高・特校長会議の道教委所管事項説明①土井総務政策局長 道内全校で働き方改革 教職員による不祥事根絶を
(道・道教委 2018-05-11付)

各局長所管事項説明・土井総務政策局長
所管事項を説明する土井総務政策局長

 道教委の三十年度公立高校長・特別支援学校長会議(八日、ホテルライフォート札幌)では、土井寿彦総務政策局長、大川祐規夫生涯学習推進局長、宇田賢治教育職員局長、相馬哲也学校教育局高校配置担当局長、赤間幸人学校教育局指導担当局長が各所管事項を説明した。概要を連載で紹介する。

▼予算の効率的な執行

 道財政は、これまで進めてきた行財政改革によって着実に改善が図られているものの、引き続き見込まれる収支不足への対応など、一層の財務体質改善に取り組む必要がある。

 こうした中、道教委では、児童生徒に直接かかわる経費や教育行政を推進する上での諸課題にかかわる必要な予算を確保したが、各学校においては、引き続き、限られた予算の中で最大の効果を上げることができるよう、効果的・効率的な執行をお願いする。

▼財務会計事務の適正執行

 これまでも、機会あるごとに法令順守等を徹底するよう伝えてきているが、前年度も、職員が決定書を作成せず契約し、自費で支払うなどの不適切な事例が判明した。

 また、私費会計でも不適切事案が発生しており、本年三月には、職員が適切な事務処理を怠り、使途不明金を発生させたことに加え、団体会計の支出書類を紛失し、それを取り繕うために虚偽の支出決定書を作成するなど、保護者や道民の信頼を大きく損ねる事案が発生した。

 私費会計については、現在「道立学校の私費会計」をテーマとして行政監査が行われており、各校長においては、道費はもとより、私費会計についても、執行の責任者であることをあらためて意識していただき、内部けん制が機能しているか確認するとともに、公金に準じた厳正な取扱いがなされているかなどについて、不断に指導・監督を行っていただきたい。

▼道立学校の施設整備等

 道教委としては、道財政が厳しい状況にある中、緊急性や優先度の高い事業から実施することとしており、本年度は、校舎や体育施設の大規模改造工事に関し、新たに実施する煙突改修を含み、高校、特別支援学校合わせて約四十校について行う予定であり、例年であれば一覧にして示しているが、現在最終調整をしている。

 なお、煙突改修については、煙突断熱材のアスベスト含有状況等の調査の実施後、対策工事を行うこととしており、本年度から三年間で完了する予定としている。

▼学校施設の安全管理

 前年度、道立学校において、三件のぼやが発生した。いずれも初期対応などによって大事には至らなかったが、一つ間違えると大きな火災となり、児童生徒の生命にも影響を与えかねない事態になる。

 各学校においては、あらためて、防火体制を確認するなどして、火災の防止に万全を期していただきたい。

 また、近年、台風や暴風雪などの自然災害による被害が多数発生している。

 今後とも、学校施設の機能を維持するための日常点検のほか、気象情報などに十分注意し、警報が発令されたような場合には、事前の点検や速やかな事後点検を行うなど、施設の安全確保対策を徹底されるよう、併せてお願いする。

▼教職員の人材育成

 近年、教頭昇任候補者選考の受検者数が減少し、候補者の確保が喫緊の課題となっており、こうした状況への対応として、早い段階から、学校目標の達成や課題解決に向けた実践等に参画させるなど、学校運営の中核を担うための意識・意欲を醸成することや力量を身に付けさせることが重要となっている。

 特に、女性の管理職登用に関しては、一昨年三月に女性活躍推進法に基づく特定事業主行動計画を策定し、二十八年度からの五年間で、管理職員に占める女性の割合を一五%とすることなどを目標に掲げた。

 各校長においては、つぎの時代を担う管理職の確保に向け、これまで以上に、人材育成に努めていただくようお願いする。

▼教職員人事

 本年度の当初人事では、特殊事情の考え方や学校経営上の留任の考え方などの取扱いを厳格化し、長年勤務者の解消、都市部から郡部への異動促進に重点を置き取り組んだ。

 しかし、依然として、都市部の同一校長年勤務の解消が難しい状況にある。

 道教委としては、教職員構成の適正化という人事異動の本来の目的の達成に向け、人事異動実施要領の見直しについて、鋭意検討を進めていく。

 また、関連して主幹教諭の配置については、二十七年度から、道立学校においても順次配置を進めていることから、引き続き、中堅の教員が積極的に選考を受検するよう働きかけるとともに、教務主任等の経験や研修への参加など、日ごろから候補者の育成に努めていただくようお願いする。

▼学校における働き方改革「北海道アクション・プラン」

 アクション・プランについては、本年三月二十八日の教育委員会で決定し、同日、関係通知を発出した。

 アクション・プランでは、一週間当たりの勤務時間が六十時間を超える教員を全校種でゼロにすることを、本年度から三十二年度までの三年間の目標として設定し、道教委、市町村教委、学校の役割を明らかにした上で、保護者や地域の方々の理解をいただきながら各般の取組を進め、毎年度、取組を検証して改善を図り、道教委主導のもと、道内すべての学校において、働き方改革を進めていくこととしている。

 具体的には、「スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカー、部活動指導員などの専門スタッフ等の配置」「部活動休養日等の完全実施」「人事評価制度を活用した意識改革の促進」「勤務時間を客観的に把握し、集計するシステムの構築」「勤務時間等の制度改善」などのほか、「学校閉庁日の設定の取組」を実施することとしており、学校閉庁日の内容としては、職員が休養を取りやすい環境を整備し、心身の健康を保持するため、長期休業期間中に一定期間設定するものである。

 具体的には、夏期休業中は、八月十五日前後の週休日および祝日以外の特定の三日間、本年度は、八月十三日から十五日に設定することを基本としている。

 冬期休業中は、年末年始の休日である十二月二十九日から一月三日までの六日間を、全道統一の学校閉庁日とする。

 なお、これらの日以外にも、学校の実情に応じて学校閉庁日を設定することができるとしているが、学校閉庁日は、振替、休暇の取得促進などを図るとともに、部活動も行わないこととしている。

 また、保護者などへの周知方法および保護者などからの緊急連絡対応については、別途通知する予定である。

 各学校においては、勤務時間を意識した業務改善や分担の検討を進め、職員一人ひとりの意識改革を促進するとともに、自校の働き方改革に向けた重点目標を明確化し、全職員の共通理解のもと、各学校の実情を踏まえながら、優先順位を決めて取組を実施していただくようお願いする。

 また、学校における働き方改革の取組を円滑に進めるためには、保護者や地域の理解を得ることが極めて重要であることから、適切に説明責任を果たすとともに、道教委が作成したリーフレットの配布のほか、業務改善や教員の働き方改革を学校評価に明確に位置付けるなどの取組を併せて実施していただきたい。

▼教職員の不祥事防止の取組

 服務規律の確保については、これまでも再三にわたり、所属職員への指導を徹底するよう伝えてきているが、依然として不祥事の発生があとを絶たない状況である。

 教職員による不祥事を根絶するためには、各校長が研修資料を活用して、過去の不祥事の事例を示すなどしながら、不祥事の発生は決して他人事ではないことや、起こしてしまったら取り返しがつかず、家族にも大きな負担や影響を及ぼしてしまうことを理解してもらえるよう、心に響く取組を行うことが重要である。

 加えて、常日ごろから職員に対し「児童生徒への指導や話し方が乱暴ではないか」「緊密過ぎないか」「職場の人間関係や私生活でトラブルがないか」、また「飲酒をする宴会などにおいてトラブルにつながる言動や行動などがないか」「過度な飲酒になっていないか」など、様々な観点から目配りしていただきたい。

 また、職員に対して、報告・連絡・相談の徹底を指導するとともに、迅速な情報伝達に努めていただき、道教委と学校が一丸となって不祥事防止に取り組むことができるよう、情報共有の徹底をお願いする。

 なお、五月と六月はコンプライアンス確立月間であり、服務規律の徹底を確実に行う強化月間となっている。

 各学校では、服務規律にかかわる全体研修の実施はもとより、職員一人ひとりに対し、コンプライアンスの徹底を意識付けするための個人研修を実施していただきたい。

▼「北海道百五十年事業」および「北海道みんなの日条例」

 本年は、本道が北海道と命名されてから百五十年の節目の年に当たる。

 道では、この年を、マイルストーン(節目の通過点)として祝うとともに、未来を展望し、つぎの五十年に向けた北海道づくりへと継承するため「北海道百五十年事業」として、記念式典の開催など様々な事業に取り組むこととしている。

 道教委においても、こうした取組の一環として、例えば、「北海道版道徳教材“きたものがたり”の配布」「開拓の歴史やアイヌの舞踊などを収めた貴重なフィルム映像の活用」「アートギャラリー北海道事業の展開」など、学校教育、生涯学習・社会教育、文化芸術の各分野において、関連する事業を展開する予定としているので、各学校においても、北海道百五十年の趣旨に沿った取組を積極的に展開していただくようお願いする。

 また、七月十七日は「北海道みんなの日」。

 この日の趣旨は、道民が北海道のこれまでの歴史や自然、文化、産業などについての理解と関心を深め、道民であることを誇りに思う心を育み、道民が一体となって、より豊かな北海道を築いていくこととされている。

 前年度は、七割を超える学校で「道みんの日」を含む七月に、北海道の名付け親である「松浦武四郎」に関する学習や、北海道みんなの日の趣旨に関する講話、学校行事などにおいて、生徒による地域の歴史や文化等に関する発表などが実施された。

 道教委としては、本年度も、より多くの学校で実施していただきたいと考えているので、各学校においては「道みんの日」を含む七月に、本条例の趣旨にふさわしい教育活動を積極的に展開していただくようお願いする。

 各校長においては、日常の学校経営を通して職員の意識改革や自覚を促すとともに、これまで以上にリーダーシップを発揮し、危機管理の確立や教職員の不祥事の根絶など、地域や保護者から信頼される学校づくりが実現するよう、一層の取組をお願いする。

(道・道教委 2018-05-11付)

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