【伝えたい!授業づくりの基礎・基本Ⅱ】NO.33外国語活動編①札幌小学校英語活動研究会(類家斉会長)第3学年における授業づくりのポイント
(伝えたい!授業づくりの基礎・基本 2018-11-16付)

伝えたい第33回札小英研のコピー
目的意識をもった外国語の授業でコミュニケーションを楽しむ子どもたち

◆第3学年における授業づくりのポイント

◎授業後に子どもが笑顔で話す授業にするために

 初めて外国語と出会う3年生。授業後、子どもたちが「外国語って楽しい」「やってみたら、できるようになってきた」「もっとやってみたい」と笑顔で話す授業にするには、1年間を通した、スモールステップの指導が大切だと考える。

ポイント1 「Activity」では、コミュニケーションの楽しさを伝える

 まず、Unit1「Hello!」では、挨拶をして自分の名前を伝える活動をする。活動を通して、名前には様々な思いが込められていて、互いがかけがえのない大切な存在であることを感じ取らせる。

 次に、Unit2「How are you?」では、表情やジェスチャーをつけて挨拶する活動をする。挨拶をするときに、相手の名前を呼んでから話しかけ、表情をつけて話すことで、互いの気持ちや思いを伝え合うことの楽しさを味わわせる。

 毎回の授業で、名前を呼んで挨拶をすることを1年間続けることで、自然と相手の存在を大切にし、相手を思いやる気持ちを育む。そして、その小さな積み重ねが他者とコミュニケーションを図る時に、相手意識をもって交流する姿勢につながっていく。

ポイント2 「Let,s Sing・Let,s Chant」では、五感を刺激する活動を組み合わせる

 Let,s Try!1には、新しい語彙や英語表現に慣れ親しむことができるように、どの単元にも「Let,s Sing」「Let,s Chant」が設定されている。授業のはじめにウォーミングアップとして活用でき、1回の授業で取り上げる時間が短くても、取り組む回数を増やすことで、しっかりと慣れ親しませることができる。しかし、そのまま聞かせるよりも、児童の実態に合わせて、聴覚以外の、視覚や触覚を同時に使う活動を組み込むことで、効果を高めることができる。

 例えば、Unit3「Let,s sing」の「Ten steps」では、1~20までの数の言い方に馴れさせる。まずは、ゆっくりとしたテンポで歌い、徐々にテンポをあげていく。視覚的に数を認識するために、数字を指さしながら歌ったり、ジェスチャーを交えながら歌ったりする。また、児童が言い方に慣れてきたら、特定の数字の時だけ、歌わずに手を叩くというルールにする。活動の難易度を少しずつ上げ、思考しながら声を出さなければならない場面を作ることで、児童の意欲を持続することができる。

 また、Unit9「Who are you?」では、身体の部位について取り上げる時に、歌を歌い、歌の歌詞に合わせて身体の部位を触ることで、楽しく語彙に慣れ親しませることもできる。

ポイント3 相手の話を聞いて、理解する体験を増やす

 子どもたちにとって、相手の話を聞いて、理解できることは喜びであり、学習への意欲を高める原動力になる。そこで、相手の話を聞いて「なんて言っているのだろう?」と推測し、言葉を果敢に使う機会を大切にする。

 まず、単元の新しい語彙や表現との出会いの場面では、「Let,s Watch and Think」を活用して、状況から言葉の意味を推測する機会をつくる。例えば、Unit5「What do you like?」では、何が好きか尋ねたり答えたりして伝え合うことが単元目標になっている。「Let,s Watch and Think」を視聴することで、「友達同士で好きなものを尋ね合うという活動をするんだな」という見通しをもたせることができる。

 授業中、指導者が英語を使うときにも、子どもたちが理解できるように、ジェスチャーを交えるなど工夫し、繰り返し同じ場面で使用する。何とかして自分の思いや考えを伝えようとする指導者の姿勢が子どもたちにも伝わる。「Stand up,please.」などの簡単な英語表現を日常的に使い、子どもたちが理解できる英語表現を増やしていくことも、相手の話を聞いて理解できたという実感につながると考える。

 さらに、指導者の言葉が上手く子どもに伝わっていない時、「ゆっくりと」「ジェスチャーをつけて」話したり、必要に応じて実物や写真を提示しながら話したりすることで、「これなら、なんとなく分かる」という状況を作ることが大切である。そして、果敢に挑戦する子どもの姿を指導者がしっかり価値づけることで、学級の中に失敗を恐れず、推測したことを素直に表現できる雰囲気がつくられていく。

 例えば、Unit9「Who are you?」では、3年生の学習のまとめとして、絵本などの短い話を聞いておおよその内容をつかむ活動をする。指導者は、絵本の誌面を見せるだけでなく、内容にあった表情やジェスチャーなどを織り交ぜることで、内容を推測できるようにすることが大切である。さらに、絵本の絵や話の筋について簡単な質問しながら、読み聞かせをすることで、子どもたちが「聞いて分かった」という体験を増やすことができる。

◎学ぶ楽しさを実感させる授業を目指す

 3年生の外国語活動の学習の終わりには、子どもたちが指導者や友達と関わることの楽しさや自分の思いを人に伝えること、人に伝わることの喜びを感じて欲しいと願っている。

 そして、今後も授業を通して指導者も子どもたちとともに成長し、学ぶ楽しさを実感させられるような授業づくりを目指したい。

(札幌小学校英語活動研究会 第3学年部会 札幌市立北の沢小学校 教諭 三上尚子)

※次回は、「第4学年 主体的に学ぶ授業づくりのポイント」を掲載します。

(伝えたい!授業づくりの基礎・基本 2018-11-16付)

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