道高校長協会等文教施策要望への道教委回答・下(道・道教委 2019-09-12付)
道高校長協会(宮下聡会長)、道高校教頭・副校長会(鈴木浩会長)、道公立学校事務長会(坂井秀昭会長)の令和2年度道文教施策に関する要望に対する道教委の回答はつぎのとおり。
Ⅳ 教職員関係について
1(1)教職員加配の弾力的な運用と拡充〈重点〉
学校や生徒の実態に即し、創意工夫を生かした学校改善、研究指定校事業の取組の充実、学習指導・生徒指導の質の向上、特別支援教育への対応などに積極的に取り組めるよう、国の教職員加配に加え、道独自の加配など、弾力的な運用と拡充を要望する。
【回答】
現在、普通科における多様な教科・科目の開設校や職業系類型・コース開設校、数学・英語・情報の教科における少人数指導実践校へ、国の加配を活用し、教員を配置している。
加配の拡充については、国による定数改善が必要と考えており、定数措置の拡充について、引き続き国に要望していく。
なお、道独自での加配を現行以上に拡充することは、難しいものと考えている。
1(2)講師時間数増と配当時数の弾力化〈重点〉
生徒の実態に応じて多様な選択教科・科目を履修させ、生徒と向き合う時間を確保するため、学校の実情に十分配慮して講師時間数を増やすとともに、3間口以下の学校についても、間口数や学校の実態に応じた講師時間数の配当を図ることを要望する。
【回答】
講師時間数については、高校標準法で算定される総定数の範囲内で措置しており、講師時間数を大幅に増やせない状況であり、学校の実情や教員配置の状況等を踏まえ、個々に対応を協議していく。
なお、普通科9学級以下の学校については、学校の実情に合わせて対応を協議していく。
1(3)外部講師等の確保
ALTの配置を含む外国人講師の拡大および民間非常勤講師の時間数確保について配慮することを要望する。
【回答】
ALTについては、現在、JETプログラムによる外国からの招致青年62人を学校に配置している。
学校配置ALTの増員については、教育局配置から学校配置への切り替えを進め、充実を図っており、前年度から全員が学校配置となっている。
これからの英語教育はコミュニケーション能力の育成を一層重視する方向で改善を図ることが必要とされていることから、今後とも、国の動向や道の財政状況を踏まえながら、適切に対応していく。
1(4)学校間連携の拡大と制度の周知
小規模校化が進んでいる本道の高校における教育活動の活性化と充実を図るため、市町村立高校への学校間連携の拡大を要望する。
また、それにかかわる制度と教員の職務などについて周知することを要望する。
【回答】
道立学校間連携の取組は、近隣の道立学校が連携し、相互に教員を派遣することによって、少人数指導の充実など、相互の学校の教育課程の維持充実を図り、教育活動の一層の推進に資することを目的として実施している。
道教委では、今後ともこうした取組を通して、小規模校の教育環境の維持充実に努めていく。
なお、市町村立高校との間には、このような具体的な取組はないが、現行制度においても、校種・設置者にかかわらず、ほかの学校の教員の職を兼ねさせることは可能となっている。
また、道立学校と市町村立高校との人事交流を通して、適切な教員配置に努め、道立学校と市町村立学校の連携の推進、充実を図っていく。
2(1)教職員の人事〈重点〉
人事異動要綱・実施要領について、長年勤務、都市部・郡部間の教員構成の不均衡、定年延長や再任用など様々な課題の解決に向け、確かな運用を要望する。
【回答】
長年勤務者の解消や都市部・郡部間の異動の促進を図り、学校運営の円滑な推進に資するため、人事異動実施要領の一部改正を令和2年度当初人事に向けて作業中であり、新たな要領を踏まえた人事異動に努めていく。
2(2)行政職員にかかる人事
行政職員については、業務の円滑な遂行と相互けん制の確保のため、事務長および事務主任を全校に配置するとともに、都市部・郡部間の異動を促進することを要望する。
【回答】
行政職員の人事については、人事異動方針に示す考え方を踏まえ、適切な人員配置となるよう努める。
2(3)管理職にかかる人事〈重点〉
ア 減少している教頭等の候補者を確保するため、待遇改善や特殊事情による勤務地への配慮など具体的かつ実効性のある方策を早急に検討することを要望する。
【回答】
能力と意欲のある教頭候補者を確保するため、平成27年度から主幹教諭を配置している。また、令和2年度の教頭選考から、養護教諭や事務職員等も受検できるようにするとともに、教諭の受検者については、筆記選考を免除している。
引き続き、人材確保を図るための方策について検討するとともに、特殊事情がある場合の勤務地については、校長と十分協議しながら個別に対応していく。
イ 女性の職業生活における活躍の推進に関する法律に基づく特定事業主行動計画に基づき、女性管理職のために人事上配慮をするなど、引き続き条件整備を進めることを要望する。
【回答】
子育てや親の介護など家庭環境による事情がある場合の異動や昇任にあっては、勤務地等に配慮するなど人事上の配慮をすることとしており、今後とも校長と十分協議しながら個別に対応していく。
ウ 副校長の配置については、学校組織運営体制の一層の充実を図る観点から、支部長校をはじめ、学校の実情に応じて、加配として配置することを要望する。
【回答】
副校長の配置については、高校標準法に準拠して配置している教頭複数配置校の範囲内で、複数教頭のうち1人を副校長とすることとしている。
複数配置校の拡充については、国による定数改善が必要と考えており、定数措置の拡充について、国に要望していく。
なお、道独自での加配は難しい。今後の配置については、学級数や学科の状況などをもとに検討していく。
2(4)主幹教諭配置にかかる講師時間数の配分
主幹教諭の授業担当時間数を軽減するために、講師時間数を配分することを要望する。
【回答】
校長のリーダーシップのもと、学校の組織運営体制の充実を図るため、27年度から道立学校に主幹教諭を配置している。
講師時間数の配分については、国に対し、定数措置の拡充を引き続き要望していく。
2(5)新採用者の確保〈重点〉
ア 教員希望者の減少や採用登録辞退者の増加を踏まえ、優れた人材を確保するため、道の教育や教職の魅力を効果的に発信するとともに、採用決定時期を早めることや待遇改善など具体的かつ実効性のある方策を講じることを要望する。
【回答】
教員採用候補者選考検査の方法など、その在り方については、これまでも改善を図ってきており、前年度からつぎのとおり見直している。
・教員採用選考検査で登録になり、すぐに働くことができる者を年度途中から採用可能としたこと
・一定期間勤務した期限付教諭等を対象とした特別選考検査の実施
さらに本年度から、つぎのような改善を行う。
・より多くの教員としてふさわしい人材確保のため、第1次選考検査に東京会場を追加
・選考検査実施要領に、募集人員を記載
こうした様々な取組を道政広報による周知や、教員養成課程のある大学の協力を得て教員を志す学生に積極的に情報発信するなどして、教員としてふさわしい資質や能力を備えたより多くの人材の確保に引き続き努めていく。
イ 職業学科の実習を担当する実習助手の採用について、専門性(知識・技術・技能)を有する者の確保に、引き続き十分配慮することを要望する。
【回答】
産業教育を担当する実習助手の採用に当たっては、各受検教科関係の学科を卒業していることなどを受検資格とし、本人の専門性を十分見極め登録している。
なお、多様な経験や実績のある人材を確保するため、一昨年度から年齢要件を49歳以下から59歳以下に引き上げており、今後も専門性を有する者の確保に努めていく。
2(6)教科「看護」「福祉」「芸術」「家庭」「情報」の教員配置にかかる人事
教科「看護」および「福祉」「芸術」「家庭」「情報」の教員配置については、地域や学校の実情を考慮の上、教員の確保、積極的な任用、他校との兼務のための条件整備および特別免許状制度の活用など、特段の方策を講じることを要望する。
【回答】
授業時間数の少ない芸術科教科については,地域性などを勘案し教員の確保に努めるとともに、兼務などの制度を積極的に推進していく。
また、看護科や福祉科の教員配置については、特別免許状制度を活用するなど、地域や学校の実情を考慮し、校長と十分協議しながら進めていく。
2(7)再任用にかかる人事
再任用教員にかかる人事については、学校運営や教育活動の活性化および都市部・郡部間の異動促進の観点から、運用上の課題を検証し、必要な改善を図ることを要望する。
【回答】
再任用の配置については、平成18年度当初人事から、原則A地域での再任用は行わない(ただし、C・D・特D地域2校の勤務経験のある者は、この限りではない)などの取扱いを実施しており、再任用者の配置に当たっては、教科および年齢構成にも配慮しながら、学校間で不均衡が生じないよう、制度の趣旨を踏まえた任用について、校長と十分協議しながら進める。
2(8)正規採用者および期限付教諭の確保〈重点〉
期限付教諭については、年間を通じてその確保が困難な状況にあり、学校運営に大きな支障が生じる事案が増えていることから、全日制市町村立学校の期限付教諭にも特別選考の受験資格を与えるなど、正規採用を確保するための方策を講じることを要望する。
また、教職を目指す者に対し期限付教諭として勤務することの利点をホームページ等で丁寧に周知するなど、引き続き募集の充実を図り、時期を問わず確実に人材を確保することを要望する。
【回答】
期限付教諭の配置については、これまでも学校運営に支障とならないよう確保に努めてきており、今後も学校長と十分協議しながら対応していく。
また、道政広報による周知や教員養成課程のある大学の協力を得て、教員を志す学生に積極的に情報発信するなどして、教員として相応しい資質や能力を備えたより多くの人材の確保に引き続き努めていく。
3(1)研修の充実強化
高度情報化や科学技術の進展に対応する産業教育研修や新学習指導要領に対応する研修、生徒の心のケアに実践的に対応できる教育相談研修、新採用実習助手にかかる実技研修など、教職員の専門性を高める研修の充実に努めることを要望する。
また、英語の授業について、いわゆるオールイングリッシュでの授業を推進し発表・討論・交渉等の高度な言語活動を行うことができるよう、研修機会の拡充に努めることを要望する。
【回答】
道教委では、平成31年3月に改定した31年度道教職員研修計画に基づき各種の研修を実施している。
産業教育に関する研修については、15年度から実技研修として農業、工業、商業、水産、家庭、看護、福祉について実施し、学校の要望に応じて、新採用者も含め、実習助手も受講できるようにしており、今後も、科学技術の進展等に対応した研修内容を取り扱うよう努めていく。
新学習指導要領に対応する研修や教育相談に関する研修については、初任段階研修や中堅教諭等資質向上研修および道研講座において、当該の研修内容を位置付け、キャリアステージに応じた研修を実施している。
英語教育に関する研修については、26年度から、中央研修を受講した英語教育推進リーダーが講師となり、道内の各高校の英語担当教員を対象としたグローバル化に対応した英語教育指導力向上研修を悉皆で実施しており、今後も、教員の英語力と指導力の向上を図ることを目的とした各種研修を推進していく。
なお、英語教育に関する教員の英語力と指導力の向上に向け、これまでも教員の資質能力の向上を図る研修の充実のための財源措置について、国に対して要望しており、引き続き、要望していく。
また、新学習指導要領への対応として、道高校教育課程研究協議会を実施し、過去2年間の実施方法と同様、原則教務部長を対象に、学習指導要領の改訂の趣旨等について説明するとともに、カリキュラム・マネジメントおよび総合的な探究の時間に関する研究協議などを実施していく。
3(2)これからの時代に求められる資質・能力を育むための研修
主体的・対話的で深い学びの観点からの授業改善、ICT活用など学力向上に関する諸課題に対応した研修の拡充を図ることを要望する。
【回答】
新学習指導要領の実施に向け、社会に開かれた教育課程を実現することを目的とした新規事業「未来を切り拓く資質・能力を育む高校教育推進事業」を3ヵ年で実施し、主体的・対話的で深い学びを実現するための授業改善やICTの活用などにかかる研修の実施内容・方法の改善・充実に努めていく。
SCRUMについては、圏域別研究協議会等において、拠点校やサポート校、推進校、連携校がより一層連携を深め、主体的・対話的で深い学びを実現する学習・指導方法の改善に向けた取組の研究成果の普及・啓発に努めていく。
ICT活用については、授業改善セミナーにおいて、各教科・科目の講師からICTを活用した実践事例を紹介するとともに、本年度から教科「情報」を担当する教員を対象にセミナーを実施していく。
また、道立教育研究所において、教科「情報」の授業づくりに関する研修を新たに、実施していく。
3(3)特別支援教育に関する研修
特別支援教育に関する校種間の連携の在り方を含めた実践的な研修を繰り返し実施するとともに、特別な配慮を必要とする生徒一人ひとりのニーズに応じた個別支援を充実させるための研修等の施策を講じることを要望する。
また、高校における通級による指導の導入に関する研修をより一層推進することを要望する。
【回答】
道教委では、平成31年3月に改定した31年度道教職員研修計画に基づき各種の研修を実施している。
特別支援教育に関する研修については、本研修計画に基づき、初任段階研修、中堅教諭等資質向上研修等において、特別な配慮を必要とする生徒への対応など、特別支援教育に関する内容を位置付け、キャリアステージに応じた研修を実施するほか、道立特別支援教育センターにおいて、高校の教員を対象とした研修の受講者数を拡充するなど、教員の特別支援教育に関する指導力の一層の向上に努めている。
また、高校における通級による指導に関する研修について、これまでも特別支援教育センターにおいて実施しているが、今後とも、当該研修の実施内容・方法の改善・充実に努める。
3(4)行政職員の研修
学校事務体制の維持と事務職員の資質向上に関する、事務主任・事務職員・職務換職員の階層別研修の実施および研修機会の確保と実務研修の充実を図ることを要望する。
【回答】
道立学校に勤務する行政職員に対しては、現在、事務長研修(新任)、事務主任研修(新任・現任)、事務職員研修(新採用・中堅事務職員・財務実務)、職務換研修の階層別研修を行っており、今後においても職位に応じた研修機会を確保し、実施に当たって内容の見直しを行い、行政職員の資質・能力向上を図っていく。
4(1)再任用職員の待遇改善
本道の広域性や再任用制度の趣旨を踏まえ、再任用職員にへき地手当、寒冷地手当等を支給することを要望する。
【回答】
再任用職員の給与については、無年金期間の発生による再任用職員の増加や、特定地域への勤務希望者の集中などを考慮し、平成26年4月から、人事委員会勧告に基づき単身赴任手当および住居手当を措置した。
また、再任用職員の給与の在り方については、人事委員会報告において、引き続き検討を進めていくことが報告されており、国や他府県の動向も注視しながら、所要の検討を進めていきたいと考えている。
4(2)舎監等の負担軽減
寄宿舎を有する学校教職員の業務が過重であることから、舎監の増員および農業経営者育成寮の寄宿舎指導員の配置等の過重負担軽減措置の改善を進めることを要望する。
【回答】
舎監等の増員については、寄宿する生徒の数が50人以下の場合を除き、農業経営者育成高校には3人、その他の学校には1人の教員定数を、公立高校の適正配置および教職員定数の標準等に関する法律に準拠し措置していることから、増員は難しい。
4(3)公宅の改築・補修等
老朽化した公宅の改築や補修の一層の促進を図るとともに、地域の実情に応じて改築・改修年限の短縮措置を講じるなど、特に郡部の住環境を改善することを要望する。
【回答】
公宅については、道有施設の長期的視点に立った効率的な施設整備を進めることとし、教職員住宅有効活用プランや教職員住宅長期修繕計画に基づいて、引き続き、経過年数や老朽度、公宅需要等を考慮し計画的に既存公宅の修繕などを行っていく。
5 変形労働時間制の期間の拡大
対象業務の拡大とともに、変形労働時間制度における4週の期間を拡大し、より趣旨が生かされるよう要望する。
【回答】
変形労働時間制の対象業務の拡大については、校長会などに意見を伺いながら、検討していく。
また、教職員を含めた地方公務員については、1ヵ月単位の変形労働時間制は適用されるものの、1年単位の変形労働時間制は適用されていないが、現在、国において、1年単位の変形労働時間制導入に向けた検討が行われており、道教委としても、こうした国の動向を注視していく。
(道・道教委 2019-09-12付)
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