道教委が小・中学校校長研修会 学力調査問題から授業イメージ 国研・新井調査官が講演
(道・道教委 2015-11-16付)

小中校長研
道教委主催小中校長研―国研・新居調査官講演

 道教委は十二日、ホテルライフォート札幌で北海道小学校・中学校校長研修会を開催した。国立教育政策研究所教育課程研究センター学力調査官・教育課程調査官の新井仁氏=写真=が講演したほか、道教委義務教育課の波岸克泰主幹が行政説明。新井調査官は「全国学力・学習状況調査は、学習指導要領に示されている内容の具体を問題として提供しているもの。問題そのものから授業をイメージして授業改善に生かして」などと呼びかけた。

 小・中学校の校長が、これからの本道教育の現状や課題について、講演などを通して理解を深め、学校教育の充実や向上を図るために行っている研修会。今回は、国研の新井調査官が「全国学力・学習状況調査の結果を踏まえた授業改善の方策~今、求められる学力の向上を目指して」をテーマに講演した。

 新井調査官は、社会が求める人材について、「言われる前に動ける人」「自ら課題をみつけられる人」「課題解決に向けて思考できる人」と定義付けた。一方で、学校教育では、「言われたことをこなす生徒」「与えられた問題に取り組む生徒」「学んだ方法で正しく解決できる生徒」を育てようとしていると指摘。「日本における一人当たりのGDPが下がり、生産年齢人口が減る中、教わったことだけができる人材では、日本を支えることができないのでは」と疑問を投げかけた。

 特に、学校では、「一方的な講義形式の授業ではなく、児童生徒の主体的・能動的な学習、追究する活動が大切」「言語活動の本来の趣旨を誤解している学校がある」と指摘。言語活動は、「児童生徒の思考力・判断力・表現力等を育む有効な手段」で、言語活動そのものを目的としないよう呼びかけた。

 各教科等の指導のねらいを明確にした上で、言語活動を適切に位置付けた学校の児童生徒や、総合的な学習の時間の趣旨に即した活動に取り組む児童生徒が、全国学力・学習状況調査における正答率が高い傾向にあることを示し、「チーム学校として、多面的に児童生徒をみて評価し、伸ばしてほしい」と求めた。

 道内の児童の正答率が、全国平均より低かった小学校算数Bの問題を例に挙げ、「全国学力・学習状況調査は、学習指導要領に示されている内容の具体を問題として提供しているもの。問題そのものから授業をイメージして授業改善に生かして」と、正答率を上げること自体を目的にしないよう求めた。

 特に、「活用」に関するB問題は、ただ解かせて終わるのではなく、問題に埋め込まれた文脈をとらえて授業の流れをつくるよう要望。「記述問題は、授業における的を射た発問に生かしてこそ価値がある。調査を受けた小学校六年生、中学校三年生に還元することを忘れないで」と呼びかけた。

 最後に、来年度の調査問題の方向性について言及し、「中学校数学Aでは同様の問題を出していても、毎年できない問題がある」「B問題は、過去と同様の場面を出すことはないが、教員が過去の問題を解くことで、自身の回答がどの類型に当たるのか気づくことで授業改善につながる」とアドバイスした。

(道・道教委 2015-11-16付)

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