道研が本年度第2回運営協議会開く 6会場で小学校理科研修講座 能力開発型講座の導入計画(道・道教委 2016-03-04付)
28年度研修事業などについて説明があった
道立教育研究所は二月下旬、同所で二十七年度第二回運営協議会を開催した=写真=。二十七年度事業の実施状況や事業評価、二十八年度の研修事業などについて説明。次年度の研修講座について、教員の実践的指導力の向上に向け、理科パワーUPプロジェクトに代わる研修として、「小学校理科研修講座」を新たに全道六会場で開催することや、講義と演習を一体化し、ワークショップ型の演習を取り入れた能力開発型の講座の設定などを計画していることを説明した。
冒頭、あいさつに立った西崎毅所長は「国は、急ピッチで教育改革を進めている。国際標準としての学力の育成、道徳教育の充実、外国語教育、さらには学校組織マネジメントなど様々な課題があり、こうした課題の解決のためには、児童生徒の指導に当たる教職員の資質向上が欠かせない」と指摘。「教育研究や教員研修の専門機関として学校の組織力の向上、個々の教員の資質能力の向上に向け、その責務を十分に果たしていきたい」との考えを示し、幅広い視点からきたんのない意見、助言を求めた。
議事に移り、渡辺俊之総務部長が二十七年度事業の実施状況について報告。研修事業について、道研を会場とする研修で、本体講座は三十八講座を実施し、八百三十二人、特別研修は十講座を実施し、百六十九人が受講。「合わせて四十八講座に一千一人の教員が参加。定員八百七十三人に対する充足率は一一四・七%となり、前年度を二・〇ポイント上回った」などと報告した。
次いで、鈴木淳企画・研修部長が二十七年度の事業評価について報告。道研を会場として行う研修事業については、「研修講座に関するアンケート」と「二か月後アンケート」をもとに評価していると説明。研修事業にかかる事業評価について、「学力向上」「いじめの防止」「ICT活用」「研修成果の普及・還元の促進」「市町村教委との連携強化」の五つの視点から説明、解説した。
このうち、学力向上を図る授業改善の一層の促進にかかわり、文部科学省教科調査官や大学教授などによる基調講義の内容と直結する講座構成などに工夫を凝らした国語科と算数・数学科(いずれも義務)について解説。基調講義は、国語科は二十九人中二十七人、算数・数学科は十六人中十三人の受講者からA(満足)評価を得た。また、基調講義と関連を図った講義・演習・実践発表、授業参観を行ったことで、国語科、算数・数学科ともに、「自己課題・学校課題について改善充実を図る視点を見いだすことができた」「講座のねらいに即して、幅広い知識・技術を身に付けることができた」の項目で、A評価が多数を占めた。
引き続き、渡部道博研究・相談部長が二十八年度の研修事業について説明、解説した。
来年度は計五十三講座を開設。教科指導等研修の中に、特別活動や総合的な学習時間といった教科ではない領域の講座が混在していたことから、教科と領域のカテゴリーを設けて整理。本年度実施した「校長の学校経営力」や「副校長・教頭の学校運営力」は、他の講座との並びを踏まえて、「学校経営」、「学校経営・運営」と講座名の見直しを図った。
研修講座開設のポイントについて、①キャリアステージに応じた研修の充実②教員の実践的指導力の向上③今日的課題等への対応④生徒指導、教育相談の充実⑤ICT活用、情報モラル教育等の充実―の五点を提示。
①では、受講対象を限定した講座を設定。「学校経営」では、経験年数二、三年目の校長を中心に、これまでの学校経営を振り返り、経営ビジョンの改善を進める内容の研修を実施。「学校経営・運営」では、副校長および二校以上を経験した教頭を中心に、組織マネジメントを進める経営力を高める研修を実施する。両講座のすべてを公開講義として研修の機会を提供。
さらに、若手教員の広範な指導力向上を図るため、「学級経営」「特別活動」を連続して受講できるよう日程を設定した。
②では、講義と演習を一体化し、ワークショップ型の演習を取り入れた能力開発型の講座を設定。実践発表を通した具体的な授業改善の手立てをイメージできるようにするとともに、講座によっては、コース別のメニューを設けるなど、受講者の研修ニーズに応じた講座を設定する。
理科教育にかかわり、「理科パワーUPプロジェクト研修」の成果を踏まえ、観察、実験を中心とした授業づくりにかかる講座を「小学校理科研究講座」として全道六会場で開催。
また、一部の講座では、事前研修として、e―ラーニングを活用した効果的で質の高い講座とする。
③では、今日的な教育課題を踏まえ、特別支援教育、アクティブ・ラーニング、コミュニティ・スクール、チーム学校、主権者教育、授業改善などにかかわる説明、資料などを提供。北海道が抱えている教育課題に対応する研修内容を一層充実する。
④では、子ども理解支援ツール「ほっと」や、いじめ未然防止プログラムの活用などによって、児童生徒理解に基づく生徒指導や、教育相談の推進を図る。
⑤では、タブレット端末の設定や操作演習、模擬授業の実施など、ICTを活用した授業づくりにかかる講座を設定。SNSの体験演習、情報モラルに関する指導計画の充実など、ネットトラブルの未然防止を図る情報モラルにかかる講座を設定する。
このほか、道研から出向いて行う研修では、各管内の教育研究所や研修センターと連携してきたミニ道研を、連携先を明確にするために、名称を「管内研修センター等連携研修講座」と変更。道内の広域性に対応するため、遠隔システムを使った研修を試行する。
委員からは、「小・中・高、特別支援学校の四校種の教員を対象に一つの研修講座をやるのは難しいと思う。やり方を工夫するなど研修の在り方について検討していただきたい」「北海道にはユネスコスクールとして、ESDに取り組んでいる小・中・高合わせて四十校ほどあるので、その実践も研修の中に含めていただければ、具体的な内容を身近に道内の実践から学ぶことができるのでは」などの意見が挙がった。
(道・道教委 2016-03-04付)
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