メンタルヘルスを高める職場のコミュニケーションづくり №10 職員室、事務室の融和的関係を築く「アサーション」(メンタルヘルス 2016-09-21付)
アサーティブな表現を身に付けることで、互いが納得する結論を導き出し、歩み寄ることが期待される
アサーションとは、自分も相手も大切にする気持ちのよい自己表現法のことです。日常生活の中でアサーションを取り入れることにより、適切な表現力とコミュニケーション力が身に付き、心地よい人間関係を築くことができます。
私たちは日ごろ、自分の気持ちや意見を上手く言えず残念な思いをしたり、つい言い過ぎ、気まずい思いをしたりすることがあります。このような表現は対人関係でのつまずきとなり、メンタルヘルスを不安定にします。
アサーションは、このようなことに陥ることなく、自分の気持ちや意見を大切にしながら率直に相手に伝えると同時に、相手の気持ちや考えも尊重し耳を傾けるやりとりを言います。
◇ ◇ ◇
相手の攻撃的な言い方に対して
①どうしてそんな言い方をするのですか。そんな言い方をされなくても分かります
②分かりました。すいません…
③指摘ありがとうございます。でももう少し穏やかに言ってもらうと助かります
◇ ◇ ◇
①は、攻撃的な言い方で返していますが、後悔や後味の悪さを感じ対立に発展します。
②は、そのような言い方に納得ができなくても相手に従うため、欲求不満がたまり無気力に陥ります。
③のアサーションでは攻撃的な言い方をされても、まず相手の気持ちを考え指摘を受け入れています。そのあと、ストレスをためることがないよう自分の気持ちを述べています。
このような受け答えすると納得する結論が得られ、お互いに歩み寄ることができます。
◆アサーションを進める上で大切なこと
アサーションができている状態を、アサーティブと言います。アサーティブとは、自分の気持ちや考えをその場にふさわしい方法で表現することをいいますが、アサーションを進める上でつぎのような内容に留意することが大切です。
一つ目は、アサーティブではない思い込みを変えることです。たとえば、「とやかく言われながらの仕事はしたくない」「人に仕事を手伝ってもらうのは恥だ」などは、アサーションを進める妨げになります。
二つ目は、自分を知ることです。相手から攻撃的に言われたとき、カーッとなり攻撃的な態度を取ったり、黙り込み非主張的な態度を取ったりするのではなく、№9で説明した「私メッセージ」を使い、アサーティブな表現に心がけることが大切です。
三つ目は、結果にとらわれすぎないことです。自分の言うことが相手にどうとらえられてしまうのだろうかと、不安な面持ちでアサーションを進めると、伝えたい意図が相手に伝わりづらくなります。
四つ目は、実践的に学びスキルを身に付けることです。職員室や事務室、授業や家庭など、様々な場面でアサーティブな表現に心がけ、互いの反応を確かめながらスキルを身に付けることが大切です。
(公立学校共済組合北海道支部学校支援アドバイザー・石垣則昭)
(メンタルヘルス 2016-09-21付)
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