道立教育研究所運営協議会開く 連携セミナーの地域拡充 基調講義と直結した講座を
(道・道教委 2015-08-06付)

道立教育研究所運営協議会
道立教育研究所運営協議会

 道立教育研究所は七月二十九日、同所で二十七年度第一回道立教育研究所運営協議会を開催した=写真=。本年度の運営方針・事業計画、重点と主な方策、評価方法などについて説明。本年度の重点三事業の一つ、確かな学力を育成するための授業改善では、研修事業において、授業改善のポイントの理解を深めるため、講座が文部科学省教科調査官や大学教授などによる基調講義の内容と直結するよう工夫。市町村が抱える教育課題の解決に向け、地教委連携セミナーの対象地域を前年度の五管内から全十四管内に拡充することなどを説明した。委員からは、「学級経営の充実に向けた講座を開設してほしい」「受講者を増やす方策が必要」などの意見が挙がった。

 冒頭、西崎毅所長があいさつ。「教員の資質・能力の向上は不易の課題であるが、近年、国を挙げて、教育改革が急ピッチで進められており、直接、子どもの指導に当たる教員には、新たな時代に、子どもたちに培うべき能力をしっかりと理解することはもとより、それらを効果的に育むための実践的指導力を向上させることが、これまでにも増して求められている」と指摘。道研として、「教育改革の動向を的確に踏まえ、研究や研修の一層の充実を図っていく必要があると考えており、本協議会でいただく意見などが、その大きな推進力になると確信している」と述べた。

 議事に移り、空席となっていた副会長に名寄市教委教育長の小野浩一氏を選任した。

 続いて、渡辺俊之総務部長が本年度の運営方針・事業計画などについて説明した。研修講座について、教職研修で前年度の一講座から、ミドルリーダー養成A、ミドルリーダー養成B、研修推進リーダーの三講座に拡充し、各管内のリーダーとして活躍が期待される人材を育成。特別研修講座は、理科特別研修に加え、本年度からふるさと教育研修講座や九年ぶりの開設となるへき地・複式教育研修講座など、本道の教育課題の解決に資する五つの教育研修講座を開催することを示した。

 教育相談事業のうち、電話相談については、今月、道庁別館内に設置される「子ども相談支援センター」に移行し、いじめや不登校、体罰など学校等で生じる問題に関する児童生徒や保護者などの相談に対して、今まで以上に迅速に対応する体制を構築し、問題の解決につなげる支援を行うなどと説明した。

 本年度事業の方策と評価方法については、鈴木淳企画・研修部長が説明。事業の重点として、①本道の子どもたちに確かな学力を育成するための授業改善②いじめの未然防止を図る取組の充実③校務の情報化、各教科等におけるICT活用、情報モラル教育等、教育の情報化の推進―を設定したことを報告した。

 ①では、研修事業において、学力向上を図る授業改善の推進に向け、前年度に引き続き、夏季・冬季休業期間に多くの研修講座を開設し、教員の参加を促進。受講者が今日的な教育課題を踏まえた授業改善のポイントなど理解を深めるため、文部科学省教科調査官や大学教授などによる基調講義内容と直結する講座構成等を工夫する。

 市町村教委の指導性を高める支援として、道内の市町村の課題解決に広く対応できるよう、地教委連携セミナーの対象地域を前年度の五管内から全十四管内に拡充。各管内二市町村程度で連携しながら研修を実施していく。

 そのほかの教育振興にかかわる事業では、サイエンスカーを用いた移動理科教室を土曜授業推進事業実施校、特別支援学校、放課後子ども教室などに拡充。

 ②では、受講者がいじめの未然防止の具体的な取組について理解を深めるため、いじめ未然防止モデルプログラムなど、道研のプロジェクト研究の成果を生かした講義・演習の内容を充実する。

 また、受講者がいじめの未然防止や子どもたちの望ましい人間関係の構築の在り方について理解を深めるため、所内で連携を図り、学校経営研修講座や教職研修をはじめ、関係する教科指導等研修においても、いじめの未然防止の在り方について説明する。

 ③では、受講者が各教科などにおけるICT活用について理解を深めるため、各部・センターが連携して講座内容の企画などを進める。

 所員の研修講座におけるICT活用指導力の向上を図るため、全所員を対象としたICT活用に関する研修会を定期的に実施。また、授業におけるタブレットPCの活用を広く促進するため、全校種の教職員を対象に活用研修講座を実施する。

 事業の評価方法では、研修事業において、本年度から新たに各講座ごとに、それぞれ受講者からその内容等について評価してもらうこととした。

 調査研究事業では、プロジェクト研究について事業評価を実施。研究相談事業、教育相談事業にかかわる事業評価、情セン、理センでは両センターの機能を生かした情報教育、理科教育の振興事業について評価を、それぞれPDCAサイクルで進めていく。

 委員からは、「学級経営の充実に向けた講座を開設してほしい」「受講者を増やす方策が必要」などの意見が出された。

(道・道教委 2015-08-06付)

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