社会で必要なもの伝えて 高・特校長会議 柴田教育長あいさつ(道・道教委 2018-05-10付)
柴田教育長は、学校経営を進めるに当たって6点要請した
道教委主催の三十年度公立高校長・特別支援学校長会議(八日、ホテルライフォート札幌)における柴田達夫教育長のあいさつ概要はつぎのとおり。
本年度、皆さんが学校経営を進めるのに当たって取り組んでいただきたいことを六点申し上げる。
一点目は、新しい「北海道推進計画」の策定について。ことし三月に三十年度を基本とする今後五年間の計画を策定した。これはまさに、本道の教育を進める上で大きな柱となる計画である。
計画を進める上で子どもたちの望む姿や自らのもつ夢や目標に向かって挑戦し、ともに支え合って社会に貢献していく、こうした「自立」と「共生」という基本理念のもとでこれからの社会に生きていく力を育成するほか、三つの目標を掲げて、それに向けて確かな学力の育成、さらには、ふるさと教育や国際理解教育などといった三十の施策項目を掲げ、これを着実に進めていく計画となっている。
これから課題となるICTの環境整備について、目標も掲げている。ぜひ内容を理解して、それぞれの教育内容の一層の充実に向けて取り組んでいただきたい。
二点目は、社会で活きる力の育成について。
これは教育計画の中の大きな柱の一つとなっている。
これからの変化の厳しい社会で生き抜くための力を身に付けさせるために、高校の学習指導要領に示されている地域との協働の中でこれからの教育を展開するという社会に開かれた教育課程のもとで、カリキュラム・マネジメントと主体的・対話的で深い学びの実現がまさに求められてくる。
高校がこれからの変化の激しい社会の中で子どもたちがそこに立ち向かっていくために必要なものを社会に向かって育て上げる最後の砦となる。高校でしっかりとそれを身に付けさせていくことが大切な役割であると認識している。
そのためにも、生徒が多様な人々と協働しながら体験を通じて課題をみつけ、どのように立ち向かっていくかを三年間で身に付けさせることが最も大切なことであると考えている。
その中で将来の社会の担い手となるよう、皆さんには教育活動の充実に努めていただきたい。
三点目は、特別支援教育の充実について。
十九年に特殊教育から特別支援教育への転換が図られて十年がたった。その進展とともに、特別支援教育に対するニーズや期待も高まってきている。
そのような中で、特別支援学校に限らず、高校においても様々な時間、あるいは学校間の連携を図りながらそれぞれの児童生徒、保護者、地域の要望に応えられるような特別支援教育の充実に努めていただきたい。
特に、高校では通級指導も始まる。そういった意味では、より専門的なスキルを学校全体で高めていく必要がある。地域との連携、福祉関係機関との連携を視野に入れながら、より一層の充実に努めていただきたい。
四点目は、いじめと不登校への対応について。
いじめについては、子ども同士のよりよい人間関係の形成を通じて、いじめそのものを防止することが何よりも大切であるが、普段からの様々な教育相談、調査などを通じて、いじめの兆しを早く発見し、教員一人で抱え込むことなく、学校、組織として速やかなに対応することが重要となる。
二十六年にいじめに関する条例が制定され、それ以降、重大事案に対する調査が道立学校において三件行われている。うち、二件が部活動に関する事案である。これは部活動という特殊な時間帯と人間関係の中でのことだと思うのではなく、どこにでもあり得る案件であり、それが調査の中でいじめとして認定されている。学校におけるいじめへの認識は残念ながら低い。そういった事案に関して学校として速やかに気づき、対応していくことが今後ますます求められる。
いじめの事案について、情報を共有しながら決して他人事ではないという思いで対応していただきたい。
不登校の事案については、各学校において相談窓口やスクールカウンセラーによる対応をしていただいているが、これからも一層関係機関との連携のもとでこのような対応について充実を図っていただきたい。
五点目は、学校における働き方改革「北海道アクション・プラン」について。ことし三月に北海道全体の取組としてのアクション・プランを作成させていただいた。一週間の勤務時間六十時間を超える職員を全校種でゼロにするという目標を立てている。
また、部活動においても最低でも一週間で一日以上の休養日を設定することを道内のすべての学校で進めていく目標を立てている。
これはまさに校長のリーダーシップのもとで教員一人ひとりの意識改革、保護者や地域の理解を得ながら、進めていただきたいと思う。
アクション・プランに基づく働き方改革をぜひ皆さんのリーダーシップのもとで進めていただくことをお願い申し上げる。
六点目は信頼される学校づくりについて。
不祥事の防止についてはこれまでも校長のもとで徹底されていることと思うが、残念ながら飲酒運転、わいせつにかかわる事案の発生がある。
毎月二回、教育委員会を開催し、ほぼ毎回のように懲戒処分案件が議題として挙がる。
昨年一年間では、懲戒処分案件は百件を超えた。このようなことは、教育行政に対する道民の信頼を損なうものであることは承知のとおりである。あらためて教職員に対してこのような思いが伝わっているのかについて、確認いただきながら、このような事案が発生しないように指導をお願いしたい。
以上、私から六点について申し上げた。これからは大変厳しく変化の激しい社会になる。高校教育、特別支援教育を通じて子どもたちに、社会に出たときに何が必要なのかについて、皆さんの経験をもとに伝えていただきたい。
(道・道教委 2018-05-10付)
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