メンタルヘルスを高める職場のコミュニケーションづくり №12 メンタルヘルスを高め児童生徒との信頼関係を深めるかかわり②
(メンタルヘルス 2016-10-04付)

メンタルヘルス⑫
望ましい態度の育成に向けて、教師が考える結論に誘導せず、子どもの口で語らせるかかわりが大切になる

 廊下を通ると子どもたち数人が、「〇〇先生が切れた」と嘲笑気味に話をしていました。子どもたちを指導するために理由を訪ねると、「廊下で遊んでいたらいきなり怒鳴られ、“態度が悪い”と言われたので頭に来て無視をした」と口々に言いました。

 態度を強調した指導は、感情の対立になりやすく修復が難しくなります。教育活動を進める上で指導しなければならない場面が多々ありますが、反発され教師自身のメンタルヘルスを低下させることなく、子どもたち自身が自らの行動を振り返り、自主的・自律的に改善することができる質問法を紹介します。

          ◇          ◇          ◇

〇リストラティブ・クエスチョン(元気を回復する質問)

①どうしたの、何があったの

②そのとき、何を考えていたの   

③そのとき、どのように感じていたの 

④そのことで、誰が嫌な思いをしたと思う

⑤その問題を解決するため(よい方向にもっていく)に何をする必要がある?

          ◇          ◇          ◇

◆リストラティブ・クエスチョン(元気を回復する質問)

 子どもたちの様々な失敗に、威圧的で断定的な言葉を使って指導し気まずい思いをした経験をもつ教師は少なくありません。しかし、威圧や断定だけでは子どもたちを卑屈にさせ、反発心を芽生えさせてしまいます。「どうして黙っている」と何度聞いても、心を閉ざした子どもたちは何も語ろうとしません。子どもたちの心の中では、「どうせ、先生に言っても分かってもらえない」と嵐が通りすぎるのを待っているのです。問題行動の指導は、自らの行動の重大さを理解させ、望ましい態度の育成に向け考え方や行動を変容させることです。

 リストラティブ・クエスチョンは、「こうしろ(命令)・だめだ(否定)・こうだろう(先入観の押しつけ)」ではなく、子どもたちが心を開き、自ら招いた問題に正対し、解決を図ろうとする態度の育成を図ることができます。 

 ①では、心を開かせるため、眉をつり上げいきなりしかりつけたりせず、静かに何があったのか質問します。つぎに、②ではそのときの状況を振り返らせ、③では自分なりに感じていたことを話してもらいます。④では自分が行ってしまった行為に対して、誰がどんな気持ちでいるのか考えさせます。⑤では自分の責任において、何をなすべきか具体的に考えさせます。

 中には、「自分は悪くはない。相手に非がある」と主張するなど、自分の行為を正当化する子どもたちもいます。このような場合は、№8(八月十九日付6面)で説明した聴き方によって傾聴し、自分の行為を振り返らせながらリストラティブ・クエスチョンを進めます。

 進める上での留意点は、先入観をもって、教師が考えている結論に誘導しないことです。反省し改善をするのは子ども自身であり、子どもの口で語らせることが大切です。

(公立学校共済組合北海道支部学校支援アドバイザー・石垣則昭)

(メンタルヘルス 2016-10-04付)

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