ほっかいどう学推進フォーラム 各種事業で活動の輪広げ 設立記念シンポジウム(関係団体 2019-10-21付)
NPO法人認証後初の事業で、約170人が参加した
特定非営利活動法人ほっかいどう学推進フォーラム(新保元康理事長)は17日、北海道大学フロンティア応用科学研究棟で設立記念シンポジウムを開いた。NPO法人認証後、初の事業で、約170人が参加。基調講演やパネルディスカッションを通じ、ほっかいどう学の重要性を共有。各種事業を通じ、活動の輪を広げていくことを確認した。
ほっかいどう学は、多くの人々が地域づくりに関心をもつ契機を創出するため、本道の魅力や地理、歴史、文化、産業等を子どもから大人まで幅広く学び、地域に関する理解と愛着を深めることを目的としている。
フォーラムは、官民、団体、企業など多様な主体がかかわることで、ほっかいどう学の幅広い普及を図ることを目的に設立。設立記念シンポジウムは、活動の第1弾となった。
新保理事長は、小学校教員時代から「子どもたちが北海道のことを学ぶ機会が少ない」と感じていたことを紹介。幾多の困難を乗り越え、現在の生活が成り立っている本道の魅力に言及し「その裏には、安心な生活を支えてきた人々の営みがあり、そうしたものを子どもたちに伝えることが私たちの使命」と述べ、幅広い人々の参画を得ながら、事業を進めていく方針を明らかにした。
来賓あいさつに立った国土交通省の倉内公嘉大臣官房審議官は、第8期北海道総合開発計画に盛り込まれた各種施策を進める上で、「ほっかいどう学は大事なアプローチ」と強調。「多くの方々に参画いただいていることは非常にありがたい」と謝意を示した。
その上で、「幾多の災害を克服し、現在の生活があるのは、先人の血と汗と涙によるもので、そうしたことを伝え、愛着をもってもらうことが、将来の北海道を考えていく上で重要」と述べた。
続いて、フォーラムの原文宏事務局長が設立趣旨、目的・活動概要を説明。
シンポジウムでは、㈱あるた出版編集部部長の和田哲氏が「古地図と歩く北海道~札幌と周辺を中心に」をテーマに基調講演。このあと、「ほっかいどう学に期待する」をテーマにパネルディスカッションを行った。
◆“ほっかいどう学に期待”テーマに 歴史学ぶ重要性を確認 4氏がディスカッション
特定非営利活動法人ほっかいどう学推進フォーラム設立記念シンポジウム(17日、北大工学部フロンティア応用科学研究棟)では、「ほっかいどう学に期待する」をテーマにパネルディスカッションが行われた。北海道開拓の歴史やアイヌ文化など、北海道の歴史を学ぶ取組とその重要性について意見を交換。子どもたちが学習に利用できる資料づくりに協力して取り組んでいくことを確認した。
国土交通省北海道開発局建設部長の平野令緒氏、㈱あるた出版編集部長の和田哲氏、公益財団法人アイヌ民族文化財団専務理事の今井太志氏、札幌市立緑丘小学校教諭の石本歩氏がパネリスト、特定非営利活動法人ほっかいどう学推進フォーラム理事長の新保元康氏がコーディネーターを担当した。
平野氏は、自身も作成に関与した開発局のパンフレット『北海道の歴史文化を巡る旅』を紹介し、北海道の人間が北海道の歴史をより深く知る必要性を提起。
石本氏は、学校現場における実践として、北海道の開拓時代の人々などを扱った授業やその効果を発表。一方で、必要となる教材の不足や学校現場の多忙化などから「北海道を題材とする授業づくりに必要な資料や写真があると非常にありがたい」と要望した。
今井氏は、来年4月24日にオープンする民族共生象徴空間「ウポポイ」の施設概要を説明し、アイヌ文化を学ぶきっかけとして利用するよう期待。10月下旬から教育旅行を優先して予約を開始する予定であるとし、企業研修にも対応することを検討する考えを示した。
和田氏は、800年以上にわたって文化、自然を維持してきたアイヌの歴史の価値について、道民が共通認識をもつ必要があるとし「広域な本道について学ぶには、全国の標準とは異なる考えが必要。それを考えるきっかけを子どもたちに与えてほしい」と述べた。
平野氏は「開拓後の150年は北海道が劇的に変化した時代であり、その理由を知るには当時の国内における北海道の位置付けを知る必要がある」とし、北海道の開発の歴史をこれまで以上に周知する必要性を挙げた。
インフラ整備に伴う生活や環境の変化について、開発局が保有する様々な資料やデータを提供する意向を表明。「未来の北海道の在り方を考えるのはこれからの子どもたち。それを考えるきっかけをつくることが私たちの使命だと思う」と述べた。
最後に新保氏は、子どもたちが学習に利用できる確かで分かりやすい資料づくりのため、「開発局、博物館、学校教育が力を合わせて進めていきたい」と締めくくった。
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学習に利用できる資料づくりを進めると締めくくった
(関係団体 2019-10-21付)
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