学ぶ意味創造できる子を 道教育大附属釧路中が研究会
(学校 2015-11-10付)

附属釧路中教育研究会
道教育大附属釧路中が小中連携の教育研究会

 【釧路発】道教育大学附属釧路中学校(杉山佳彦校長)は十月下旬の二日間、同校を会場に小中連携の教育研究会を開催した。教育大学の教員や学生、他附属校の教諭を含め、道内外から二百人を超える教育関係者が参加。研究主題「自ら学ぶ意味を創造できる児童・生徒の育成Ⅱ~学ぶことを自分たちの生き方にかかわらせうるような授業の構築」のもと、両日とも各学年一本ずつの道徳のほか、五授業を公開した。

 このうち、二年A組の国語科「意見交流を通して〝走れメロス〟に隠された太宰治のメッセージを探ろう~中心教材〝走れメロス〟〝人質〟」(太田諭教諭、生徒数三一人)では、〝人質〟と〝走れメロス〟について、展開や描写の違いをまとめ、なぜその違いが生じたかを交流させ、太宰の隠されたメッセージについて考えさせる授業を展開した=写真=。

 本年度は小・中連携五ヵ年計画の二年次目。「各教科の授業において、学ぶことを自分たちの生き方にかかわらせうるために、〝やるべきことことに納得し、やりたいことを見つけられる〟ような手立て、および〝言語化〟〝協同・協働〟を手立てとして講じることで、生徒の自律性が高まり、自ら学ぶ意味を創造できる生徒が育つであろう」との研究仮説を立て、研究主題に迫った。

 両日とも、道徳授業のあと、教科の授業を公開。公開授業のうち、二年A組の国語科「〝走れメロス〟に隠された太宰治のメッセージを探ろう」は、五時間扱いの二時間目。太田教諭は全体研究とのかかわりから、手立て(一)「中心教材から派生しうる〝題材〟を併用または追加して用いる言語活動」として、「〝走れメロス〟と〝人質〟とを比較し、太宰治の隠れたメッセージを探り、交流する」を設定。手立て(二)「〝走れメロス〟の〝人質〟との違いはどこか」「太宰はなんのためにそれらを変えたのか」「太宰の隠されたメッセージは何か」を中心発問とし、段階的に思考の深まりを促す。手立て(三)「〝メタ認知〟に働きかける手立てとして、振り返りの視点を工夫する」を掲げ、本時は特に手立て(二)を意識した授業を展開した。

 生徒たちは、〝人質〟に比べ、〝走れメロス〟の方が「記述が長い」「具体的な説明が多い」「メロスの視点で書かれてある」などと、積極的に発表していた。

 このあと、参加者は各分科会会場に移動し、研究協議に移行。授業者は共同研究者の教育大釧路校教員とともに実践発表に臨んだ。

 また、公立中学校共同研究者との共同研究の成果についても発表。参加者は道教委や釧路市教委、学校長の助言を交えながら研究や授業の進め方について熱心に話し合った。

(学校 2015-11-10付)

その他の記事( 学校)

虻田高生が観光ガイドに初挑戦 「親しみやすい」と好評 洞爺湖遊覧船で修学旅行生に

虻田高遊覧船ガイド  【室蘭発】遊覧船ガイドを育成する全国初の取組を進めてきた虻田高校(舟山栄治校長)は十月二十八日、洞爺湖の遊覧船で本州からの修学旅行生を相手に、観光ガイドに初挑戦した。同校三年生の六人が、洞...

(2015-11-11)  全て読む

帯広市川西中が公開研究会開く 働く意味を考えよう 社会活動題材に道徳3授業

帯広市立川西中公開研  【帯広発】帯広市立川西中学校(松橋達美校長)は十月下旬、同校で二十七年度公開研究会を開催した。道徳の三授業を公開し、うち三年A組「社会に生きる一員として~勤労や奉仕を通して社会に貢献する」...

(2015-11-11)  全て読む

道教育大附属釧路中学校の研究概要 学ぶ意味創造できる子育成 やりたいことみつけられる手立てを

 【釧路発】道教育大附属釧路中学校の本年度の研究概要はつぎのとおり。 ▼はじめに  北海道教育大学附属釧路小学校・中学校では、昨年度より主題を「自ら学ぶ意味を創造できる児童・生徒の育成」...

(2015-11-11)  全て読む

熊石高閉校記念式典挙行 卒業生としての誇り胸に 地域に愛され続けた67年

熊石高校閉校式典  【江差発】熊石高校(渡辺文貴校長)で十月下旬、閉校記念式典が執り行われた=写真=。関係者約三百二十人が参加。地域に愛された母校が、来年三月に六十七年間の歴史に幕を閉じることを惜しんだ。 ...

(2015-11-10)  全て読む

札幌市開成小が教育実践研究会開く 集団の中で意欲的に学ぶ 根拠をもって話し合う授業

開成小教育実践研究会  札幌市立開成小学校(堀口隆一校長)は五日、同校で開校三十五周年教育実践研究会を開催した。研究主題「集団の中で意欲的に学ぶ子ども」のもと、十八授業を公開。このうち、六年一組国語「海の命」(吉...

(2015-11-10)  全て読む

建設業への興味深めて 北見工業高が現場見学会参加 1年生が建築・土木3現場

北見工業高現場見学会  【網走発】北見工業高校(髙橋豪校長)は十月下旬、網走建設管理部主催の現場見学会に参加した。主要事業の小石川河川改修や3・5・51川東通などの現場を回り、建設業への興味・関心を深めた。  ...

(2015-11-09)  全て読む

帯広市緑園中が公開研究会開く 連帯する学びの創造へ 判断求める問いや話し合い活動

緑園中公開研  【帯広発】帯広市立緑園中学校(辻敦郎校長)は十月下旬、同校で二十七年度公開研究会を開催した。国語や道徳など全十九授業を公開。一年二組道徳「社会に生きる一員として」(小倉康生教諭、生徒数三一...

(2015-11-09)  全て読む

芽室高と帯広大谷短大が協定締結 地域に根ざした教育期待 円滑な高大連携へ協議会も

帯広大谷短大芽室高協定書調印式  【帯広発】芽室高校(山崎雅明校長)と帯広大谷短期大学(田中厚一学長)は十月下旬、同短大で教育連携に関する協定書調印式を挙行した。協定式には、山崎校長、田中学長ら十四人が出席。教員の連携や生...

(2015-11-06)  全て読む

札幌工業高の父兄が工事現場見学 子の進路選択の参考に 建設業への認識深める

札建協見学会  札幌工業高校の父兄は十月二十一日、札幌市内で工事現場見学会に参加した。見学会は、建設業を理解してもらう目的で、一般社団法人札幌建設業協会(岩田圭剛会長)が主催したもの。同校の教諭を含め二十...

(2015-11-05)  全て読む

函館市鍛神小が実践発表会開く 学習指導の充実へ研鑚 全学級の授業公開に100人

鍛神小実践発表会  【函館発】函館市立鍛神小学校(片桐由博校長)は十月三十日、同校で実践発表会を開催した。学力向上を目的とした授業改善に取り組む全学級の授業を公開したほか、道教育大学の小松一保教授を講師に迎え...

(2015-11-05)  全て読む