道教委が道徳教育推進教師等研究協議会 考える道徳へ質的転換を 元文科事務次官・銭谷氏が講演(道・道教委 2015-08-17付)
道教委が道徳教育推進教師等研究協議会
道教委は十二日、さっぽろ芸術文化の館(ニトリ文化ホール)で二十七年度道道徳教育推進教師等研究協議会を開催した=写真=。小・中学校、特別支援学校の道徳教育推進教師、PTA、市町村教委職員など約一千八百人が参加。講演やパネルディスカッションなどを通して、道徳教育の方向性について共通理解を図った。講師である元文部科学事務次官・東京国立博物館館長の銭谷眞美氏は「考える道徳・議論する道徳へと質的に転換して」と呼びかけた。
文部科学省の道徳教育の抜本的改善・充実にかかる支援事業(道徳教育パワーアップ研究協議会)の一環。中央教育審議会(中教審)の「道徳にかかる教育課程の改善等について(答申)」や本道の道徳教育推進上の課題などを共有するとともに、道徳教育に関する指導内容・方法の改善を目指し、初めて開いた。
冒頭、柴田達夫教育長があいさつ。「本日の研究協議会から一つでも多くの成果を持ち帰り、北海道の未来を担う子どもの豊かな心を育てて」と期待した。
このあと、東京国立博物館の銭谷館長が「これからの道徳教育に求められること」と題して講演した。銭谷館長は、これまでの道徳の時間の授業を振り返り、「特別の教科〝道徳〟は、学級担任が担当し、検定教科書を使用する」と説明。改正学習指導要領についてポイントを整理した。
「主として自分自身に関すること」など、小・中学校の道徳の四つの観点項目ごとに新たにキーワードを設け、各学年の指導内容を示したこと、小学校では二十八年度に教科書を検定し二十九年度に採択、三十年度から使用することを示し、「教師が特定の価値観を押し付ける〝読み物道徳〟から、〝考える道徳・議論する道徳〟へと質的に転換を図っていく」と述べた。
また、日本の人口減少が進む中、「少ない人口で社会を維持するため、一人ひとりの活力を向上しなければいけない」「子どものもつ可能性を最大限に伸ばして、心豊かに幸福感をもって生きる人生にしたい」と話し、教育が果たす役割の重要性を訴えた。
さらに、言語活動と体験活動を重視する教育の方向性を示し、自分を見つめ直す教育の大切さについてもふれた。
午後からは、文部科学省初等中等教育局教育課程課教科調査官・国立教育政策研究所教育課程研究センター教育課程調査官の澤田浩一氏が「学習指導要領の一部改正により道徳教育はどのように変わるのか~道徳科の授業を中心として」と題して講演。道徳性の評価について、「生徒自らが成長を実感し、新たな課題や目標をみつけられるよう教師が温かく見守り、よりよく生きようとする努力を認め、勇気づける働きを重視して」と求めた。
北海道の道徳教育の現状についても共通理解を図ったほか、「道徳教育の充実に向けた道徳教育推進教師の取組」をテーマにしたパネルディスカッション、元五輪競泳代表の田中雅美氏と道教委の鶴羽佳子委員によるトークライブも行った。
(道・道教委 2015-08-17付)
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