道教委27年度全国学力・学習状況調査北海道版結果報告書 家庭学習の習慣が不十分 授業改善目標提示・振り返りに課題(道・道教委 2015-11-26付)
道教委は、『二十七年度全国学力・学習状況調査北海道版結果報告書』を取りまとめ、二十五日の道議会文教委員会に報告した。本年度は新たに上位の秋田県と比較・分析を行い、学習習慣・生活習慣および授業改善に関する本道の課題を明確化。授業の冒頭で目標を示し、最後に振り返る活動を行うことに課題があり、家庭学習の習慣が十分に身に付いていないことが明らかとなった。同意した百三十五市町村における小・中学校の状況と学力向上策も掲載しており、道教委では、「各地域で学校・家庭・地域・行政が課題を共有するとともに、各市町村がお互いの学力向上策を参考にしてほしい」と期待している。
八月に二十七年度全国学力・学習状況調査における道内公立小・中学校の調査結果概要を公表しており、今回は全道および各管内のほか、事前に同意が得られた百三十五市町村の小・中学校の状況と学力向上策を掲載した報告書をまとめた。
本年度は新たに秋田県の学校の取組や児童生徒の学習習慣・生活習慣との比較・分析を行い、本道の学習習慣・生活習慣および授業改善に関する課題を明確化した。
報告書から、本道の特徴的なデータをみると―。
【全道の状況】
全国を一〇〇として、各領域等の平均正答率をみると、小学校の国語Aは、「話すこと・聞くこと」が八九・四などと十領域すべてで全国を下回っている。算数Aも「量と測定」が九三・三など、八領域すべてが下回った。
一方、中学校国語Aでは「話すこと・聞くこと」が一〇〇・一など、七領域が全国と同様または上回っている。
児童生徒質問紙調査では、小・中学校ともに、「国語・理科の勉強が好き」な児童生徒や「家で学校の授業の予習や復習をしている」「家で自分で計画を立てて勉強をしている」児童生徒の割合は全国を上回っている一方で、「一時間以上勉強する」児童の割合は全国を下回る八七・一(秋田県は一一五・二)、生徒は九一・三(同一一七・〇)だった。
学校質問紙調査では、小・中学校ともに、「家庭学習の課題の与え方について、教職員で共通理解を図った」「保護者に対して児童生徒の家庭学習を促すような働きかけを行った」学校の割合は全国を上回っているが、小学校では「国語、算数の家庭学習の課題をよく与えた」学校、中学校では「国語の家庭学習の課題をよく与えた」学校は全国を下回っている。
また、授業の冒頭で学習の目標を示す活動を計画的に「よく行った」学校は全国より少ない。授業の最後に学習を振り返る活動を計画的に「よく行った」学校は、全国に比べると多いが、秋田県よりは少ない。
授業で扱うノートに学習の目標とまとめを書く指導を「よく行った」学校も全国より多いが、秋田県より少なかった。
【管内の状況】
平均正答率が全国を上回った管内をみると、小学校は、国語Aで渡島、国語Bで上川。中学校では、国語Aおよび国語Bで石狩、桧山、上川、留萌、十勝、数学Aで石狩、桧山、十勝、数学Bで石狩、留萌、理科で空知、石狩、桧山、上川、留萌、十勝となっている。
道教委では、一日当たりの勉強時間が少ない管内は、家庭学習の習慣化が課題と分析。授業の冒頭で、目標を児童生徒に示す活動を計画的に行った学校や、授業の最後に振り返る活動を計画的に行った学校の割合が少ない管内は、授業改善が課題となるなど、管内ごとの課題解決の方向性が明らかになったことを示している。
【市町村の状況】
市町村の規模別の平均正答率をみると、「大都市・中核市」は小学校のすべての教科で全国を下回っている。中学校では、国語Aが七六・九%と全国より一・一ポイント高く、国語Bが六六・七%と全国より〇・九ポイント高かった。
「その他の市」は小・中学校のすべての教科で全国を下回っているが、前回と比較して小学校の国語B、算数B、中学校の国語Bで差が縮まっている。
「町村」も小・中学校のすべての教科で全国を下回っているが、前回と比べ小学校の国語B、算数B、中学校すべての教科で差が縮まっている。
掲載市町村数が、前年度の八十六市町村から百三十五市町村に増加したことについて、道教委では「市町村教委で公表の意義や掲載市町村間で視察するなど成果を上げた事例などを丁寧に説明してきたため」と述べている。
報告書の中では、各市町村の教科全体の状況、平均正答率の全国との差の推移、質問紙調査の特色、分析結果、学力向上策などを提示。学力向上の取組としては、長期休業期間中に児童生徒を対象とした町教委主催の学習支援を行い、地域人材を活用することで意欲的に学習に取り組むようになった実践を報告。生活習慣の課題解決のために保護者の啓発を進めた取組、家庭学習の手引きの作成、指導方法や学習内容の連続性について小・中学校教員が共通理解を図る研修などの実践も示している。
◆学力向上の機運高まりに期待―道教委・柴田教育長がコメント
本道の状況は、全国の平均正答率との差が五教科で縮まり、中学校国語A、中学校理科は全国平均以上となるなど、前年度に引き続き改善の傾向がみられ、教育委員会や学校、家庭、地域の取組が一定の成果として着実に現れてきたものと受け止めているが、授業改善や生活習慣にかかわっては、授業の冒頭で目標を示したり、最後に振り返ったりする活動に課題があることや、子どもたちに家庭学習の習慣が十分身に付いていないことが、より明確になってきた。
また、公表に同意をいただいた市町村の掲載内容は、レーダーチャートや学力向上策など、それぞれの特色が表れるようにしているものであり、各地域において、学校、家庭、地域、行政が課題を共有し、一体となった学力向上の取組が一層促進され、本道全体の学力向上の機運がさらに高まることを期待している。
道教委では、本道の児童生徒の学力向上の取組を引き続き推進していくので、教育関係者や保護者の方々はもとより、広く道民の皆さんの理解と支援をたまわるよう、よろしくお願い申し上げる。
(道・道教委 2015-11-26付)
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