十勝地区国際理解教育研究会が大会 世界を視野に行動力を 90人参加し授業や討議
(関係団体 2019-11-13付)

国際理解教育研究大会・山川会長
山川会長は公開授業で研究が深まったと報告した

 【帯広発】十勝地区国際理解教育研究会(山川修会長)は10月30日、音更町立柳町小学校(伊藤道彦校長)と音更町立共栄中学校(阿部立校長)を会場に第40回十勝地区国際理解教育研究大会音更大会を開いた。会員約90人が参加。授業公開や研究討議を通して、多様な世界にかかわることができる行動力の育成を目指した。

 同会は研究主題に「多様な世界に関わり続ける行動力を身に付けた児童生徒の育成~世界とかかわる楽しさを行動化につなげる学びの創造」を掲げている。

 研究仮説として、①五感を使った体験的な学習(活動)を設定することによって、世界とかかわることを楽しみ、世界が抱える課題を「自分ごと」として感じる児童生徒を育成することができる②問題解決的な学習を行い、対話を通して想いを発信したり、表現したりする活動を行うことで、新たな価値との出会いと行動化につながる意欲と能力を身に付けた児童生徒を育成することができる―の2点を設定している。

 授業公開のあと、柳町小で行われた全体会で山川会長があいさつ。ラグビーワールドカップの日本開催にふれ、「スポーツを通して世界を身近に感じられるようになった」とし、「授業公開では、子どもたちの学ぶ姿や教員の頑張りがみられ、研究の深まりを感じる」と述べた。

 来賓あいさつでは十勝教育局の松井晃之次長が登壇。グローバル社会のさらなる進展についてふれ、子どもたちの伝統文化への興味・関心を高める必要性を指摘。また、「十勝の子どもたちが大きくなって主体的に行動し、社会に貢献する姿がイメージできるとても良い授業だった」と公開授業を講評した。

 続いて全体会では、多田明寿研究部長が研究概要を説明したあと、授業別分科会で協議。さらに、北海道開発教育ネットワーク職員が「道徳の授業づくりに生かす国際理解教育」をテーマに模擬授業を行った。

◆五輪開催は平和が必要 音更町柳町小6年社会

 十勝地区国際理解教育研究会の第40回十勝地区国際理解教育研究大会音更大会では、音更町立柳町小と共栄中で5授業を公開した。柳町小は2つの授業を公開。うち、6年1組の社会科「新しい日本、平和な日本」(児童数25人)では、村居拓郎教諭が指導し、オリンピックの開催に当たっては、平和と他国の理解が必要であることを感じさせる授業を展開。児童に世界について考えさせ、行動化へとつなげる学びを披露した。

 本時は5時間扱いの4時間目。目標を「資料をもとにオリンピックが中止になった理由を考え、日本の戦後復興とともに平和を尊重していったことを理解する」「オリンピックの開催には、国が平和で安定した状況が必要であり、さらに他国による理解が重要であることが分かる」とした。

 前時までに児童は、戦後の日本の改革や産業発展などによって国民の生活が向上していったことを学習してきた。

 はじめに、1940年に開かれなかった東京オリンピックのポスターをICT機器で示し、「なぜ40年の東京オリンピックが開催できなかったか考えよう」と呼びかけ、課題「オリンピックの開催にはどのようなことが必要か」を板書した。

 続いて、ICT機器を使って液晶画面に1930年から40年ころまでの日本の出来事の年表を示し、オリンピック開催中止になったことと関係のある事項をノートに抜粋させ、理由と一緒に発表させた。

 意見として「戦争中の開催は選手に危険が及ぶ」「他国から安全だと認められなかった」などを取り上げた。

 児童の視点を変えるために、モスクワオリンピックとロサンゼルスオリンピックの各国のメダル獲得数のグラフを提示。ボイコットや棄権によって参加しなかった国があることを確認させた。「多くの国にオリンピックに参加してもらうために、どのような方法を取ればよかったか」と問いかけ、ノートに記述させた。同会の研究における行動化(outcome活動)に位置付け、本時の学びで得た成果を書き取らせ、世界とかかわり続ける国際実践力を養った。

 児童の「国連に加盟して戦争を止める」「信用される国づくりを行う」という意見を取り上げ、村居教諭は、「オリンピックを開催するためには、平和で、他国から認められる必要がある」とまとめた。

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国際理解教育研究大会・公開授業
村井教諭は行動化につなげる授業を展開した

(関係団体 2019-11-13付)

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