道小第4回理事研・松井会長のあいさつ概要 教職員定数削減案―関係団体に動き広め 英語教育は中学校との有機的接続を(関係団体 2015-11-18付)
道小・松井会長あいさつ
十二日に開かれた道小学校長会第四回理事研修会における松井光一会長=写真=のあいさつ概要はつぎのとおり。
十勝大会時に開催した第三回理事研修会から、およそ二ヵ月ぶりの理事研修会の開催となる。
この間の教育の動きについて、三点話したい。
一点目は、教職員定数削減に反対する「チーム北海道」としての道小の動きについて。
十月二十八日、中央教育審議会から「教職員定数の機械的な削減ではなく、多様な教育課題や地域のニーズに応じた確固たる教育活動を行うために必要な教職員数を、戦略的に充実・確保すべきである」という、「教職員定数にかかる緊急提言」が出された。
これは、教育を最重要課題と掲げている内閣が、多くの教育課題の解決に取り組んでいる状況の中、公立学校の教職員定数について、財政制度等審議会において、児童生徒数の減少に合わせて加配定数も含め教職員定数を機械的に削減すべきとの考え方が示されたことに反対するもの。
これは、「現在の学校現場の状況を全く理解していない、財政的視点のみの机上の空論であり、極めて遺憾である」との全国連合小学校長会や全日本中学校長会からの文書が届いた。
そこで、現在行われている財政論の観点からの現場の実情を全く顧みない財政制度等審議会の議論に断固反対するとの立場を、道中学校長会と共有し、「チーム北海道」という立場から、北海道教育緊急要望書を各関係機関に提出した。
六日には、道内選出の国会議員宛に送付するとともに、複雑化・多様化する学校現場におけるきめ細かな指導の充実を図るため、教職員定数の改善をはじめとする教育諸条件の整備こそが今、真に求められているものであると訴え、定数削減案反対に向けての道教委の協力を求めてきた。
山本教育部長、杉本学校教育監ともに、現場の先生方の努力や、きめ細かな支援の必要性を認め、削減反対に向けた動きを教育関係者以外にも広めていきたいとの話をいただいた。
今後は、高橋知事をはじめ、各関係市町村の首長との動きを作り出していかなければならない。
二点目は、「全連小組織及び運営に関する特別委員会の中間報告」について。
二十九年度からの税源移譲に伴い、政令指定都市教職員の給与負担等が県から市へ移譲されることを踏まえ、全連小組織団体の在り方を再検討する必要があるため、「組織および運営に関する特別委員会」を設置し、いわゆる政令指定都市への税源移譲に伴う全連小の組織の在り方について中間まとめを出した。
政令指定都市への税源移譲に伴う全連小組織の在り方については、教育行政における責任と権限の一元化を図ることができるようになる。そこで、この機会に、従来の道府県校長会に大きく包含された中で、県としての凝集性を失わずに、政令指定都市校長会の独自性をも求める校長会があるとともに、道府県単位の校長会からの分離独立を図り、政令指定都市校長会とする方向性を打ち出している校長会も存在する。
しかし、全連小としては、従来どおり都道府県単位を一つの組織団体として全連小に加盟することで、より一層凝集性を高め、自らの使命を自覚し、展望をもち理想の実現にまい進することが願いであるため、全連小は、組織団体の本質を変えることなく、各都道府県の校長会が一つに結集できるようにしていくとしている。
改正の方向性については、
①政令指定都市への税源移譲があっても、全国の公立小学校の全校長をもって組織を維持していく
②全連小は、各都道府県小学校長会および各政令指定都市小学校長会をもって組織する
③全連小には、各都道府県単位で加入する
④上記③の単位を、全連小の組織団体とする
―となっている。
ここで少し気になるのは、「全連小は、各都道府県小学校長会および各政令指定都市小学校長会をもって組織する」の文言である。
県によっては、政令市の分離独立もあることから、「各政令指定都市小学校長会をもって」と入れたということ。
また、「全連小には、各都道府県単位で加入する」とあるが、「全連小には、各都道府県単位で一つの組織団体として加入する」という意味になるから、全連小は今までの道小の抑えどおり、各都道府県単位を一つの組織団体としてみるので、本道は、今までどおり、札幌市を含んだ北海道としてみていくということである。
三点目は、全国大会における文部科学省の講話について。講話の中で、特に重要と思われる部分を話したい。
今、向き合わなければならないわが国の状況であるが、今進めている教育諸制度の改革について、とりわけ、真の学力をはぐくむ施策について、どういう背景状況で行っているのかということである。
つい最近まで、日本はGDP世界第二位、経済大国といわれていたが、一人当たりのGDPは、もはや第十位、日本の国際的な存在感の低下が叫ばれて久しい。
一方で、中国・インドなどアジア諸国が急速なグローバル化をしており、わが国がこのまま経済大国として生き残っていく、持続的な成長を維持するためには、グローバル化対応が欠くことのできないものである。
かたや、少子高齢化など先進諸国において急速に進んでいる。五十年後には総人口の三割が減少し、六十五歳以上の人口が総人口の約四割に達するといわれている。
そうすると、生産年齢人口も減っていく。当然一人当たりを支える人口の割合が高まっていく。
今、文科省が最大限の力で取り組んでいるのが高大接続改革である。厳しい時代を乗り越え、新たな価値を創造していくため、知識の量だけではなく、「真の学ぶ力」が必要である。その真の学ぶ力を多面的に評価するための改革を行い、高校教育の改革を行う、大学教育の改革を行うという、三位一体の改革を行う。
学力の三要素ということで、①十分な知識・技能②それらを基盤にして、答えが一つの定まらない正解のない答えにも柔軟に対応できるような思考力判断力表現力を身に付ける③多様な主体性をもってコミュニケートしながら協働していく意欲態度―をしっかり評価していくことが必要である。
英語教育の抜本的強化のイメージであるが、現行学習指導要領から、外国語活動が、小学校高学年で始まっている。年間三十五単位時間で、聞く話すを中心としたコミュニケーション能力の素地を養うということで行っている。
この成果を踏まえて、「もう少し、文字学習をやってみたい」という実際の児童の声、さらに、中学校に連携、有機的な形でつないでいかなければならいという成果と課題を踏まえ、諸外国における英語教育の実践なども参考にしながら、今回、論点整理においては、小学校中学年から活動型を導入していく、聞く話すを中心としたコミュニケーション能力の素地を養う活動を、学級担任あるいはALT等が指導する、現在五・六年生がやっている外国語活動を早期化して、三・四年生から実施するということである。年間三十五単位時間を念頭に置いて提言されている。
五・六年生については、四技能の総合的なコミュニケーション能力の基礎を培う。教科化を図って系統的に指導していこう、教科として検定教科書を導入した形で、これを系統的に指導していくことが提言されている。
年間七十単位時間について、教科として系統的に学ぶため、効果的な「繰り返し学習」としてモジュール学習の活用も視野に入れた検討を行うべきだということが言われている。
この点に関しては、前の学習指導要領改訂の議論の中で、学習指導要領の標準授業時数を増加する場合、小学校は週二十八コマが限度と考えられるといわれている。
そこを念頭に置きながら、モジュールの一部活用などを考え、具体的な小学校の授業時数については、教育課程全体の中で、小学校部会や専門部会であるとか、そういう関係の部会での議論を経て年内年明けまでには授業時数をどうするかということを、一定の方向性を提示しなければならないと考えている。高学年の年間七十時間、中学年の年間三十五時間をどうやって捻出するというのも大きな課題。鋭意検討し、年明けぐらいまでには一定の方向性を得たいと考えている。
理事研修会においては、道小教育研究十勝大会の評価と、今後の改善に向けた協議をいただく時間等を取った。今後の大会充実に向け、理事の皆さんの積極的な発言をお願いしたい。
(関係団体 2015-11-18付)
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