少年の主張十勝地区大会 帯広第四中3年・藤井さん 最優秀賞は「伝える」(道・道教委 2018-08-08付)
【帯広発】十勝総合振興局主催の少年の主張十勝地区大会が六月下旬、十勝合同庁舎で開かれた。管内の中学生十九人が日ごろの生活で感じた意見などを発表。最優秀賞には「伝える」と題して発表した帯広市立帯広第四中学校三年の藤井一葉さんが選ばれた。
藤井さんは父と会話することが大好きだったが、ある日、亡くなってしまい、父が自分を本当に愛してくれていたことを実感。父が自分に教えたかったことは「伝える」ことの大切さと感じた藤井さんは、「大切な人に本当の気持ちを伝えられる自分になりたい」と決意を述べた。
藤井さんは、九月七日に札幌市内かでる2・7で開かれる全道大会に出場する。
藤井さんの発表概要はつぎのとおり。
◇ ◇ ◇
伝えることやそれを受け取ることは、人が生きていくために必要なことであり、誰もが当然のようにしていることだ。私は、父と話すことが大好きだった。父は忙しい人で、話す時間は多くはなかったが、それでも、ちょっとした時間には父の書斎へ行き、時間を忘れて話をした。
父の話には、私にとってそれまで関心がなかったことや、曖昧にしか知らないことがたくさんあった。「努力し続けると結果はどう伸びるか」「勉強ができても性格が悪いとどうか」「震災で被災した街は、どうしたら復興できるだろう」など、そんな話は小学生には難しく、当時は分からないことばかりだった。それでも、そのひとときは本当に楽しく、貴重な時間だった。普段あまり話せないので、それだけでもうれしかった。きっと父は、私が話を理解しきれないのを知っていたと思うが、真剣に話してくれていた。だから、私もいつも必死で聞いていたことを覚えている。
そんな父が私が小学六年生の五月に死んだ。あまりにも突然で、全く信じられなかった。しばらくの間は、車を止める音や玄関を開ける音を聞くと「あっ、お父さん」と思っては、そうではないことに気づき、悲しくなることの繰り返しだった。父とはもう二度と話せない。後悔だらけだ。なんでもっと話さなかったのか、なんでもっと話を聞かなかったのだろうか。伝えたいことも、受け取りたいことも、まだたくさんあるのに悔しくてたまらない。父が真剣に伝えてくれたのは、死を予感したからではないはずだ。ただ私を愛し、伝えてくれたから、当時の私でも本気で受け取れたのだろう。
父は私に、「伝える」ことの大切さを教えたかったのではないだろうか。時が過ぎる中で私が感じてきたこと、思うことが私が「受け取れたこと」であり、父の「伝えたかったこと」だと思う。話した時間が短くても、父の思いは確かに受け取れた。そのことが今を生きる私の支えになっていると感じる。こうして、人と人とは、相手が大好きだという気持ちを伝え合い、受け取り合うことこそが、家族や友人、大切な人たちとの絆をより深く、強くするのではないか。
そうは言っても、私はまだ中学生で、家では兄弟に「うるさい」と怒鳴ってしまい、部活では、「もっと真面目に練習しよう」と言いたくても、嫌がられたら、と考えると言えなくて、思いを伝えられないことが何度もある。
だが、そんな自分は嫌だ。なぜなら、大切な人には本当の気持ちを伝えたいからだ。そして、大切な人の本当の気持ちを受け取りたいからだ。そんな自分にこれからなりたい。これが、父の死を受け取め、進み続けるための決意だ。
この決意が父に伝わり、父と私とのつながりをより確かにすると信じている。
(道・道教委 2018-08-08付)
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