子ども主体の授業づくりとは? 元校長の“学校アップデート!” №12
(札幌市 2024-08-07付)

学校アップデート№12(子ども主体の授業づくり)

 多くの学校で研究主題(目指す授業像や授業における目指す子どもの姿)を設定して、授業力向上に向けた取組を行っていると思います。研究主題は、教職員にとって具体的にイメージを共有しやすい言葉であることが大切です。平岸西小に異動した時、研究主題「未来を拓く子」の具体的な子どもの姿が曖昧だったので、始業式が始まる前に研究部と話し合い、学校経営方針で示した学校づくりの重点目標「学び・思い・仲間がつながる楽しい学校」の実現につながる研究主題に変更するようにお願いしました。研究部は「つなげて考える子」という新たな研究主題と、その研究主題に迫るための「かだいをとらえる→つなげてかんがえる→まとめる・ふりかえる」(3つのかえる)という学習過程を提案し、新年度の研究活動がスタートしました。

 教職員が「つなげて考える子」のイメージを初めから共有していたわけではありません。授業における子どもの考えを教師がまとめて問題解決を図ることができれば「つなげて考える姿が生まれている」と捉えられがちでした。しかし、研究の積み上げを図っていく中で、子どもが経験・既習や「つぎに学びたいこと」とつなげたり(縦の時間軸)、多様な考えと自分の考えをつなげたり(横の時間軸)して、自己調整しながら粘り強く追究し問題解決を図っている姿を「つなげて考える子」の姿として捉えるようになりました。研究主題を具体的なイメージを教職員が語り合いながら共有していく取組が必要です。

 研究活動を進める上で厄介なのが、教職員の3K(勘・経験・根性)です。特に教職年数が長い職員は、今までの自分の授業スタイル(経験)にこだわり、新たな研究主題に向けた授業づくりに取り組んでいるフリをしながら自分の授業の在り方を変えようとしない傾向が強いです。

 研究を「山登り」に例えて、教職員に研究の意義を伝えていました。

 山登りのゴールは山頂(目指す子どもの姿=研究主題)だが、登り方は「Aルート」「Bルート」…のように多様にあります。研究部は、今回、他のルートでの登り方(今までの授業の在り方)ではなく「Aルート」で登ってみようと提案しています。これまでの自分の授業の在り方へのこだわりをいったん横に置いて、研究主題の実現に向けて新たな授業の在り方をつくり出していくことが大切です。

 研究主題に迫るために教職員だけが頑張るのではなく、子どもが「目指す子どもの姿」を知っていて子どもが主体的に「つなげて考える」姿をつくり出していくことが大切です。そのために効果的な取組は「まとめる・振り返る」場の充実です。平岸西小では、教師がまとめるのではなく、子どもが「学んだこと」を自分の言葉でまとめるように指導するとともに、振り返りの観点に「つなげて考えましたか?」を設定し、子ども自身が「つなげて考える」ことを意識するようにしました。研究活動においては、子どもが自ら頑張る姿をつくり出していくことが大切です。

北原徹也 (北海道特別活動研究会顧問、元札幌市立平岸西小学校長)

この記事の他の写真

学校アップデート№12(子ども主体の授業づくり)

(札幌市 2024-08-07付)

その他の記事( 札幌市)

スマイルトーク★キッズ 札幌の未来話し合う 秋元市長と小学生が対話

サッポロスマイルトークキッズ  札幌市は1日、小学生対象の市民対話事業「市長と語ろう!サッポロスマイルトーク★キッズ」を開催した。市内の小学4~6年生15人が市長室を訪問し、秋元克広市長と札幌の未来について意見を交わした...

(2024-08-08)  全て読む

生徒がポータルサイトで学校PR 市立高記者クラブ発足 札幌市教委 10月活動開始

 札幌市教委は「市立高校記者クラブ」を立ち上げ、生徒による広報活動に取り組む。市立高校コンシェルジュの(株)すみかと連携し、生徒が取材・作成した記事を市立高ポータルサイトに掲載。市立高8校の...

(2024-08-08)  全て読む

札幌市 おとどけアート事業実施校 栄西小など3小学校に 芸術家が児童と創作活動

 札幌市の「おとどけアート事業」の6年度実施校が、栄西小学校、新陽小学校、屯田小学校の3校に決定した。芸術家が“転校生”として一定期間小学校を訪れ、児童と様々な創作活動に取り組むもの。栄西小...

(2024-08-07)  全て読む

「家庭・地域編」開催へ 出口氏講義など 26日まで募集

 札幌市教委は、コミュニティ・スクール(CS)への理解を深める取組として、新たに「CSを学ぶ会・家庭や地域編」を開催する。10月から来年2月にかけて各校を訪問し、保護者や地域住民らを対象に、...

(2024-08-07)  全て読む

実践例参考に準備や心構え確認 導入の際のポイントは 札幌市教委 CSを学ぶ会

CSを学ぶ会  札幌市教委は7月31日から2日間、市内のSTV北2条ビルで6年度第1回コミュニティ・スクール(CS)を学ぶ会を開催した。各校の管理職や実務担当者らが参加。本年度導入校の実践事例などを通して...

(2024-08-07)  全て読む

札幌市青少年科学館 8月のイベント日程

 札幌市青少年科学館は、8月のイベントスケジュールをまとめた。夏の特別展「科学捜査展~サイエンスで町を救え!」など様々なイベントを予定している。  8月のイベントはつぎのとおり。 ▼夏の...

(2024-08-06)  全て読む

ボランティアアワード全国出場 共生社会実現目指し バリアフリーマップ等 札幌藻岩高

 市立札幌藻岩高校(野口浩史校長)3年生のグループ「Limit Free Monster」は、きょう6日から2日間にわたって行われる高校生ボランティア・アワード2024全国大会に出場する。障...

(2024-08-06)  全て読む

藻岩・啓北商再編新設高に 部活動設置等を要望 札幌市教委にアーチェリー3団体

藻岩・啓北アーチェリー部  札幌アーチェリー協会(山田春夫会長)、道アーチェリー連盟(松木謙公会長)、道高校体育連盟アーチェリー専門部(佐藤敬二部長)は2日、9年度開校予定の仮称・市立札幌藻岩高校・市立札幌啓北商業高...

(2024-08-06)  全て読む

市教委要望書手交式の流れ等確認 諸課題解決へ研究協議 札幌市立高・特校長会

市立高・特校長会第5回研究協議会  札幌市立高校・特別支援学校長会(矢田春義会長)は7月29日、市立札幌啓北商業高校で第5回研究協議会を開催した。市教委への要望書手交式当日の流れ、市立札幌藻岩高校と市立札幌啓北商業高の発展的...

(2024-08-06)  全て読む

子の命の大切さ見つめ直す月間 相互承認感度を高める 札幌市教委 16日から

 札幌市教委は、16日から9月26日までの約1ヵ月間を「子どもの命の大切さを見つめ直す月間」と設定し、命の大切さに関する指導や教育相談体制の充実に向けた取組を展開する。本年度は「相互承認の感...

(2024-08-06)  全て読む