道教育振興会 教育考える会札幌の集い 地域クラブ ハイブリッド模索 本道の部活動改革を考える
(札幌市 2024-08-09付)

教育振興会札幌の集い

 道教育振興会(濱田美樹会長)は3日、ホテルライフォート札幌で創立50周年記念「第40回北海道の教育を考える会~札幌の集い」を開催した。元道中学校体育連盟会長で札幌市立新琴似北中学校の中山明彦校長が「北海道の部活動改革を考える」と題して講演。人口減少問題や地域移行の受け皿確保の課題を挙げながら「地域創生こそが、あらゆる子どもの活動を保障する上での前提だ」と訴えた。子どもたちのウェルビーイング向上に努めるためにも「学校部活動と地域クラブ活動のハイブリッドな姿を模索するべき」と説いた。

 札幌市教育振興会(大江則夫会長)教育講演会を兼ねて開催。参集、オンラインを含めて約80人が参加した。

 濱田会長はあいさつで、生徒の心身共に健全な成長に多くの役割を果たしてきた中学校部活動の意義を訴え、部活動の地域移行においても「子どもたちが伸び伸びと運動できる機会をつくり上げてほしい」と期待した。

 講演に立った中山校長は、コロナ禍によって2年度の中体連大会が中止になったことで「当たり前にあったものが、突然失われることで、初めて価値が分かった」と指摘。部活動の意義を「人間関係の構築や、生徒の居場所、心のよりどころになっている」と強調した。

 一方で、勝利至上主義や体罰、過度な同調圧力、指導する教員の大きな負担などの課題も明らかになっているとした。

 部活動を取り巻く課題として①人口減少問題②価値観の多様化③部活動に対するアンコンシャス・バイアス④学校の働き方改革⑤曖昧な責任の所在⑥(受け皿となり得る)関係団体の実情―を挙げ「地域創生こそが、あらゆる子どもの活動を保障する上での前提となってくる」と訴えた。

 自治体においては、8年度末をめどに休日の地域移行を位置付ける長野県や、検討委員会が地域移行見送りを答申した熊本市のように、差が生じていることを示した。

 札幌市が実施したアンケート調査に言及し「練習頻度や部活動の目指すところなど、相反するニーズが存在し、多様化していることが分かる」と指摘。部活動地域移行に関する保護者への周知不足や、負担に感じている教師が9割に上る現状を示した。

 その上で、改革の方向性として「現在の仕組みでは質の高い教育的価値の部活動を維持できないことを共有すべき」と強調。情報の共有とともに、教師の業務負担軽減にできる限り努める必要性を訴えた。

 また、部活動の地域移行は、スポーツや文化芸術活動に限ったものではなく「健全な地域づくりの問題だ」と述べた。本道の広域性を考慮し、リモートの活用や少年団との連携の必要性を呼びかけ「ウェルビーイングの向上に努めるためにも、学校部活動と地域クラブ活動のハイブリッドな姿を模索する必要がある」と述べた。

(札幌市 2024-08-09付)

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