ニセコ高 工藤さん最優秀 道高校定通制生活体験発表会
(関係団体 2024-10-16付)

道高校定時制通信制生徒生活体験発表
工藤さん

 道高校長協会定通部会(阿部穣部会長)主催による第68回道高校定時制通信制生徒生活体験発表大会が8日、札幌市教育文化会館で開催された。各支部の代表生徒12人が、将来に向けた夢や目標、経験から得た学びを発表。最優秀賞には、失敗を乗り越え、チームワークで新しい学校祭をつくり上げた体験を語ったニセコ高校3年生の工藤浪子さんの「見失っていた目標」が輝いた。

 開会式では大会長を務める阿部部会長があいさつ。「きょう皆さんが語る言葉、困難を乗り越えてきた経験は、きっと同じ思いを持つ生徒の皆さんに大きな希望と励み、そして大きな勇気を与えるものになるだろう」と述べ「体験や思い、将来への夢や希望など、自信を持って堂々と発表してほしい」と激励した。

 続いて各支部の代表生徒が発表。学校生活を中心に成功、失敗、挫折、成長など自分自身の体験を振り返りながら、将来の思いや夢、困難を支えてくれた家族・友人への感謝の言葉を心を込めて語った。

 審査の結果、最優秀賞にニセコ高の工藤さん、優秀賞に幌加内高校の黒瀧翔稀さん、有朋高校の安田結明子さんが選ばれた。上位2人は、17日に東京都で開かれる第72回生徒生活体験発表大会に出場する。

 大会結果はつぎのとおり。=敬称略=

▽最優秀賞=「見失っていた目標」(ニセコ高3年・工藤浪子)

▽優秀賞=「幌加内そばを世界に」(幌加内高3年・黒瀧翔稀)

▽優秀賞=「その一言に思うこと」(有朋高3年・安田結明子)

▽奨励賞=「皆勤賞と感謝」(札幌北高3年・田邊真樹)

▽奨励賞=「悔しさをバネに」(札幌工業高3年・水島勇聖)

▽奨励賞=「私が選んだ青い春」(日高高3年・米沢愛羽)

◆見失っていた目標

 「なんでニセコ高校に入学したの?」。

 周りの人たちから何度も聞かれた言葉です。中学校で好成績を修めた私が進学校ではなく、ニセコ高校に入学した理由は、体験入学で先輩が流ちょうに英語を話している姿を見て憧れを抱いたからという漠然としたものでした。

 私は中学3年生の時にクロスカントリースキーの全道大会で優勝しました。この大会での優勝は、私の幼い頃からの夢であり、悔しい思いをして何度も涙しながらやっとつかんだ結果でした。夢をかなえ、燃え尽きてしまい、高校入学と同時にスキーを辞めた私は、スキー以上に夢中になれるものもつぎの目標も見つけられずにいました。

 ですが高校生活3年間を経て、新しい目標を見つけることができました。本日は私の、見失っていた目標を見つけるまでのお話をさせていただきます。

 入学後、何も見つからないままの私に一つの転機が訪れました。それは1年生の後期に生徒会に入ったことです。この頃ニセコ高校は8年度の定時制から全日制への転換に向けて動き出しており、その第1歩として校則を改正しようとする動きがありました。生徒の意見を生徒代表として生徒会でまとめ、校長先生に提出し、合計六つの校則を改正することができました。「古くから残る校則を私たちの手で変えた」このことは、私に挑戦することの楽しさと達成する喜びを思い出させてくれました。

 その翌年、私は生徒会長に立候補し当選しますが、ここで私の「何事も完璧にこなしたい!」という性格が裏目に出てしまいました。私は今までとは違う生徒会を一からつくろうとして、生徒主体行事の実施や生徒会便りの電子化、インスタグラムの開設など新しいことを取り入れ続けました。

 すると、生徒会メンバーの中から仕事の多い生徒会に嫌気が差してしまった人や、生徒会を辞めたいという人が出てきてしまいました。生徒会長としての在り方に迷いが生じていた時に神戸リーダー研修に参加する機会をいただきました。

 私はその研修での、神戸大学視察がとても印象に残っています。高校生と大学生数人でグループワークをした時のことです。私たちのグループでは自然と大学3回生の方が進行役を務めましたが、その進行と意見をまとめる能力の高さに驚きました。

 常に中立の立場を保ち、質問を投げかけて意見を促し、自然な流れで進行を進める。そして何が良い意見だったのかを判断してまとめる。今まで役割が何かも分からず行動していた理想的なリーダー像が見え、目標が明確になりました。そして、私はそれまで結果を求めるばかり一人で突っ走り、チームとして生徒会を見ていなかったことに気が付きました。

 この反省と学びは本年度の学校祭運営で生かすことができました。「新しい学校祭をつくり上げる」を共通の目標とし、私はチームの一員としてメンバーの発言を促し、意見をまとめ、仲間を信じて仕事を振り分けました。メンバーや先生からのアドバイスを得てたくさんの難しい決断もしました。

 そして今まで1日日程だった学校祭を2日日程に変え、新しい企画を盛り込み、みんなでニセコ高校の新しい学校祭をつくり上げることができました。ずっと独り善がりだった私が、初めてチームの一員となり、そして仲間とつかんだ成功でした。あの情熱あふれる日々を、私は一生忘れません。

 私はニセコ高校で、成功以上にたくさんの失敗を経験しました。学校から家までの道を泣きながら帰ったのは1度や2度ではありません。それでも前に進むことができたのは、周りや友人が支えてくれたことと、私が燃え尽きずに努力することを諦めなかったからです。

 途中くじけそうになりながらも信頼できる友人や先生に助けられ、短所だった完璧主義な性格を長所に近づけることができました。今の私に怖いものはありません。3年間の高校生活を経て新たに生まれた国立大学進学という目標、その先に待つ大きな夢に向かって、私は進み続けます。

(関係団体 2024-10-16付)

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