諭、道教育大附属函館中の米田真琴教諭、森谷剛教諭、阿部奈央美教諭が日頃の実践を踏まえた問題作成の意図などを解説している。

 内容は「国語科のテストづくりと学習評価のポイント」「学習評価とテスト問題作成におけるICT活用」「全国学力・学習状況調査に見るテスト問題の工夫」で学習指導要領を踏まえた評価の考え方を整理。教育出版や東京書籍の教材・単元例をもとに「話すこと・聞くこと」「書くこと」「読むこと」「古典」の授業概要、3観点に対応したテスト問題例などを掲載している。

 例えば、七飯中の髙橋教諭が執筆した2年生「“古典”の学習評価とテスト問題」では、教材「二千五百年前からのメッセージ~孔子の言葉」(教育出版)を例に「孔子の言葉から学ぼう」の単元3時間分の授業概要を簡潔に集約。

 「主体的に取り組む態度」の観点では「自分の体験や日常と結び付けながら章句の意味を考えるため、副教材やインターネットを活用して教科書に掲載されているもの以外の章句を探し、自分の経験に結び付けて考えたことを説明する活動」について掲載している。

 テスト問題では生徒が自身が記述した文章を粘り強く分析し、修正する力をレポートで評価する実践を掲載。正答と誤答を分析し、正答を導き出すためのポイントを分析するとともに、レポートや学習定着が不十分な個所は補充学習を通して評価するなどとしている。

 C評価や無回答の生徒に対する支援については「表現を工夫する必要があることを伝える」「模範解答を参考にしながら再挑戦することを助言する」などの具体例を記載。正答の生徒に対しては自分の解答とは異なる章句を引用して別解を考えるよう指示する」などの例を示している。

 編著に携わった附属函館中の黒田副校長は「身近で効果的な実践を進める道内の教職員が執筆している書籍。教育関係者に共感を抱いてもらえるとともに、指導と評価の一体化を進められる一助になれば」と期待する。

(道・道教委 2024-05-24付)

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