札幌市簾舞中でがん教育講演会 身近な病として考えて 講話通して健康・命の大切さ学ぶ 道教委指定
(学校 2015-10-09付)

 札幌市立簾舞中学校(橋詰博校長)は九月下旬、がん教育講演会を開催した。全校生徒を中心に約百四十人が参加。がんが発生するメカニズムや予防策などの知識を得るともに、健康と命の大切さを学んだ。

 道教委から本年度「がんの教育推進校」の指定を受けた同校は、がん教育のテーマを「がんに関して正しく理解し、健康と命の大切さについて主体的に考える態度を育成する」に設定。全校道徳の時間として行う同講演会を受け、三年生の保健体育においてがん教育を進める予定だ。

 当日は、独立行政法人国立病院機構北海道がんセンター院長の近藤啓史氏が「がんのことを知ろう」と題して対話型の講演を行った。講話では、特定非営利活動法人キャンサーサポート北海道の内山浩美氏が、がん患者としての思いを伝えた。

 はじめに、近藤氏はがんの生涯発生率や年間罹患数などを紹介。生涯を通してがんを患う確率は、男性が五〇%以上、女性でも四〇%を超え、年間九十八万人が罹患している計算になると伝えた。

 がん細胞発生のメカニズムについて、「細胞の設計ミスで、細胞に異常が発生する」と説明。健康な人は免疫機能によって修復されるが、そうではない人の場合、「免疫機能が見落としてしまい、がん細胞に変化する」と解説した。

 また、「肉中心の食生活や運動不足、喫煙や大量飲酒など不摂生な生活習慣が、罹患リスクを高める」と指摘。塩分を控え、野菜や果物を多めに摂取するなどして、バランスのよい食生活を心がけるよう説いた。

 喫煙や大量飲酒については、「未成年だから関係ないと考えず、周囲の大人に呼びかけて」と語り、自分だけでなく他者の命も思いやるよう促した。

 近藤氏は、各リスクとがん発生部位の関連や、正しい知識をもつ重要性について述べたほか、検診を受けて早期発見に努めるよう詳説。「早期発見すれば、死亡に至る確率は大きく下がる」と訴えた。

 続いて、内山氏が講話に立ち、家族や友人など支えてくれる存在の有り難さについてふれ、「日常生活を送れることは当たり前ではない、奇跡だ」と心境を述べた。

 質問コーナーでは、女子生徒が、どのような症状が出たら乳がんを疑うべきか質問。近藤氏は「皮膚の表面を撫でたときに“こりっ”としたものを感じたら疑って」と回答した。

 最後に、全校生徒を代表して一年生の小山内海凪君が謝辞。「がんに罹ったら助からないと思っていたが、考えが変わった。がんを身近な病気としてとらえ、生活習慣に気を付けたい」と感想を述べていた。

(学校 2015-10-09付)

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