【伝えたい!授業づくりの基礎・基本Ⅱ】NO.21英語科編②北海道中学校英語教育研究会(中村邦彦会長)豊かな表現力を育成するポイント
(伝えたい!授業づくりの基礎・基本 2018-10-19付)

伝えたい!第21回中山
3~4人グループで協働し、スピーチ活動で展開する「主体的・対話的で深い学び」の授業

◆〝表現できた〟と喜びのある授業を 

現行の学習指導要領では、「聞くこと」「話すこと」「読むこと」「書くこと」の4領域を総合的に育成することをねらいとして英語科における目標が設定されている。これからの英語教育においては、「英語を使って何ができるようになるか」を意識した授業の構築が重要になる。新学習指導要領では、それを明確にするという観点から、「話すこと」が「やり取り」と「発表」の2領域となり、合わせて5つの領域で英語の目標が設定された。

 ここでは「話すこと[やり取り]」、「話すこと[発表]」、「書くこと」で豊かな表現力を育成することに焦点を当てていきたい。

◎「話すこと[やり取り]」の活動について

ポイント1 会話を発展させる力を育成する

 「話すこと[やり取り]」では、「即興性」が求められる。関心のある事柄や日常的な問題について、相手からの質問に即座に答えることができるようになったり、自分の考えや気持ちを、事前に準備することなく伝え合ったりできるようになることが目標となる。英語の「知識・技能」だけを身につけても、実際のコミュニケーションの場面で会話を続けることは難しい。相手が何を求めているかを考えたり、どのように伝えれば理解してもらえるのか判断したり、相手との友好な関係を築くための適切な表現をしたりするなど、コミュニケーション能力には、「思考力・判断力・表現力等」と「学びに向かう力・人間性等」が不可分に結び付いているからである。

 こうした力を育成する取組を、短期間でなく、年間を通して授業中の帯活動等で繰り返し実践していくことで、「話すこと[やり取り]」の活動に慣れさせたい。やり取りの際には、自分の意見や考えを述べることはもちろんのこと、「That,s a good idea.」「Oh,do you?」等の表現を用いて、会話をつなぐ工夫も必要となる。また相手からの質問に「Yes./No.」で答えるのだけでなくさらにつけ加えたり、相手に対して聞き返したりするなどして、会話を発展させる力を育成することも重要である。

◎「話すこと[発表]」の活動について

ポイント2 協働の学びで主体性を伸ばす

 「話すこと[発表]」では、スピーチ活動において、「主体的・対話的で深い学び」の実現に向けた授業展開を意識したい。スピーチ活動では、あるテーマ(課題)に基づき、自分の考えや気持ちを、メモや原稿にまとめる作業から始まる。できた原稿を教師のチェックを受けるだけでなく、3~4人のグループを作り、協働させる中で、「さらに興味をもって聞いてもらうにはどうしたら良いか」「他にわかりやすい表現はないか」などお互いに質問をしたり、アドバイスをしたりすることで原稿を練り直させ、よりよいスピーチにつなげたい。

 協働により、自分の意見が認められたという経験が自己有用感をはぐくみ、生徒の主体性を伸ばすことになる。生徒自らが向上心をもち、意欲的に取り組むことで、課題を解決した喜びや、英語を使って自分の言いたいことが言えた喜びを味わうことができるような働きかけをしていきたい。

◎「書くこと」の活動について

ポイント3 単元の感想文、パンフレット作成等で表現力を育成する

 「書くこと」の目標の一つに、「日常的な話題について、事実や自分の考え、気持ちなどを整理し、簡単な語句や文を用いてまとまりのある文章を書くことができるようにする」がある。生徒には常に「英語を使って自分の言いたいことを表現できるようになる」ことを目標にして取り組ませたい。

 授業では、例えば教科書の単元が終わるごとに、3~5文程度でその単元の感想文を書かせ、その感想文を全員で共有し、意見交換をさせるなどに取り組ませたい。その他、外国人に向けた学校紹介パンフレットを作成するなどの取組を通して「書くこと」による豊かな表現力を育成したい。

◎英語で表現する必要性、必然性を意識して

ポイント4 意欲を喚起する学習課題を設定する

 「話すこと」「書くこと」を問わず、英語で表現する必要性や必然性がなければ、生徒の意欲をかきたてることはできない。また、その必要性や必然性に加え、「言ってみたい」と生徒が思えるような学習課題でなければ、生徒の主体性は生まれない。

 こうした言語活動を提示し、生徒にとって「言いたいことが言えた」という喜びを感じさせ、次の英語学習への意欲につなげていくことが、何よりも教師に求められている。

(札幌市中学校英語教育研究会 事業部長 札幌市立福井野中学校 主幹教諭 中山剛敏)

※次回は、「教科書の題材活用のポイント」を掲載します

(伝えたい!授業づくりの基礎・基本 2018-10-19付)

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