2019年度文科省教育関係予算案②(関係団体 2019-01-25付)
文部科学省の三十一年度文部科学関係予算案主要事項はつぎのとおり(金額単位・百万円、カッコ内は対前年度予算比)。
【地域と学校の連携・協働および学校安全体制整備の推進等】=七、一五八(二〇五増)
学校を核とした地域力強化の仕組みづくりを推進するとともに、地域の活性化につながる多様な取組を展開することによって、まち全体で地域の将来を担う子どもたちを育成するとともに、一億総活躍社会および地方創生の実現を図る。
◆学校を核とした地域力強化プラン=六、三九五
学校を核とした地域力強化のための仕組みづくりや地域の活性化に直結する様々な施策等を地域の特色に応じて組み合わせて推進する(補助率三分の一)。
▼コミュニティ・スクール推進体制構築事業=八五
社会総がかりで子どもたちを育むために、全国の公立学校にコミュニティ・スクール(学校運営協議会制度)を導入し、学校・家庭・地域の連携・協働体制を確立する必要がある。
地教行法の改正を踏まえた制度内容の周知や域内の各地域や学校をつなぐ推進協議会開催、学校運営の充実に向けた管理職研修等によって、持続可能な推進体制の構築を図る。
▽市町村における推進体制の構築―七〇〇ヵ所
▼地域学校協働活動推進事業=五、九二四
地域と学校の連携・協働のもと、幅広い地域住民等が参画し、地域全体で未来を担う子どもたちの成長を支え、地域を創生する「地域学校協働活動」を全国的に推進する。
そのため、地域と学校をつなぐ「地域学校協働活動推進員」を配置することによって、地域の実情に合わせた放課後等の多様な体験・活動(放課後子供教室)や、学習が困難な子どもに対する学習支援(地域未来塾)等の様々な地域学校協働活動の総合化、ネットワーク化を目指し、組織的で安定的に継続できる「地域学校協働本部」の整備を推進することによって、社会全体の教育力の向上および地域の活性化を図る.
▽地域学校協働本部の設置―七、〇〇〇本部
▼地域における家庭教育支援基盤構築事業(家庭教育支援チーム強化促進プラン)=七三
家庭教育支援員等の養成、家庭教育支援チームの組織化および学習機会の効果的な提供などの取組に加え、訪問型家庭教育支援等を含めた支援活動の強化を図るための取組を推進する。
▽家庭教育支援の実施―一、〇〇〇ヵ所
▼地域と連携した学校教育活動=二三五
▽健全育成のための体験活動推進事業=九九
①小学校、中学校、高校等における取組―三二二校
②学校教育における農山漁村体験活動の導入のための取組―一三四地域
③教育支援センター(適応指導教室)等における体験活動の取組―一三四地域
▽地域を担う人材育成のためのキャリアプランニング推進事業=八―一五人
キャリアプランニングスーパーバイザーを都道府県等に配置し、地元企業等と連携した職場体験やインターンシップおよび地元への愛着を深めるキャリア教育の推進等を通じ、地元に就職し地域を担う人材を育成する。
▽地域ぐるみの学校安全体制整備推進事業=一一九―一、七〇〇ヵ所
スクールガード(学校安全ボランティア)の活用等によって、地域ぐるみで子どもの安全を見守る体制を整備する。
▽地域と連携した学校保健推進事業=八―六七ヵ所
養護教諭の未配置校等に対し、経験豊富な退職養護教諭をスクールヘルスリーダーとして派遣し、学校・家庭・地域の関係機関等の連携による効果的な学校保健活動の展開を図る
◆子どもの読書活動の推進=二五
第四次「子どもの読書活動の推進に関する基本的な計画」の推進に向け、公共図書館における電子図書館サービスの推進などに関する調査研究を実施するとともに、家庭・学校・地域等の連携のもと、発達段階に応じた読書活動の推進方策に関する検証などを通じてすべての子どもたちに対する読書習慣の形成を図る。
◆学校安全総合支援事業=二〇二
学校種・地域の特性に応じた地域全体での学校安全推進体制の構築を図るため、セーフティプロモーションスクール等の先進事例を参考とするなどして、学校安全の組織的取組と外部専門家の活用を進めるとともに、各自治体内での国立・私立を含む学校間の連携を促進する取組を支援する。併せて、各都道府県・政令市の取組を検証し、先進的な取組を共有するなどして支援することで、取組の質の向上を図る。
また、すべての教職員がキャリアステージに応じて身に付けておくべき資質・能力を整理・明確化するとともに、効果的な研修方策を開発する。併せて、教師を志す学生が身に付けておくべき資質・能力を整理・明確化する。
【新しい時代に求められる資質・能力の育成】=八、八一六(五四二増)
◆教育課程の充実=二、四七八(一七増)
これからの時代に求められる資質・能力を育成する観点から、学習指導要領の改訂を踏まえ、「社会に開かれた教育課程」を実現するため、教員の資質・能力向上方策とも連携しながら、主体的・対話的で深い学び(アクティブ・ラーニング)の視点からの学習・指導方法の改善やカリキュラム・マネジメントの推進など新学習指導要領の趣旨の周知・徹底、基礎学力定着に向けた取組、理数教育の充実、現代的な課題に対応するための取組などを推進し、初等中等教育の教育課程の充実を図る。
▼学習指導要領等の趣旨徹底等および新学習指導要領の円滑な実施に向けた取組の推進=二〇〇
学習指導要領の改訂を踏まえ、「社会に開かれた教育課程」を実現するため、主体的・対話的で深い学び(アクティブ・ラーニング)の視点からの学習・指導方法の改善やカリキュラム・マネジメントの推進など新学習指導要領の趣旨の周知・徹底を図る。
▼基礎学力に課題を抱える児童生徒への支援の充実=二四―新規
読解力をはじめとする基礎学力をすべての児童生徒が確実に習得できるよう、義務教育段階の早い時期から適切な支援を行うなど、基礎学力に課題を抱える児童生徒に対する効果的な取組等について調査研究を実施する。
▼次代を見据えた教育課程・指導方法等に関する先導的研究開発=七〇
今後の教育課程の基準の改善等に資する実証的資料を得るため、現行の学習指導要領等によらない教育課程の編成・実施を認める研究開発学校を指定し、新しい教育課程、指導方法などについての研究開発を実施する。
▼理数教育の充実のための総合的な支援等=一、九一七
観察・実験の充実を図るため、理科観察実験アシスタントの配置支援や、理科教育振興法に基づいた観察、実験にかかる理科設備の整備充実を行う。
▼現代的課題に対応した教育の充実等=一〇五
現代的な課題に対応した資質・能力を子どもたちに育むため、環境教育や放射線教育などの充実を図るための取組等を実施する。
◆情報教育・外国語教育の充実=二、一三一(一五八減)
新学習指導要領を踏まえた「情報活用能力」の育成、特に小学校プログラミング教育の円滑な実施や情報モラル教育の充実に向けた取組を推進する。また、児童生徒の学びの維持・充実を図るため、遠隔教育システムの導入促進にかかる実証事業など、教育の情報化を推進する。さらに、グローバル人材育成のため、小・中・高校を通じた英語教育強化の充実を図り、効果的な授業モデルの検証などを推進する。
▼小・中・高校を通じた情報教育強化事業=一八九
新学習指導要領の趣旨を踏まえ、すべての学習の基盤となる「情報活用能力」の育成に向けて、つぎの取組によって情報教育の強化・充実を図る。
▽次世代の教育情報化推進事業
①教科等横断的で体系的なカリキュラム・マネジメント事例等の創出・普及
②新たに必修となった小学校プログラミング教育の円滑な実施に向け,指導事例の創出・普及や教員研修充実のための教材開発等の実施
③新学習指導要領に対応した高校情報科担当教員の研修用教材の作成・配布
▽情報モラル教育推進事業
スマートフォンやSNSの急速な普及を踏まえ、情報モラル教育の指導資料の改善・充実や児童生徒向け啓発資料の作成・配布等。
▽ICTを活用した教育推進自治体応援事業
児童生徒の情報活用能力の把握や、学校におけるICT活用による健康面への影響に関する調査研究、自治体における教育の情報化を加速化させるためのアドバイザーの派遣。
▼青少年を取り巻く有害環境対策の推進=三八
スマートフォン等の所持率が上昇し、SNSなどを通じた犯罪やいじめ等に青少年が巻き込まれるとともに、ネット依存による生活習慣の乱れなどが課題となっていることから、関係府省庁と連携し、インターネット等の適切な使用やネット依存などを含む各種依存症予防について、保護者と青少年に直接働きかける啓発と教育活動を推進する。
▼遠隔教育システム導入実証研究事業=四七
多様性ある学習環境や専門性の高い授業の実現等、児童生徒の学びの質の向上を図るため、遠隔教育システムの導入促進にかかる実証事業を行う。
▼デジタル教科書の効果・影響等に関する実証研究=一六
学習者用デジタル教科書の制度化に伴い、その使用による教育上の効果・影響を把握・検証するための実証研究を行う。
▼小・中・高校を通じた英語教育強化事業=六二七
小・中・高校を通じた英語教育の強化のための取組を総合的に実施する。
▽新たな外国語教育に対応した条件整備事業
①小学校中学年用教材整備
②新学習指導要領への移行のための中学校補助教材整備等
▽生徒の発信力強化のための英語指導力向上事業
①各都道府県の「英語教育改善プラン」に基づいた研修の改善・充実等のための取組支援
②中・高校英語教師を対象としたオンライン・オフラインを融合した研修の実証等
▽小学校外国語教科化に対応した外部人材活用促進等のための講習の実施
▼スーパーグローバルハイスクール=四二四
グローバルな社会課題を発見・解決し、国際的に活躍できる人材の育成に取り組む指定校の質の高いカリキュラム開発・実践を支援するとともに、引き続き事業検証を実施し、成果の普及を図る。
▽指定校数―六七校
▽事業検証の実施
◆道徳教育の充実=四、二〇七(六八三増)
二〇一五年三月に、道徳教育にかかる学習指導要領等の一部改正を行い、これまでの小・中学校における道徳の時間を教育課程上、「特別の教科 道徳」と新たに位置付けるとともに、いじめの問題への対応の充実や発達の段階をより一層踏まえた体系的なものとする観点からの内容の改善、問題解決的な学習を取り入れるなどの指導方法の工夫を図ることなどを示した。
また、高校の道徳教育においても、二〇一八年三月に公示した高校学習指導要領において充実を図った。改正は、道徳教育について「考える道徳」「議論する道徳」へと質的に転換を図るものであり、これらを踏まえた道徳の指導が着実に実施されるよう、改訂学習指導要領の趣旨を生かした効果的な指導や評価、推進体制を構築するため研究協議会の開催などを通じた教員の指導力向上を図る。さらに、「親子道徳の日」といった学校・家庭・地域の連携による道徳教育の取組の支援等を行う。
▼道徳教育の抜本的改善・充実等=四、二〇七
▽道徳教育の抜本的改善・充実にかかる支援
小・中学校における「特別の教科 道徳」(道徳科)および高校における道徳教育の効果的な指導方法や、道徳科の評価および推進体制にかかる指導主事・教員等の研究協議会を開催するとともに、地域教材等の活用による地域の特色を生かした道徳教育の実践・普及、「親子道徳の日」といった家庭・地域との連携を強化する取組などを支援する.
▽道徳教育アーカイブ整備
道徳科の趣旨やねらいを踏まえた効果的な指導方法や評価方法について、現在、各学校等で取り組まれている好事例や優れた教材を収集・集約・発信する機能を有した「道徳教育アーカイブ」の充実を図る。
▽道徳科の教科書の無償給与
小学校および中学校の道徳科の教科書を無償給与する。
【いじめ・不登校対応等の推進】=六、九三一(五三五増)
「ニッポン一億総活躍プラン」や教育再生実行会議、「いじめ防止対策推進法」、「いじめの防止等のための基本的な方針」を踏まえ、いじめの未然防止、早期発見・早期対応や教育相談体制の整備およびインターネットやSNSを通じて行われるいじめへの対応など、地方公共団体等におけるいじめ問題をはじめとする生徒指導上の諸課題への対応のための支援体制を整備するほか、専門スタッフの配置充実等を図る。
また、二〇一六年に成立した「義務教育の段階における普通教育に相当する教育の機会の確保等に関する法律」および同法に基づき策定した基本指針を踏まえ、不登校児童生徒等に対する教育機会の確保の推進のため、教育委員会・学校、関係機関の連携などによる不登校児童生徒へのきめ細かな支援体制を整備するとともに、夜間中学の設置促進等を図る。
◆いじめ対策・不登校支援等総合推進事業=六、八八五
▼外部専門家を活用した教育相談体制の整備・関係機関との連携強化等=六、六九〇
▽スクールカウンセラーの配置拡充(補助率三分の一)=四、七三八
①スクールカウンセラーの全公立小・中学校への配置(二六、七〇〇校↓二七、五〇〇校)―公立中学校(一〇、〇〇〇校)に対するスクールカウンセラーの通常配置(六、二〇〇校)に加え、小中連携配置(三、六〇〇校)、生徒指導上、大きな課題を抱える学校などにおける週五日配置(二〇〇校)。公立小学校(一六、七〇〇校↓一七、五〇〇校)の通常配置(九、五〇〇校↓一〇、三〇〇校)に加え、小中連携配置(七、二〇〇校)
②貧困・虐待対策のための重点加配(一、〇〇〇校↓一、四〇〇校)
③教育支援センター(適応指導教室)の機能強化等、不登校支援のための配置(二五〇ヵ所)など
※支援が必要な学校に弾力的に派遣できるよう、地域の実情に応じ、教育委員会への配置も推進。
〈目標〉二〇一九年度までに、スクールカウンセラーを全公立小・中学校(二七、五〇〇校)に配置
▽スクールソーシャルワーカーの配置拡充(補助率三分の一)=一、七二二
①スクールソーシャルワーカーの全中学校区への配置(七、五〇〇人↓一〇、〇〇〇人)
②高校のための配置(四七人)
③貧困・虐待対策のための重点加配(一、〇〇〇人↓一、四〇〇人)
④スーパーバイザー(四七人)の配置
〈目標〉二〇一九年度までに、スクールソーシャルワーカーをすべての中学校区(約一〇、〇〇〇人)に配置
▽二十四時間子どもSOSダイヤル
いじめ等を含む子どものSOSを受け止める通話料無料の電話相談の実施。
▽幅広い外部専門家を活用していじめ問題等の解決に向けて調整、支援する取組の促進等
第三者的立場から調整・解決する取組(六七地域)、外部専門家を活用して学校を支援する取組(六七地域)、インターネットを通じたいじめ問題等に対応するための学校ネットパトロール等への支援(補助率三分の一)。
▽SNS等を活用した相談事業
いじめを含め、様々な悩みを抱える児童生徒に対するSNS等を活用した相談体制の構築を図る。SNS等を活用した相談体制構築事業(三〇地域、補助率定額)。
▼いじめ対策・不登校支援等推進事業=一六七
▽自殺予防に対する効果的な取組に関する調査研究
▽脳科学・精神医学・心理学等に関する研究と学校教育の連携に関する調査研究
▽いじめ防止等対策のためのスクールロイヤー活用に関する調査研究
▽スクールカウンセラーおよびスクールソーシャルワーカーの常勤化に向けた調査研究
▽学校以外の場における教育機会の確保等に関する調査研究
▽SNS等を活用した相談体制の在り方に関する調査研究―新規
▼関連施策
▽教職員定数の改善(いじめ・不登校等の未然防止・早期対応等の強化―五〇人増)
▽道徳教育の抜本的改善・充実等
▽教員研修の充実(教職員支援機構によるいじめの問題に関する指導者養成)
教職員支援機構において、いじめの問題に関する情報共有や組織的対応を柱とした指導者養成研修を実施。
◆夜間中学における就学機会の提供推進=四六
二〇一六年十二月に成立した教育機会確保法および第三期教育振興基本計画等を踏まえ、①夜間中学の設置促進②既設の夜間中学における教育機会の充実③夜間中学における多様な生徒の受け入れ拡大を図る―ことなどによって、夜間中学における就学機会の提供を推進する。
【子どもの体験活動の推進】=一〇二(一増)
農山漁村等における様々な体験活動を通じ、児童生徒の豊かな人間性や社会性を育み、自己有用感を高め、将来のキャリアへの意欲を喚起する。
「子ども農山漁村交流プロジェクト」として総務省、文部科学省、農林水産省が連携して事業を実施する。また、社会との関係の中で自己実現を図れるよう、青少年における自然体験などの多様な体験活動を推進する。
◆学校教育における長期宿泊体験活動の導入促進に関する調査研究=二
長期宿泊体験活動の導入促進のため、民間シンクタンクなどを活用して、学校の参考となるモデルカリキュラムを開発する。
▼関連施策
▽補習等のための指導員等派遣事業
公立学校における体験活動の実施にかかるサポートスタッフの配置を支援(補助率三分の一)。
【幼児教育の振興】=七六、二三三(四三、八〇七増)
幼児期の教育が生涯にわたる人格形成の基礎を培う重要なものであることにかんがみ、二〇一九年十月からの幼児教育無償化の実施とともに、幼児教育の質の向上および環境整備を促進することによって幼児教育の振興を図る。
◆幼児教育無償化の実施=七〇、〇九一(二八、二八三)
幼児期の教育は、生涯にわたる人格形成の基礎を培う重要なものであり、すべての子どもに質の高い幼児教育を保障するため、幼児教育にかかる保護者負担の軽減を段階的に推進してきた。今般「経済財政運営と改革の基本方針二〇一八」(二〇一八年六月十五日閣議決定)等を踏まえ、二〇一九年十月からの全面的な無償化措置を実施し、幼児教育無償化を一気に加速する。
◆幼児教育の質の向上=三四二
▼幼児教育推進体制の充実・活用強化事業=一四八―新規
地方公共団体において、公私立幼稚園・保育所・認定こども園に対して一体的に域内全体の幼児教育の質の向上を図るため、担当部局の教育・保育内容面にかかる事務の一元化や幼児教育センターの設置等、幼児教育の推進体制を構築している都道府県および市町村を対象に、幼児教育アドバイザーの配置およびそれらを活用した研修支援、幼小接続の推進等に必要な費用の一部を補助(補助率二分の一)する。
▼幼稚園教諭免許法認定講習等推進事業=二一―新規
幼稚園教諭は、二種免許状の保有率が高い一方で、上進のための免許法認定講習等の開設数が少ないことから、講習等の開設支援を通じて一種免許状の取得機会を拡大し、幼稚園教諭の専門性の向上を図る。
▼幼稚園の人材確保支援事業=七〇
幼稚園における優秀な人材の安定的な確保を図るため、離職防止のための研修や働きやすい環境の整備、離職者の再就職促進のためのマッチング制度の構築など、各地域における先導的な人材確保策を支援し、有効な方法を検証・普及する。
▼幼児教育の質向上のための評価実施支援事業=二八―新規
幼稚園等が教育活動や園運営について評価し、さらなる質の改善を図るとともに、評価結果を踏まえた自園の現状や改善の状況を保護者や地域住民等に伝えていくことが現在求められている。そのため、自治体などが各園に対し、評価の実施を支援するモデル的な取組を開発し普及する。
▼幼児教育の教育課題に対応した指導方法等充実調査研究(先端技術を活用した幼児教育分野の実証研究を含む)=四一―新規
今後の教育課程の基準の改善等に向けた資料・データの収集や、小学校教育との接続、特別な支援を要する幼児への指導、家庭教育との連携等、教育課題に対応した指導の在り方を調査研究する(Society5・0時代の先端技術の活用を通じて、幼児の豊かな行動を引き出す環境の構築や教師による適切な指導を支援するための実証研究を含む)。
◆幼児教育の環境整備の充実=五、八〇〇
▼認定こども園等への財政支援=四、五〇五
認定こども園の施設整備・園舎の耐震化・防犯対策に要する経費の一部を補助するとともに、幼稚園教諭免許と保育士資格の併有促進、研修等の実施、園務改善のためのICT化などを支援する。
▽認定こども園施設整備交付金=三、四二四―負担割合(認定こども園施設整備)国二分の一、市町村四分の一、事業者四分の一
▽教育支援体制整備事業費交付金=一、〇八一―負担割合(園務改善のためのICT化支援)国四分の三、事業者四分の一
▼私立幼稚園の施設整備の充実=一、二九五
緊急の課題となっている耐震化のための耐震補強、耐震改築、非構造部材の耐震対策等に要する経費とともに、防犯対策、アスベスト対策やエコ改修等に要する経費の一部を補助することによって、幼稚園の環境整備を図る(補助率三分の一(Is値〇・三未満の耐震補強二分の一).
【キャリア教育・職業教育の充実】=二、一七一(五三増)
小学校からの起業体験や中学校の職場体験活動、高校におけるインターンシップ等のキャリア教育を推進するとともに、専門高校においては、先進的な卓越した取組の実践研究や地域課題の解決等の探究的な学びを実現する取組を推進する。
さらに、実践的な職業教育を行う専修学校における産学連携教育や「職業実践専門課程」にかかる取組を推進し、専修学校全体の質保証・向上等を図る。
◆将来の在り方・生き方を主体的に考えられる若者を育むキャリア教育推進事業=二三
▽小学校における進路指導の在り方に関する調査研究
新学習指導要領において小学校段階からのキャリア教育が明確に位置付けられるとともに、中学校における入学者選抜が広がりをみせるなどの状況を踏まえ、小学校での進路選択等のキャリア教育の在り方などについて調査研究を行う。
▽小・中学校等における起業体験推進事業
児童生徒がチャレンジ精神や、他者と協働しながら新しい価値を創造する力など、これからの時代に求められる資質・能力の育成を目指した起業体験活動を行うモデルを構築し、全国への普及を図る。
▽キャリア教育の普及・啓発等
キャリア教育推進連携シンポジウムの開催など。
◆スーパー・プロフェッショナル・ハイスクール=八五
高度な知識・技能を身に付けた専門的職業人を育成するため、専攻科を含めた五年一貫のカリキュラムの研究や大学・研究機関等との連携など先進的な卓越した取組を行う専門高校を指定した実践研究および事業検証を実施し、成果の普及を図るとともに、専門高校の魅力発信に関する調査研究を行う。
【学校健康教育の推進】=一八一(四二減)
児童生徒が生涯にわたって健康で安全に生活できるよう、がん教育をはじめとする学校保健、学校を核として家庭を巻き込んだ食育の推進を図る。
◆学校保健推進事業
▽がん教育総合支援事業=三三
新学習指導要領等に対応したがん教育の取組を推進するため、全国でのがん教育の実施状況を踏まえ、それぞれの地域の実情に応じた取組を支援するとともに、先進事例の普及・啓発を図る。
◆学校給食・食育総合推進事業
▽つながる食育推進事業=五一
栄養教諭を中核として家庭を巻き込んだ取組を推進し、子どもの日常生活の基盤である家庭における食に関する理解を深めることによって、子どもの食に関する自己管理能力の育成を目指す。
また、家庭、地域、生産者等と連携した食育を教科等横断的な視点をもって推進し、栄養教諭を中核とした全校体制による指導・評価方法の開発を行うとともに、栄養教諭間の連携強化、研修を行うことによって、栄養教諭の実践的な指導力の向上を目指す。
【少子化に対応した活力ある学校教育の推進】=二、四三四(一二増)
現下の少子化・人口減少社会を踏まえ、地域の実情に応じて、少子化に対応した活力ある学校教育を推進するため、学校統合を契機とした魅力ある学校づくりや小規模校における教育環境の充実を図る。
◆少子化・人口減少社会に対応した活力ある学校教育推進事業=三六
▽広域の教育行政を担う各都道府県において、域内の教育の充実発展に責任をもつ立場から、学校の小規模化について市町村のニーズや実情を踏まえた適切な指導・助言・援助の在り方を調査研究する。
▽市町村における統合による魅力ある学校づくりや、統合困難な地域における教育環境の充実の取組モデルを創出するなどして、活力ある学校づくりを推進する。
◆へき地児童生徒援助費等補助金=二、三三二
▽へき地教育振興法に基づき、離島や中山間地域に所在する学校の教育の振興を図るため、地方公共団体が実施するスクールバス購入費や通学費支援について補助を行う。
▽学校統廃合に伴い遠距離通学となる児童生徒の通学条件を緩和するため、地方公共団体が実施するスクールバス購入費や通学費支援について補助を行う。
◆高校における次世代の学習ニーズを踏まえた指導の充実事業=六五
高校において、地理的要因等にとらわれず多様かつ高度な教育を可能とする遠隔教育の導入をはじめとした教育改革の優良事例の普及を図るとともに、新高校学習指導要領の実施を見据えつつ、定時制・通信制課程の特性を活かした効果的な学習プログラムのモデルを構築し、普及を図る。
また、定時制・通信制課程において、特別な支援を要する生徒、外国人生徒、経済的な困難を抱える生徒や非行・犯罪歴を有する生徒等の学習ニーズに応じた指導方法などを確立し、普及を図る。
▼関連施策
▽教職員定数の改善(統合校・小規模校への支援―三〇人増)
▽学校施設整備(公立小・中学校の統合校舎等の新増築事業、学校統合に伴う既存施設の改修事業等)
【全国的な学力調査の実施等教育分野におけるEBPMの推進】=五、二二四(八増)
教育施策を推進するに当たっては、効果的・効率的な教育政策の企画・立案等を行う観点や、国民への説明責任を果たす観点から、客観的な根拠を重視した行政運営に取り組むことが重要である。そのため、教育における客観的根拠に基づく政策立案(EBPM)を推進する。
また、義務教育の機会均等とその水準の維持向上の観点から、全国的な児童生徒の学力や学習状況を把握・分析し、国・教育委員会における教育施策の成果と課題を検証し、その改善・充実を図るとともに、学校における児童生徒への教育指導の充実や学習状況の改善等に役立て、さらに、これらの取組を通じた教育に関する継続的な検証改善サイクルを確立するため、全国的な学力調査を実施する。
◆EBPMをはじめとした統計改革を推進するための調査研究=五七―新規
「統計改革推進会議最終とりまとめ」や「第三期教育振興基本計画」に基づき、教育分野におけるEBPMを推進するため、客観的な根拠の開発等に資する取組を通じて、EBPMをはじめとした統計改革の推進を図る。
◆全国的な学力調査の実施=五、一六六
二〇一九年度調査として、小六、中三を対象に、国語、算数・数学、英語(中学校)の悉皆調査を行う。また、二〇二〇年度調査として、国語、算数・数学を対象教科とした悉皆調査、保護者に対する調査(抽出)および経年変化分析調査(抽出)を実施するための準備を行う。
【高大接続改革の推進】=五、九六二(一七一増)
「高大接続改革実行プラン」(二〇一五年一月十六日文部科学大臣決定)および「高大接続改革の実施方針等」(二〇一七年七月十三日策定)に基づき、高校教育改革、大学教育改革、大学入学者選抜改革を一体的に推進する。
◆高校生の基礎学力の定着に向けた学習改善のための研究開発事業=五九
高校現場のPDCAサイクルの構築に向け、「高校生のための学びの基礎診断」の測定ツールの出題内容や難易度等に関する調査研究および新学習指導要領への対応を踏まえた対象教科・科目等の在り方に関する調査研究を実施する。
◆「大学入学共通テスト」準備事業=二、〇七九
二〇二〇年度から「大学入学共通テスト」を円滑に実施するため、大学入試センターにおいて、これまで実施した試行調査の結果等をもとに、①記述式問題の作問・採点や実施運営等に関する方針の策定をはじめとした「大学入学共通テスト」の企画検討②記述式問題の採点等に対応したシステム構築③教科「情報」の導入検討およびCBTを活用した試験の研究開発―などにかかる必要経費について支援を行う。
◆大学教育再生加速プログラム(AP)「高大接続改革推進事業」=六八三
高校や社会との円滑な接続のもと、三つの方針(「卒業認定・学位授与の方針」「教育課程編成・実施の方針」「入学者受入れの方針」)に基づき、入口から出口まで質保証の伴った大学教育を実現するため、アクティブ・ラーニング、学修成果の可視化、入試改革・高大接続、長期学外学修プログラム、卒業時における質保証の取組の強化を図り、大学教育改革を一層推進する。
◆大学入学者選抜改革推進委託事業=一四〇
個別選抜において、ICTを活用することで新学習指導要領を踏まえた「主体性等」の評価をより実質的・効果的・効率的に実施できるよう、大学、高校・教育委員会等が連携して、①調査書の電子化を一斉に進めるための環境構築②次期指導要録下における調査書の評価の在り方―などにかかる研究・開発、成果の発信・普及を行う。
このほか、各大学の入学者選抜改革等の取組を支援。
【国際協働によるSDGs(持続可能な開発目標)達成への貢献】=一、〇七二(六五増)
諸外国および国際機関(ユネスコ・G20・国連大学・OECD等)との協働を通じて、SDGs目標達成のための施策を促進するとともに、わが国の教育の国際化、国際社会や地域社会で活躍するグローバル人材の育成を図る。
◆日本型教育の海外展開推進事業(EDU―Portニッポン)=七一
日本の教育の国際化等を図るため、関係省庁および政府系機関、民間企業等を含む教育関連機関などが連携して、日本型教育の海外への広報機能を強化するとともに、海外展開のモデルとなる事業を支援することで、日本型教育の海外展開を促進する。
◆国際バカロレアの推進=九一
グローバル人材の育成等に有意義である国際バカロレアの普及を加速化させるために、国内関係者のコンソーシアムを通じ、各学校等での導入・運営の支援等を実施し、その国内認定校を二〇二〇年度までに目標である二〇〇校以上とする(未来投資戦略二〇一八)。また、一部科目を日本語でも実施可能とする「日本語DP」を運用する。
◆新時代の教育のための国際協働=三六〇
G20教育大臣会合(二〇一八年初開催)等において、SDGsの達成やSociety5・0時代に対応した各国共通の教育上の課題への対応が求められていることを踏まえ、国際協働を通じて、新時代に対応したカリキュラムや教授法の改善、新たな教育モデルの開発等の取組を進め、新しい時代に求められるスキル・素養をもった人材の育成、わが国の教育の国際化・質向上を図る。
◆国際連合大学を通じた地球規模課題解決に資するグローバル人材育成等=一四四
人類の生存、開発、福祉など、国連およびその加盟国にとって緊急性の高い地球規模課題の解決に寄与するため、国連システムのシンクタンクであり、国際的な学術機関ならびに国連組織との架け橋という役割を担う国連大学を通じて、グローバル人材育成プログラム、国際協力プロジェクト、大学院プログラムなどを実施する。
◆国内外におけるユネスコ活動の推進=三二八
SDGs(持続可能な開発目標)の達成に向け、教育や科学を通じたユネスコ事業への協力を行うとともに、国内におけるESD(持続可能な開発のための教育)の推進に関する事業の実施を支援する。また、「持続可能な開発のための国連海洋科学の十年」、ユネスコスクールやユネスコ世界ジオパーク等に関する事業の推進を通じて、わが国におけるユネスコ活動の普及・振興を図る。
▼ユネスコ事業への協力=二〇〇
ユネスコを通じて、アジア太平洋地域における、SDG4達成に資する基礎教育への平等なアクセスの保証や教育の質の向上等を図るとともに、科学分野における学術協力や若手専門家の育成などを行う。
また、ユネスコが主導機関であるESDグローバルアクションプログラム(GAP)の国際的な実施に協力する。
さらに、ユネスコが実施する「世界の記憶」事業の適切な実施・運営を含めた記録遺産の保全・保護等を促進するため、アジア太平洋地域などに所在する記録遺産の保全・保護の基盤形成にかかる取組への支援等を行う。
▼SDGs達成の担い手育成(ESD)推進事業=五四―新規
新学習指導要領において、持続可能な社会の創り手の育成が学校に求められる役割と明記されたことや、ESDがすべてのSDGs達成に向けた鍵であるとの国連決議の採択を受け、新たにSDGs達成の担い手を育む多様な教育活動を支援する。
具体的には、SDGsの視点を組み込んだカリキュラム・学習評価の開発や、持続可能な社会の担い手を育む教師の育成など、学校・大学をはじめとした国内の教育現場におけるESDを推進する。
▼日本/ユネスコパートナーシップ事業=七四
ユネスコが、「持続可能な開発のための国連海洋科学の十年(二〇二一~二〇三〇)」の実施計画策定機関として、今後二年間で世界的な活動を展開することを受け、わが国で国際会議を開催することでユネスコにおける喫緊の施策の推進に貢献する。
また、ユネスコスクールの活動支援やユネスコ世界ジオパーク事業の推進、ユース世代の活用の推進等によって、国内におけるユネスコ活動の基盤を構築する。
(関係団体 2019-01-25付)
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