部活動地域移行フォーラム スポーツ環境の再構築へ 未来見据え改革の目的共有を
(道・道教委 2024-12-18付)

部活動地域移行フォーラム
部活動地域移行フォーラム

 道教委は16日、札幌市内のかでる2・7で部活動の地域移行フォーラムを開催した。スポーツ庁地域スポーツ課課長補佐の竹河信裕氏が「部活動の地域連携・地域クラブへの移行と地域スポーツ環境の整備」と題して基調講演。パネルディスカッションでは「子どもたちの持続可能なスポーツ環境の再構築に向けて」をテーマに有識者が意見を交わし、子どものみならず地域全体の「ウェルビーイング」を見据えた改革の目的・ビジョンを共有する重要性が指摘された。=パネルディスカッションの詳細は後日掲載=

 スポーツ庁の委託事業の一環として、道スポーツ協会、道経済産業局の協力を得て開催。自治体のスポーツ・教育関連部門の職員、学校関係者、PTA、スポーツ関係団体から約350人が参加した。

 開会に当たり伊藤伸一学校教育局長は、少子化の進行などの環境の変化を踏まえ「子どもたちがスポーツに親しむことができる機会・環境を確保し、体験の格差が生じないようそれぞれの地域において持続可能な体制を整備していくことが重要。地域の皆さまと共に、子どもたちのためにどのような取組を進めていくか考えを深め、それぞれの地域での行動に生かしてほしい」と呼びかけた。

 続いてスポーツ庁の竹河氏が講演。部活動の加入生徒数などの統計データをもとに将来の子どもたちのスポーツ・文化芸術環境の在り方に警鐘を鳴らし「活動の機会を引き継ぐ方法を真剣に考える必要がある」と提起。部活動改革の課題となる財源確保の好事例や、生徒の移動手段の確保に向けた国土交通省による実証事業などの方策を示した。

 7年度の実証事業では、全市町村の約半数となる800~900自治体の採択を見込んでいることなど国の動向も解説。8年度以降を次期改革推進期間と位置付けるほか、部活動の地域移行の名称を「地域展開」に変更するなど現時点における国の検討状況も示した。

 最後に「大人、そして若い人たちがスポーツを楽しみ、中学生の思いを受け止めて形にしてほしい。難しい改革だが、改革が進んでいる地域には必ずキーパーソンがおり、支える仲間がいる。ぜひ地域のキーパーソンやその仲間になってもらい、地域の未来を変えてほしい」と訴えた。

 続いてパネルディスカッションを実施。スポーツ庁の竹河氏、安平町教委教育長の井内聖氏、スポーツデータバンク(株)代表取締役の石塚大輔氏、道教育大学岩見沢校キャンパス長の山本理人氏が登壇し意見を交換した。

 山本氏は、地域移行の最終的な目的として、地域住民が芸術・スポーツに触れて幸福を感じることができる「地域住民のウェルビーイング」を示し、「地域における強みや弱み、児童生徒のニーズといった客観的なデータを踏まえ、全ての地域の人たちが知恵を出し合い進めていくことが重要」「そのプロセスの中、地域のステークホルダーの人たちが情報共有する仕掛けをつくることが必要」と説いた。

 石塚氏は、今後の人口推移や子どもたちのニーズの多様化などを踏まえ、部活動を新たに「リニューアル」することの重要性を指摘。企業版ふるさと納税の活用やチャリティーイベントといった財源の確保など民間企業のノウハウ・知見を活用する視点を示した。

 井内氏は、スポーツを「する」「教える」のみならず「見る」「支える」などの多様な関わり方を醸成する取組を紹介。部活動の地域移行を主導する教育委員会の役割とともに、部活動が果たしてきた学校の役割をあらためて再確認する必要性を提起した。

(道・道教委 2024-12-18付)

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