道スポーツ協会がシンポジウム 新たな地域スポーツ環境へ 沼田町など3町村が事例発表
(関係団体 2024-10-22付)

地域スポーツクラブシンポジウム
地域スポーツクラブシンポジウム

 公益財団法人北海道スポーツ協会は20日、北翔大学円山キャンパスでシンポジウム「新しい地域スポーツ振興のカタチ~部活動地域移行が目指すもの」を開催した。沼田町、安平町、中札内村から新たな地域スポーツ環境の整備に向けた取組事例を発表。少子化が進む本道の未来を見据え、子どもから大人まで多様な体験機会を提供する方策について意見を交わした。

 シンポジウムは本年度から3ヵ年計画で取り組む地域スポーツクラブ推進体制基盤強化事業の一環。道スポーツ医・科学コンソーシアム主催事業のプログラムとして実施し、スポーツ・行政・学校・スポーツ医科学の関係者約210人が参加した。

 はじめに道スポーツ協会の酒井隆事務局長は、「地域のスポーツ環境の構築や地域の未来を担う子どもたちのために何ができるかを考える役に立ててほしい」とシンポジウムの成果に期待した。

 続いて道教育大学岩見沢校キャンパス長の山本理人氏が部活動改革の論点整理について情報提供。部活動の地域移行を部活動単独の問題として捉えるのではなく、幅広い年代を含めた「地域におけるスポーツ・芸術環境の問題」として捉える視点を提起した。

 事例発表に移り、沼田町教委の赤井圭二教育課長が北空知における広域連携の取組を発表。合同部活動の拡大による保護者負担の増加や、部活動に対するニーズの多様化などのデータを取り上げ、持続可能な広域モデルの構築に向け、1市5町による地域協議会を設置する今後の方針を示した。

 NPO法人アビースポーツクラブクラブマネージャーの鳥實裕弥氏は休日・平日の地域移行を進める安平町の取組を発表。子どもの興味・関心に応じて競技を選択しやすいクラブ制度のほか、指導手段を確保するための送迎バスの運行など、指導・運営体制の特徴や工夫などを紹介した。

 中札内村教委部活動改革コーディネーターの高橋慎氏は、スポーツ少年団を中心とする地域スポーツ振興の取組を発表。地域住民の協力を得て新しい団体が設立されていることを伝え「子どもたちの声を反映し、地域スポーツ・文化の未来を真剣に議論する場が必要」と説いた。

 最後に質疑応答を実施。スポーツ医科学の視点に基づく安全・安心な指導体制づくりや、発達段階に応じて多様な体験機会を提供する環境整備の必要性が指摘された。財源の在り方に関しても質問があり、発表者からは国の補助金、寄付金の活用、スポンサーの確保など様々な方策を検討していることを説明した。

 山本氏は、子どもたちの体験格差を早急に改善する必要があるとし「それぞれの地域でできることに取り組まなければ、子どもだけでなく大人も芸術・スポーツを体験できない未来が迫っている。シンポジウムをきっかけに今後の地域の在り方を検討する機会となれば」と締めくくった。

(関係団体 2024-10-22付)

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