30年度から新しい教育計画 社会で活きる力など6目標、30施策―道教委
(道・道教委 2018-01-01付)

日付不明写真_p北海道が目指す教育基本理念(図)
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 道教委は、新年度から新しい教育計画をスタートする。計画の素案では、北海道が目指す教育の基本理念の柱を「自立」「共生」に設定。「社会で活きる力」「豊かな人間性」など六つの目標のもと、個別・具体的な三十の施策項目を定めた。喫緊に対応すべき重点として「ふるさとで暮らし、グローバルな視野でともに生きる力の育成」「学校・家庭・地域・行政の連携による、人口減少危機に対応するための教育環境の形成」を掲げ、多様化・複雑化する諸課題の解決に向けて、知事部局と連携して着実に取り組んでいく。

 三十年度から五ヵ年を計画期間とする第五次道教育長期総合計画。本道の将来的な課題を踏まえ、北海道が目指す教育の全体像を示すもの。

 計画の素案では、目指す教育の基本理念として「自立」「共生」を設定。「社会で活きる力」「豊かな人間性」など六目標のもと、個別・具体的な三十の施策項目を定めた。

 道教委の附属機関である道教育推進会議は昨年十二月、施策の目標指標と三十四年度における目標数値に関する検討を開始した。義務教育における確かな学力の育成に向け、新たに「主体的・対話的で深い学び」の実現に向けた授業改善を把握するための指標を取り入れる。

 また、二十九年度全国学力・学習状況調査で明らかになった課題を踏まえ、三十四年度までにすべての子どもが「授業の目標を意識して学び、振り返る活動を行うこと」「記述式の問題で最後まで解答を書こうと努力すること」「学校の授業以外に一日一時間以上勉強すること」を目指すことを検討している。

◆喫緊に対応すべき2つの重点

 さらに、急激な社会の変化や全国を上回る速度で進行する人口減少危機を踏まえ、喫緊に対応すべき重点として①ふるさとで暮らし、グローバルな視野でともに生きる力の育成②学校・家庭・地域・行政の連携による、人口減少危機に対応するための教育環境の形成―を提示。知事部局と連携し、着実に取り組んでいく。

 重点①では、これからの時代に求められる資質・能力を身に付けさせるとともに、グローバル化、科学技術や高度情報化の進展など、社会の変化に対応する教育を推進。産業構造の変化などに対応できる人材を育てるため、企業・大学などと連携した取組を充実させる方針を示した。

 また、ふるさと教育の充実とともに、英語学習に対する興味・関心の向上、豊かな国際感覚の育成を掲げ、英語で地元の魅力を紹介する体験活動、姉妹都市や姉妹校との交流活動、ICTによる海外の生徒との意見交換などの取組を推進。

 体力向上に向けては、学校における体育・保健活動の改善などの取組を一層推進するとし、学校、家庭、地域が一体となり運動機会の充実に向けた取組を支援する。

 重点②では、コミュニティ・スクールの導入、教員の時間外勤務等の縮減、外部人材の活用に向けた取組の推進を提起。教員の資質・能力の向上に向けては、教員育成協議会において教員の資質・育成に関する新たな取組を検討するほか、大学、教育委員会などと連携を図り、教員の養成・採用・研修の一体的な改革を推める。また、遠隔システムを活用し、教職員の研修機会の確保、充実に努めていく。

 ICTの分野では、遠隔授業や交流学習などを推進。整備による効果や導入事例の市町村への情報提供などを通じ、教育用コンピューターやネットワークなど設備の計画的な整備を促進する。

 家庭教育の支援では、関係機関と連携した望ましい生活習慣の定着に向けた取組の推進、家庭学習の定着や子育てに不安を抱く保護者、いじめや不登校などに悩む子ども・保護者へのサポートなどに取り組む。

 幼児教育の質の向上に向けては、教員、保育士などを対象とした研修などを実施。多様化するニーズに対応するため、幼稚園、保育所、認定子ども園と小学校との連携を促進する方針を盛り込んでいる。

(道・道教委 2018-01-01付)

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