札幌北高でSCRUM公開研究会 答え導き出す過程が大切 ALの視点から指導改善―道教委主催
(道・道教委 2017-01-26付)

SCRUM公開研究会
東京学芸大の西村教授が授業を行い、「数学は答えを出すことだけが目的ではない」と訴えた

 道教委主催、石狩教育局主管の「教科等の本質的な学びを踏まえたアクティブ・ラーニングの視点からの学習・指導方法の改善のための実践研究」(SCRUM)にかかる公開研究会が二十日、札幌北高校(大鐘秀峰校長)で開かれた。道内の高校教諭など六十六人が参加し、公開授業や講義を通じて、アクティブ・ラーニング(=AL)の視点で展開する授業の在り方について理解を深めた。

 昨年度、文部科学省が推進するSCRUMの実践地域として道教委が選ばれた。札幌北高のほか、函館稜北高校、旭川東高校、釧路湖陵高校の四校が研究指定校となり、二十八・二十九年度の二ヵ年で、ALの視点から学習・指導方法の改善を図るなど、実践研究に取り組んでいる。

 この日は、札幌北高で公開研究会を開催。公開授業は、東京学芸大学教育学部数学講座の西村圭一教授が「数学的活動を通した主体的・対話的で深い学び」をテーマに行った。一年五組の生徒三十七人を対象に、数学Aの単元「図形の性質」の授業を実施。事象を数理的にとらえ、問題解決の見通しを立て、自立的、協働的に解決することができることを目標とした。

 西村教授は導入で、東京タワーと東京スカイツリーが重なった写真をプロジェクターで表示。「同じように写真を撮るには、東京都内のどの場所から撮るといいか、調べてみよう」と発問し、生徒たちに地図を配布した。

 生徒たちは、東京タワーが約三百㍍、東京スカイツリーが約六百㍍の高さであることから「一対二」と比を見つけ出すなど、試行錯誤を重ねた。

 また、西村教授は「この二つのタワーが同じ高さに見える場所はどこか、すべて探し出して」と発問。

 その上で、「三軒茶屋とお台場、新宿から二つのタワーを見ると、高さが同じように見える場所がある」と補足説明した。

 多くの生徒たちは、補足説明で提示された個所を地図上で線で結び、いくつか三角形を作図した。その図から、三角形の性質を利用して角度や比を見いだすなど、数理的に考察した。

 西村教授は最後に、「数学の問題は答えを出すことだけが目的ではない」と述べ、生徒たちに、「答えを導き出す過程を考えることが何よりも大切」と訴えた。

 このあと、西村教授が授業説明。さらに、文科省初等中等教育局の長尾篤志視学官が「育成すべき資質・能力を育むために」と題して講義を行った。

(道・道教委 2017-01-26付)

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