道公立学校事務長会―人材育成等にかかるアンケート調査結果 危機管理・実務能力などの資質向上重要 職員のコミュニケーションスキル求める(関係団体 2016-01-14付)
道公立学校事務長会(永井進会長)は、五十歳以下の事務長(六十校)を対象とした「人材育成等にかかるアンケート調査」の集計結果をまとめた。学校運営の機能強化を図るために初めて調査したもの。事務長に求められる資質・能力として、「危機管理能力」「実務能力」「決断力・判断力」を挙げる回答が多かった。職員のスキルに対しては、「実務に関する知識」「コミュニケーションスキル」を求める結果となった。
各学校では、道立学校運営支援室の設置や、高校修学支援金制度および奨学給付金制度の導入などで事務室の業務が多様化している。このため、道公立学校事務長会が学校運営強化の一環として、事務長を含む人材育成等に関するアンケート調査を初めて実施した。
調査結果は、経験年数の浅い事務長のスキルアップや、事務職員の効果的な人材育成に役立てていくことにしている。
調査は、五十歳以下の事務長のいる六十校が対象。ことし八月に行い、回答数は五十八校(回答率九七%)だった。
設問別にみると、業務の煩雑さや業務量縮減に有効と考える取組(上位二つを選択)については、「各種調査の見直し」と「業務量にあった定数の見直し」がいずれも二十九人と多かった。次いで、「学校と支援室で行う業務の見直し」が二十一人、「さらなる業務の集約」が九人などとなっている。
具体的な手立てについては、「工事の設計書作成・公有財産の登記事務を処理する専門チームを設置する」「本庁と教育局で各種調査内容を精選する」「生徒数、間口数による機械的な配置ではなく柔軟な定数配置が必要」という意見が挙がった。
事務職員の業務進行管理の現状に関しては、「身に付いている」が二十六人、「身に付いているものと身に付いていないものがある」が二十二人、「身に付いていない」が九人。
業務進行管理を習慣付ける取組では、「定期的な打ち合わせを行っている」「問題点を気軽に話せる雰囲気づくり」「行事予定板に書き込む」などが示された。
また、職員の事務処理能力を高める効果のある取組では、「相談しやすい事務室の環境」が三十三人、「職場外研修」が二十二人、「学校と支援室の積極的な人事異動」が十五人、「職場研修(OJT)」が十四人の順で多かった。
調査の中で、OJTを実施しているのは二十二人で、実施していないのは三十六人。実施できない理由として、「実践する時間がない」「研修に対する事務職員の理解がない」などが挙げられている。
OJTの効果がある理由(上位二つを選択)では、「職員に応じた個別指導」が二十七人、「コミュニケーションによって人間関係が構築できる」が二十一人、「いつでも指導が可能」が十八人など。効果がない理由は、「講師が限られ、事務長自身の考え方でしか話すことができない」「経験や知識不足によって間違ったことを指導する可能性が高い」「職員の事務力の差が激しすぎると研修設定が難しい」という声が寄せられた。
研修や自己啓発において職員に望む設問(上位二つを選択)では、「実務に関する知識」が五十四人、「コミュニケーションスキル」が三十人と多かった。
職員の人材育成で行っていることでは、「自分の経験を話したり、他校の事務処理方法などを教える」「同じ分掌を長期化させず、お互い教え合いながら新しいことを経験させる」「前例踏襲ではなく、常に疑問点をもち考えさせる」などが示された。
事務長の資質向上では、「事務長に求められる能力(上位二つ選択)」として「危機管理能力」が二十三人、「実務能力」が二十二人、「決断力・判断力」が二十一人、「コミュニケーション能力」が二十人の順で多かった。「資質を高めるために有効だと思うもの(上位二つ選択)」は、「コミュニケーションスキルの習得」が三十六人、「コーチング技術の習得」が二十二人、「セルフコントロールの訓練」が十八人と続いた。
具体的な実践では、「財務規則、条例、各種手引きの読み直し」「長く経験していない事務分掌の担当」「パソコン能力の向上」などが挙げられた。
道公立学校事務長会では調査を通じ、「事務長が実務に精通することによって、職員への適切な指導が可能になり、他者との信頼を築いていく」「率先してコミュニケーションを心がけることで事務室の活性化を図ることを多くの人が重要視している」「人材育成や資質向上に関する研修会の開催について要望を挙げることも必要」と分析している。
(関係団体 2016-01-14付)
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