斜里町知床ウトロ学校が公開研 主体的・協働的な学びを 義務教育学校移行後初の研究まとめる(学校 2017-11-15付)
吉野教諭は、心情曲線を活用し気持ちの変化を考えさせた
【網走発】斜里町立知床ウトロ学校(長谷博文校長)は二日、同校で公開研究会を開いた。研究主題「ふるさとに誇りをもち、主体的・協働的に学ぶ児童生徒の育成」のもと、国語、算数、保健体育、英語、道徳の六授業を公開。昨年度、義務教育学校に移行してから初めての研究成果を紹介した。
研究副主題には「生活科・総合的な学習の時間との関連を図った各教科等の学びの充実を通して」を掲げ、主体的・協働的に課題を解決する児童生徒の育成を目標とする総合的な学習の時間と、各教科等で身に付けた力を相互に活用することで「各教科等の学びをより確かにすること」「一貫性のある授業を展開し資質・能力を効果的に身に付けさせること」を目指した。本年度は二ヵ年研究の最終年度となっており、研究の視点には、①児童生徒が主体的に学ぶための必然性のある課題設定の工夫②児童生徒が協働的に学ぶための学び合う言語活動の設定の工夫③児童生徒が学びの実感や手応えを得るための評価の工夫―の三点を設定し、研究を進めてきた。
◆3年生国語「物語を紹介」
公開した授業のうち、三年国語「物語のおもしろいところをしょうかいしよう〝モチモチの木〟」(吉野郁未教諭、児童数一一人)は十七時間扱いの五時間目。本時の目標を「豆太の気持ちが大きく変化したところは、倒れたじさまを助けるために医者様を呼びに行ったところだと読み取ることができる」と設定した。また「情報を収集し、整理・分析したことを表現する力」を育成し、総合的な学習の時間における資質・能力向上に寄与することを目指した。
吉野教諭ははじめに、前時までの内容を振り返り、豆太の人物像について「臆病」「昼と夜での様子が違う」ということを確認した。
それを踏まえ、研究の視点①の観点から「ひとりじゃしょうべんもできない」「じさまから、モチモチの木に灯がともることを聞く」「じさまが、はらいたでたおれた」「しょうべんにじさまを起こす」の四つの場面での豆太の勇気の変化を表した心情曲線を三パターン提示。「どれが一番当てはまるか」と発問し、問題意識をもたせたあと「豆太の勇気はどこで変化したか」と本時の課題を示した。
児童は、物語を音読しながらその根拠となる部分を探し出し、心情曲線を作成するとともに、理由をノートに記入した。そのあと、研究の視点②の観点から、ペアや全体で交流。豆太の気持ちの変化について、協働的に考えさせた。
全体交流で「倒れたじさまを助けるために、真夜中に一人で飛び出したから勇気があがった」「一人でしょうべんに行けないから勇気はゼロ」などの意見が挙がったことを踏まえ、まとめを作成。研究の視点③の観点から、児童にまとめを考えさせることで、豆太の勇気が変化した場面が、じさまを助けるために医者様を呼びに行ったところであることを理解させるとともに、学びの実感をもたせた。
授業後には分科会を実施。吉野教諭の授業について「根拠や理由を細かく問い返していてよかった」「心情曲線のモデルを提示したことで、児童の自由度が制限されてしまったのでは」などの意見が挙がった。
このあと、広島県広島市立広島中等教育学校の水登伸子教諭が「道徳科の特質を生かした授業づくり~〝きれいごとの道徳〟から〝楽しく学ぶ道徳〟への転換」と題して講演した。
(学校 2017-11-15付)
その他の記事( 学校)
高橋知事が遺愛女子高を訪問 夢・目標実現にエール 生徒とフリートークなど
【函館発】高橋はるみ知事が十日、遺愛女子高校(福島基輝校長)を訪問し、代表生徒五人と懇談した。知事は生徒が発表した同校の特色や魅力、将来の夢などを聞き、生徒の成長と目標の実現にエールを送っ...(2017-11-20) 全て読む
留萌管内4高校じもと×しごと発見フェアに参加 地元企業の魅力を実感 業務内容など真剣に耳傾ける
【留萌発】留萌高校、留萌千望高校、羽幌高校、天塩高校は十一月上旬、留萌合同庁舎で行われた道経済部労働政策局主催の「じもと×しごと発見フェア」に参加した。管内の企業や道警、自衛隊など計十三企...(2017-11-20) 全て読む
帯広農業高が「豚の解体実習」 〝命〟いただく責任実感 屠畜から解剖まで手順学ぶ
【帯広発】帯広農業高校(二木浩志校長)は十日、帯広畜産大学で本年度一回目の「豚の解体実習」を実施した。酪農科学科の一年生四十人が参加。自分たちが普段管理している豚の屠畜から解剖を通して、作...(2017-11-20) 全て読む
将来に向け意見を交換 帯広工業高生・帯広農業高生が帯広建設業協会と懇談会
【帯広発】帯広工業高校(金谷秀幸校長)と帯広農業高校(二木浩志校長)は十四日、帯広建設会館で帯広建設業協会主催の「高校生と語る建設業の未来と魅力」と題した懇談会に参加した。両校合わせて二十...(2017-11-20) 全て読む
帯広工業高が公開授業・講演 全工協指定事業 多様な学習成果の評価手法調査 研究成果 活動の一助に
【帯広発】帯広工業高校(金谷秀幸校長)は九日、全国工業高校長協会指定事業「多様な学習成果の評価手法に関する調査研究」に関する公開授業・講演を行った。電子機械科、建築科、環境土木科、電気科の...(2017-11-16) 全て読む
札幌市山鼻南小にロシア訪問団 歌やダンスなどで歓迎 ノボシビルスク市の教員と交流
札幌市立山鼻南小学校(津田安彦校長)は二日、ロシア訪問団歓迎会を開いた。全校児童約三百人が参加。ノボシビルスク市の教員らが訪れ、児童が歌やダンスなどで歓迎した。 札幌市とノボシビルスク...(2017-11-15) 全て読む
北海学園大人文学部と北海商科大商学部 30年度から単位互換 言語・文化や観光産業幅広く学ぶ
北海学園大学(安酸敏眞学長)人文学部と北海商科大学(森本正夫学長)商学部は九日、単位互換に関する協定に調印した。三十年度から実施する。 単位互換協定を通して、両学部の学生が相互に相手学...(2017-11-14) 全て読む
札幌市福住小が開校40周年 記念式典で歩み振り返る 未来への大きなステップに
札幌市立福住小学校(鈴木真校長)は二日、同校で開校四十周年記念式典・祝う会を挙行した。全校児童や関係者合わせて約八百四十人が出席。これまでの歩みを振り返ったほか、全校児童で合唱するなど、四...(2017-11-13) 全て読む
奥尻高のクラウドファンディング 目標120万円 8日間で達成 部活動遠征費に善意集まる 部局活動継続へさらなる協力を
【江差発】奥尻町立奥尻高校(俵谷俊彦校長)が実施しているクラウドファンディング(CF)が八日、目標金額に達した。生徒の部活動の遠征費を募るプロジェクトを一日から公開したところ、開始後八日目...(2017-11-13) 全て読む
道教育大附属釧路小・中が研究会 小・中合同開催で計19授業公開 考え方高め“深い学び”実現
【釧路発】道教育大学附属釧路小学校(阿部美穂子校長)と附属釧路中学校(酒井多加志校長)は十月下旬、両校を会場に教育研究会を開いた。小中一貫教育を念頭に置き、初めて小・中合同で開催した。同大...(2017-11-13) 全て読む