「近美コレクション」開催中 『さとぽろ』の全貌を 3月21日まで―道立近代美術館
(道・道教委 2016-02-05付)

近美、『さとぽろ』とその時代
『さとぽろ』とその時代

 道立近代美術館は、「近美コレクション」を開催している。今回は、一九二五年に札幌で発刊された芸術雑誌『さとぽろ』全号の内容を紹介し、その軌跡をたどる「『さとぽろ』とその時代 詩・版画・都市のモダニズム」のほか、「アートのことば」、「冬季名品選―ライリー《アレスト1》他」の三つの展覧会を同時開催。三月二十一日まで。

◆『さとぽろ』とその時代

 一九二五年六月、札幌で詩と創作版画の雑誌『さとぽろ』が誕生した。創刊同人は外山卯三郎、伊藤秀五郎、服部光平、伊藤義輝など、北海道帝国大学(現北海道大学)の学生と教師。自画・自刻・自刷りの版画を貼りこみ、詩やエッセイによって構成する珠玉の雑誌だった。

 一九二九年、通算二十九号を最後に終刊し、活動期間は約四年という短いものだったが、美術と文学はもちろんのこと、音楽、演劇、建築など様々な芸術の最新の動向に敏感に反応し、雑誌の刊行以外にも、展覧会、舞台、コンサートなどの活動を積極的に展開。

 同展は、芸術雑誌『さとぽろ』の全貌を紹介し、その活動の軌跡をたどるとともに、代表的な創作版画を中心に展示。また、雑誌交換を行ったことが確認できる他の芸術雑誌をあわせて紹介し、日本の戦前の芸術雑誌の潮流における、『さとぽろ』の位置を浮かび上がらせる。

 さらに、『さとぽろ』に途中から参加した建築家・田上義也に焦点を当て、田上が『さとぽろ』の人脈とのかかわりの中から生み出していったモダンな建築や、住宅のために設計された家具を展示。

 また、同展は、『さとぽろ』創刊九十年を記念して開催するもので、道立文学館「『さとぽろ』発見 大正昭和・札幌 芸術雑誌にかけた夢」展(三月二十七日まで)と連携して企画。同館では「本展ならびに文学館『さとぽろ』発見展をあわせて見ていただくことによって、『さとぽろ』をより豊かに味わっていただくことができるのでは」としている。

◆アートのことば

 「芸術は自然を模倣する」など、芸術に関する名言は、古今東西の様々な作品を理解する手助けとして、世の人々に広く知れ渡り、もてはやされてきた。また、優れた芸術家たちが放つ言葉には、創作と修練の境地から生み出される独自の重さがあり、私たちの記憶に強く残ってきた。

 同展覧会では、名言の意味と作品の意味、双方を理解するひとつの手立てとして、ルネ・マグリット、ブリジット・ライリーから宮島達男まで、現代的作品とともに、芸術に関する名言を並べて紹介している。

◆冬季名品選

 「エコール・ド・パリ」「北海道の美術」「ガラス工芸」を柱とする同館のコレクションは、現在五千四十七点に達している。「名品選」は、この中から代表的な作品や展示の希望の多い人気作品を中心に、春夏秋冬の四季に分けて紹介。

 冬季の名品選では、錯視の効果を特徴とする抽象芸術「オブティカル・アート」の代表的作家として知られるブリジット・ライリーの「アレスト1」をはじめ、江戸の女性を描いた浮世絵、アール・ヌーヴォー期からアール・デコ期を中心とするガラス工芸、作家の自由な発想が込められた実用性にとらわれないやきもののシリーズ、北海道を描いた青山熊治、国松登、小川原脩などの作品を紹介。また、藤田嗣治のステンドグラスと挿絵本など作品百二点を展示している。

 近美コレクションは三月二十一日まで。観覧料は、一般五百十円、高大生二百五十円。中学生以下と六十五歳以上は無料。土曜日は高校生無料。

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近美、アートのことば
アートのことば
近美、冬季名品選
冬季名品選

(道・道教委 2016-02-05付)

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