【伝えたい!授業づくりの基礎・基本】No.53小学校外国語科編①札幌小学校英語活動研究会(綱渕友也会長)「We can! 1 5年生 指導のポイント」
(伝えたい!授業づくりの基礎・基本 2018-03-06付)

◆必要感をもって主体的に取り組ませる

ポイント1 Small Talkで英語力アップを図る

 第5学年におけるSmall Talkの趣旨は、指導者によるまとまりのある話を聞いて分かったり、既習表現を繰り返し聞くことで、それらを使えるようになったりすることとある。また、指導者の話を聞いた上で、その話に関わる質問にその場で答えられるようにすることともある。

 Small Talkは児童用テキストには記載されていない。教師用指導書のほぼ各単元に1事例が掲載されているので、指導者はそれを参考に、児童の実態に応じてアレンジをして取り組むこととなる。Small Talkを作ることは少し手間にもなるが、指導者の英語力アップに必ずつながるはずである。

 では具体的にSmall TalkをUNIT9 ?Who is your hero?″で考えてみる。毎時間、指導者のヒーローについてSmall Talkをしてみたい。使うべき英語表現は?My hero is ~.″?He can ~.″?He is good at ~.″である。?He is ~.″とヒーローの人柄を紹介する中で様々な形容詞にも触れさせていきたい。Small Talkの後には?Who is my hero?″や?Can he play baseball well?″などと質問してみたい。

 スライドショーなどで画像を見せながら話をすることも、児童が内容を推測する助けとなると考えている。「英語の話の内容が分かったよ」という達成感をSmall Talkで繰り返し感じさせていきたい。

ポイント2 STORY TIMEで語彙や表現に繰り返し触れさせる

 本教材では、5・6年生の各単元の最後のページをSTORY TIMEとし、絵本の1ページが掲載されている。第5学年のものは各単元の内容がつながっており、9単元分で一つの物語が完成するようになっている。指導者による読み聞かせを通して、まとまりある話が分かり、英語のリズムやイントネーション、語彙や表現に繰り返し触れることで、それらについて分かるようにすることがねらわれている。さらに、STORY TIMEを通して、音声に十分慣れ親しんだ語彙や表現を自分で読む力につなげていきたい。

 では、このSTORY TIMEのページをどのように扱うことが効果的なのだろうか。8時間扱いの単元で最後の8時間目に教師が読み聞かせを行い、そしてどのような内容であったかを児童に問う、これだけでは前述したねらいには届かないであろう。例えば2時間に1回、単元の中で4回に分けて読み聞かせを行うのはどうであろうか。1回目は教師の読み聞かせを聞いて内容をつかむ、2回目は教師の読み聞かせを聞いて後について読む、3回目はSTORY TIMEのページから教師の言った表現を見付けて指を指す、4回目はグループで分担して自分たちだけで読む。このように、ねらいに向けてスモールステップを踏みながら繰り返し行っていくことが有効だと考える。

ポイント3 読むこと、書くこと~書き写すことが中心

 We can! 1の指導編から、単元目標の中で、読むこと・書くことに関わる部分に注目してみる。

 Unit1「活字体の大文字を識別し、読む(発音する)ことができる」Unit2「活字体の大文字を書くことができる」Unit3「活字体の小文字を識別し、読むことができる」Unit4「活字体の小文字を書くことができる」Unit5「文字には音があることに気付く」Unit6「国名や行きたい場所について、それらを書き写すことができる」Unit7「簡単な語句を書き写すことができる」「簡単な語句を推測しながら読んだりする」(物や建物)Unit8「簡単な語句を書き写すことができる」「簡単な語句を推測しながら読んだりする」(食べ物)Unit9「簡単な語句や表現を書き写すことができる」これらから、スモールステップで少しずつ丁寧に、「書くこと」「読むこと」を学習していくということが分かる。

 大文字を見てどれがAでどれがZなのか識別し、Letter nameを発音できるように、そして順番に並べることができるようになってから、実際にアルファベットを書く学習に入っていく。小文字も同じように学習し、その後、JINGLEを活用しながらアルファベットにはLetter nameとPhonic soundがあることを知る。アルファベットを書けるようになってからは、簡単な語句を書き写す学習に入っていく。Unit9では語句だけではなく表現という言葉も目標に入ってきているが、5年生では書くことに関しては「書き写す」ことがメインとなる、ということである。ちなみに、AのLetter nameは[e●]、Phonic soundは[●]である。

 JINGLEを活用しながら学習していくPhonic soundが定着してくると、単語を「推測」して読むことができるようになる。「何となくこの単語はどのような発音をするかが分かったよ。」という経験を5年生の後半ではさせていきたい。 

ポイント4 魅力的な教材化で主体的な学びを

 これまで取り組んできた外国語活動と同様に、授業では児童の必要感を大切にしていきたい。このUnitでは単元終末にどのようなことをするのかを最初に児童に伝え、そこに向かっての意欲を高めさせつつ、必要感をもって主体的に学習に取り組ませたい。そのためには児童にとって魅力的な教材化が必要不可欠だと考えている。右のイラストは以前、新教材4年生で学習する『衣服の英語表現』を意識してオリジナル単元を作成し実践したときに使ったものである。児童一人一人が自分のお気に入りの服装をコーディネートし、それを紹介し合って誰がどの服装を選んだのかを解き明かしていくというのが単元のゴールだった。「楽しそう」「知りたい」「伝えたい」という思いが児童の中で膨らみ、必要感をもって主体的に学習に取り組む姿が生まれたと思っている。

 「話すことができた」「聞き取ることができた」「読むことができた」「書くことができた」だけではなく、目的をもって学習に取り組んでいくことで、「英語を使って~をすることができた」という思いをもたせ、外国語学習を通して自己肯定感を育み、未来に向かって幅広い視野をもてるような子どもたちに高めていきたい。

(札幌小学校英語活動研究会 研究部 副部長 札幌市立幌西小学校 教諭 阿部勇登)

※次回は、小学校外国語科編②を掲載します。

(伝えたい!授業づくりの基礎・基本 2018-03-06付)

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