今改定で生活改善されず 賃金確定交渉結果受け声明 道高教組 道教組(関係団体 2018-11-21付)
道高教組(尾張聡中央執行委員長)と道教組(川村安浩執行委員長)は十六日、道教委との賃金確定交渉結果を受け、「すべての教職員の命と生活を守り、ゆきとどいた教育を進めるため、労働条件と教育条件改善を求めるたたかいを強める」とする声明を発表した。交渉結果について、月例給・一時金ともに五年連続の引き上げとなったものの、物価上昇や現給保障が廃止されていることから「今回の改定分では生活は改善されない」などと批判。すべての教職員の賃金や労働条件・教育条件の改善などを求めた。
声明の概要はつぎのとおり。
◇ ◇ ◇
道高教組・道教組は本日、賃金確定教育長交渉を行った。私たちは、教職員が安心して子ども・保護者・地域のために仕事に打ち込み、教職員自身とその家族が安心して生活できるよう、賃金等の改善を求めてきた。
その結果、人事委員会勧告の取扱いは、月例給・一時金ともに五年連続の引き上げ回答を引き出し、月例給は六百二十八円(〇・一七%)引き上げとなり、引き上げ額は、行政職の場合、初任給を一千五百円、若年層についても一千円程度、それ以外は再任用も含め四百円となる。
この結果は、これまで、二回にわたる道教委交渉や、全道から集まった賃金要求署名などの取組の成果である。しかしながら、物価上昇や現給保障が廃止されていることからも、今回の改定分では生活は改善されない。一時金は〇・〇五月引き上げられ国並みの四・四五月に、再任用職員も〇・〇五月引き上げられ二・三五月となったが、改善分はすべて勤勉手当に配分した。人事評価結果の活用によって格差が生じる勤勉手当のみへ配分したことは、教職員の協力共同を壊す「成果主義賃金」の拡大であり、十七年間にも及んだ道独自削減の損失を回復するためにも、すべての教職員の賃金水準の回復をすべきだ。
宿日直手当の改善について、学校寄宿舎の宿日直業務であれば、七千二百円を七千四百円に改定するとしており、わずかではあるが、私たちの要求が前進した。しかしながら、高校寄宿舎における宿日直業務の中には、断続的業務を大きく超える、不適切な業務も行われている実態があり、早急な負担軽減が必要だ。
親族間契約における住居手当について、該当教職員全員が現行制度上の支給要件を具備し、手当の支給が適正に行われているにもかかわらず、国に先行して制度を見直すことに抗議する。実施時期を二〇一九年四月一日からとし、経過措置を設けたことは、使用者としての最低限の姿勢が示されたものと受け止めるが、今回の見直しについて、全教職員に対し十分な説明を行うなど、丁寧な対応を求めるものである。
再任用・定年延長について、道教委は「雇用と年金の接続の観点から、再任用は重要である」と回答しているが、すべての希望者が任用されていないのは大きな問題である。道教委は、任用率の低さを個人の希望の問題としているが、再任用制度は、雇用と年金の確実な接続を実現するために課された使用者の「義務」という認識に立ち、賃金水準・生活関連手当も含めた改善をするべきである。
定年延長は「国の動向を注視」との消極的姿勢を改め、国に遅れることなく確実に定年延長を行い、意欲をもち安心して生活できる環境整備を急ぐべきだ。
臨時・非常勤職員の賃金改善について、「現行を上回る措置を講じることは困難」と、現行の法令や要綱に固執し、実態を踏まえようとしない回答であった。全労働者の約四割が非正規という劣悪な労働環境となっている中、「同一労働同一賃金」が法制化、改正労働契約法による無期転換など、すべての労働者の雇用の安定と賃金の改善の方向に進んでいるのが民間の状況である。公務職場においても、この理念の実現が必要であり、二〇二〇年四月導入予定の会計年度任用職員の十分な労働条件も含め、臨時・非常勤職員の賃金および労働条件の改善を求めるものである。
最終交渉で、教育長は「プランの改善や新たな取組を検討し、働き方改革が着実に進むよう、より一層、様々な取組に努めてまいる」との超勤解消に向けた決意を表明した。「北海道アクション・プラン」の取組が始まっているが、学校現場の超勤は、業務改善や意識改革だけで解決される状況にはない。
教職員の超勤は、少人数学級実現を含めた定数改善、授業時数の上限設定、部活動指導の負担軽減など、業務量を減らし教職員数を増やすことに加え、超勤の歯止めとなっていない給特法の改正など、抜本的な改善が必要である。教職員自身の休む時間、余暇の時間、自分・家庭の時間を大切にする。そうした人間らしい豊かな生活があってこそ、子どもに対し血の通った温かい教育が実現される。教職員の仕事を働きがいのある人間らしい仕事「ディーセント・ワーク」とするため、そして、すべての子どもにゆきとどいた教育を届けるため、今後も、全道の教職員とともに、労働条件・教育条件の改善を求めるたたかいを強めるものである。
(関係団体 2018-11-21付)
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