教育振興会と退職校長会が教育会議 関係者の連携が重要に 主体的・対話的で深い学びへ(関係団体 2018-01-30付)
道内の教育機関・団体から130人出席し協議した
道教育振興会(紺野忠一郎会長)と道退職校長会(永峰貴会長)は二十六日、ホテルライフォート札幌で教北海道育会議を開いた。主題は「〝主体的・対話的で深い学びの実現〟を目指して~自ら考え、判断し、行動するために」。話題提供や「推進指標」に基づき協議し、出席者からは、学校、家庭、地域などの連携・協働の重要性を指摘する意見などが出された。
両会は、昭和五十九年度から、本道の教育の正常化を願い、教育に関する諸問題を協議する教育懇談会を開催。平成十四年度からは、教育関係機関・団体が一堂に会して、教育にかかわる喫緊の課題を論議し、その成果を本道教育の指針として共有する場として、教育会議を開いている。
十六回目を数える会議には、道内の教育関係機関・団体から約百三十人が出席した。
開会に当たって、道教育振興会の紺野会長があいさつ。「未来社会に生きる子どもたちのために知恵と勇気と希望をもち、全組織を挙げて、ともに学び、行うことの意義やよさをあらためて認識し、創意工夫して対応・対策を再構築し、実践化していくことを、これまで以上にじっくりと腰を据えて取り組む時機が来たのではないか」と述べ、活発な協議を呼びかけた。
主題の趣旨説明のあと、前夕張高校長で夕張市教委の今勉教育長が「グローバル化人材育成を核とした夕張の教育環境魅力化プロジェクトから」をテーマに話題提供。地域にとってかけがえのない存在である〝地域の学校〟を存続させるために取り組んだ夕張高魅力化事業の内容などを紹介した。
そのあと、主題のもと、話題提供や「推進指標」の内容に基づき協議に入った。中では「子どもにとって、他人との直接のやり取りが学びの場だったが、社会が便利になり、その機会が失われつつある。スマートフォンを使って、顔を合わさずにやり取りできるが、子どもたちが豊かに育つためには、直接的にふれ合うことが大事」「授業で話し合いの時間を設けても、意見の対立が相手の人格や存在の否定ととらえられ、表面上の和を重視したり、過度の同調圧力がかかったりして、深い学びにつながっていない」など、他者とのコミュニケーションにかかわる課題が出された。
「課題を発見し、みんなで解決する楽しさを味わえる学習を行うため、主体的に学べる教育環境が大切。他人の気持ちが分かるコミュニケーションの力などを育てる必要がある」との指摘や「幼小連携に取り組んでいる。相手の学校や園に自ら出向くことで、子どもなりに、いろいろな気づきがある」との実践紹介があった。
PTA関係者からは「アクティブ・ラーニングについての勉強会を開いたが、保護者にはその目的などがきちんと伝わっていない。これでは、学校と家庭の取組にギャップが生じ、子どもたちが揺れ動いてしまう。保護者にも分かりやすく伝えてほしい」との要望が挙がった。関連して、学校関係者から「学習指導要領の改訂内容を保護者などにも伝え、学校、家庭、地域が同じ方向を向いて取り組む必要がある」、教育行政関係者から「授業改善のため、学校だけではなく、学校と家庭とが一緒になって同じ方向を向き取り組む必要がある」などの意見が出された。
また、ある学校関係者は「公私間連携や地域との連携など、連携なしには、学校運営は考えられない時代に入っている」と訴えた。
推進指標はつぎのとおり。
◆推進指標
子どもが将来にわたって、自ら考え、判断し、行動できるように、家庭・学校・地域が連携・協働して「主体的・対話的で深い学びの実現」を目指す取組を進めよう。
▼家庭では、子どもが自分の行動を振り返り、見通しをもって粘り強く活動できるように
▽家族との語らいや一緒の活動、規則正しい生活を通して、子どもの意欲と自信を伸ばそう
▽いろいろな体験を通して、責任や役割を自覚させ、主体的に取り組む姿勢を育てよう
▼学校では、習得・活用・探究という学びの過程を通して、深い学びができるように
▽つながりを重視した「社会に開かれた教育課程」を編成し、信頼される学校づくりの推進に努めよう
▽教職員の資質・能力の向上を図り、児童生徒の発達や特性を踏まえた指導を充実させよう
▼地域では、子どもたちが様々な人とかかわり、豊かな視点から考えが広げられるように
▽日ごろから、あいさつや子どものよさを認める声かけを行い、安心・安全な環境づくりに努めよう
▽地域の特色や多様な人材を生かした活動に子どもたちを参画させよう
(関係団体 2018-01-30付)
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