道学校保健審議会児童生徒の心の健康に関する調査 抑うつ、躁傾向の割合減少 自己効力感は学年上がるごとに低下(道・道教委 2017-10-30付)
道学校保健審議会は『児童生徒の心の健康に関する調査報告書』を取りまとめた。児童生徒の「抑うつ傾向」「躁傾向」「自閉傾向」「自己効力感」「ライフスタイル」に関して、二十三年度に行った前回調査と比較して分析。抑うつ、躁傾向に関する割合は減少傾向にあるものの、一定の割合で存在していることから、心の健康問題の早期発見・早期対応の必要性を指摘している。「自殺念慮あり」の傾向については、全体では減少したが、学年が上がるにつれ傾向が高い。「自己効力感」は、学年が上がるごとに低下する傾向にあり「学校における様々な学習活動で達成感や成就感を感じる経験」「自己肯定感や自己効力感を高める指導」の必要性を指摘している。
調査は、本道における児童生徒の心の健康に関する実態を把握し、今後の心の健康づくりの充実に向けた基礎データとするもの。二十三年度に第一回調査を行い、五年ごとに実施。北海道大学大学院保健科学研究院が調査用紙の作成、集計・分析を行った。
調査期間は二十八年六月から八月まで。全道の公立学校から無作為に抽出した八十一校から、小学三・五年生、中学二年生、高校(全日制)二年生の計五千六十八人の児童生徒に調査用紙を配布。三千二百七十六人(六四・六%)から回答を得て分析した。
調査は、「抑うつ傾向」「躁傾向」「自閉傾向」「自己効力感」「ライフスタイル」に関する無記名によるアンケートで実施。
調査結果をみると、抑うつ傾向が中程度以上と判断された児童生徒全体の割合は、前回調査と比べ三・二ポイント減の九・二%だった。小学五年で増加、それ以外では減少している。
自殺について考えたことや計画したことがあるなどの「自殺念慮あり」は、その程度によって二グループに分類。「一日に何回か細部にわたって考える。または具体的な計画を立て、実際に死のうとしたことがあった」と回答した割合は、〇・六ポイント減の一・九%。「一週間に数回、数分にわたって考えたことがある」が〇・六ポイント減の五・〇%といずれも減少。学年が上がるにつれ高くなる傾向がある。
躁傾向については「最近(一~二週間)において躁傾向があった」児童生徒の割合が〇・六ポイント減の五・九%。過去に躁傾向があった割合は、〇・二ポイント増の八・七%だった。抑うつ、躁に関する割合は増加していないが、一定の割合で存在していることから、報告書では心の健康問題の早期発見、早期対応の必要性を指摘している。
「自閉傾向あり」とされた児童生徒の割合は、〇・七ポイント減の五・一%。自閉傾向のある児童生徒が対人交流や集団への適応に苦労し、抑うつ傾向、躁傾向を示す場合もあることから「発達障がいの有無など様々な要因を考慮し、児童精神科などの専門医や保健所、児童相談所などの関係機関などと連携した支援に努める必要がある」としている。
今回の調査で新しく加わった「自己効力感」に関する調査では、ある状況で必要な行動を効果的に遂行できる可能性を点数化。百十五点満点で評価した。学年が上がるごとに低下する傾向にあり、中学二年、高校二年は一般市民と比べても低い数値だった。報告書では、他者からの称賛や承認、評価が自己評価に影響してくるとし「学校における様々な学習活動で達成感や成就感を感じる経験」「自己肯定感や自己効力感を高める指導」の必要性を挙げている。
ライフスタイルに関しては、前回調査と比べ、外遊びの回数、テレビの視聴時間が減少し、ゲームの時間が増加。スマートフォンやソーシャルメディアを要因の一つと分析している。生活習慣の定着は、家庭が重要な役割を果たすことから、学校・家庭が連携し、望ましい生活習慣の定着に向けた取組を進める必要があるとしている。
(道・道教委 2017-10-30付)
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