子の豊かな生活実現へ 教育大附属札幌小・中ふじのめ学級研究大会
(学校 2019-07-11付)

附属ふじのめ学級・小学校
小田教諭と八島教諭がチーム・ティーチングによる授業を展開

 道教育大学附属札幌小学校(髙久元校長)・中学校(佐々木貴子校長)の特別支援学級(ふじのめ学級)は5日、同校で全道教育研究大会(特別支援教育)を開いた。研究主題「思いを実現しながら学ぶ子どもを目指して」のもと、子どもたちの豊かな生活の実現に向け、小学校2授業と中学校2授業を公開したほか、分科会や教育講演会を行った。

 研究主題を「思いを実現しながら学ぶ子どもを目指して」、副主題を「子どもたちの思いと行動で膨らむ授業づくり」と設定。研究の視点として、①課題を明確にする指導・支援②一人ひとりの発想・気付きををどんどん取り入れられる指導・支援―の2点を据えて研究を進めている。

 全体会で研究概要を説明。

 4つの授業公開や分科会のあと、東京大学大学院の藤村宣之教授が「“深い学び”を実現する授業づくり」と題して講演した。

◆小学校国語 ことばのふしぎ 同音異義語見比べる

 小学校は2授業を公開した。国語科「ことばのふしぎ」(児童数8人)では、小田有佳里教諭と八島奈央教諭のチーム・ティーチングによる授業を展開。同音異義語について話し手の意図と聞き手のとらえ方を見比べる場を設定するなど、言葉の面白さが実感できるよう取り組んだ。

 本時は5時間扱いの4時間目。目標を「自分の伝えたいことが伝わるように、話すことができる」「同じ音であっても意味が異なることに気付き、興味をもって聞くことができる」と設定した。

小田教諭は「私はあめが好き」という文を提示。飴と雨のどちらかを問いかけるなど、同じ音でも意味が異なる言葉があることに気付かせた。

 視点①から、同音異義語を言葉や音声だけでなく、視覚的にとらえられるよう絵カードを教材として活用。同音異義語が出る紙芝居の続きに適切な絵カードを選択させることで、より言葉に意識を向けて話したり聞いたりしようとする姿につなげた。

 視点②から、児童一人ひとりが出題者として自分が伝えたい絵カードの言葉「はを磨く」「はなを持つ」「あめが好き」などを読み上げ、他の児童が適切だと考える絵カードを選択するカルタ大会を実施。

 同音異義語について、話し手の意図と聞き手のとらえ方を見比べる場を設定するなど、より言葉の面白さが実感できるよう取り組んだ。

 また、八島教諭は、文章の中で雨が正解の場合に飴を選んだ児童に声をかけるなど、活動を補助した。

 分科会では、小田教諭と八島教諭の授業について、札幌市教委学びの支援担当課の後藤大輔特別支援教育推進担当係長が「同音異義語をイントネーションのみならず、文章の前後の脈絡など流れの中で学ぶことができればよいのでは」と話していた。

◆中学校道徳 あなたなら、どうする? 変化が分かる授業

  中学校では2授業を公開した。うち、道徳科「あなたなら、どうする?」(生徒数8人)では、山田明夏教諭が指導。生徒それぞれの考えや考えの変化が分かるようジョイントマットを使用した授業を展開した。

 本時は3時間扱いの2時間目。目標を「獣医と農家の状況を知り、それぞれの立場をどのくらい理解することができるか、自分の考えをもつことができる」と設定した。

 生徒は前時まで野生動物を保護する人と野生動物に悩まされている人のビデオを視聴。「動物を守りたい」「動物はいなくなってほしい」のどちらの立場に共感できるかを交流している。

 授業では、視点①から、ビデオ教材を活用。映像をプリントアウトしてホワイトボードに貼るなど、全員が話し合いのポイントをとらえられるようにした。

 また、視点②から、「動物を守りたい」から「動物はいなくなってほしい」まで考えの度合いを示せるジョイントマットを使用。二者択一ではなく「どちらの意見も分かる」「どちらかといえばこっち」などといった意見も示せるようにした。

 前時の内容や動物に関する考えを確認したあと、エゾシカを治療する獣医のビデオを視聴。命を助けるために取り組んでいること、農家の被害から動物を助けてよいか悩んでいることなど、獣医の考えをとらえさせた。

 ジョイントマットに生徒それぞれの考えを書く「足あとカード」を置き、それぞれの立ち位置や考えを確認させたあと、動物に農作物の被害を受けた農家のビデオを視聴した。

 2つの立場の困りを確認させた上で、あらためて「動物を守りたい」「動物はいなくなってほしい」のどちらの立場に共感できるかを問いかけた。

 全体交流では、「命を奪うのはよくない」「作物を守るため」などと意見を交流したほか、「畑をつくる場所を変える」「人と動物とで住む場所を分ける」と話すなど、それぞれの立場の思いを考え、課題解決に向けた方策を話し合った。

 分科会では、特別支援における道徳の実践の在り方について意見を交換した。

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附属ふじのめ学級・中学校
山田教諭は、2つの立場を通して課題を考えさせた

(学校 2019-07-11付)

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