道中・教育課程に関する調査研究 課題は指導方法研修など 特別支援教育・通常学級での困難は「指導体制」
(関係団体 2019-11-14付)

 道中学校長会(新沼潔会長)は、令和元年度『教育課程に関する調査研究報告書』をまとめた。新学習指導要領実施に向けた重点的な取組について、約9割の中学校が「主体的・対話的で深い学び」と回答し、課題として指導方法の研修、教材研究などを挙げた。特別支援教育における通常学級における生徒指導上の困難として、半数以上の学校が「指導体制」と回答。道中は、発達障がいのある生徒が増えているとし、学校全体で共通認識をもち、全教職員で対応することの大切さを指摘している。

 調査は、学習指導要領の実施に関する本年度の道内各中学校の取組状況を把握し、課題を明らかにするとともに、各学校の実践を進める上での資料とするもの。

 隔年で実施しており、今回は、①教育課程②特別支援教育③小中連携、小中一貫教育④コミュニティ・スクール(CS)―の4点に関する現状と課題を調べた。

 調査対象は、道内の中学校571校。ことし5月から7月にかけて調査した。

▼教育課程

 新学習指導要領実施の際の重点的な取組(複数回答)として第1に挙がったのは「主体的・対話的で深い学び」で88・8%。つぎに「特別の教科 道徳」が85・6%、「理解を深める研修」が68・0%、「カリキュラム・マネジメント」が51・8%、「社会に開かれた教育課程」が46・9%などと続いた。

 主体的・対話的で深い学びを実施する上での課題(複数回答)では、「指導方法の研修」が72・5%と最多。「教材研究」「適切な学習評価」「ICT機器の整備」「外部人材や支援機関」の順となっている。

 「特別の教科 道徳」の取組には「全教師による協力体制」が最も多く挙がり、「指導力向上の研修」「考え、議論する道徳への転換」などと続く。

 現状と課題に関する記述回答では、新学習指導要領の理解が不十分である、教員間の意識の差が大きいなどの意見があった。

 また、小規模校では人事異動の際、組織体制を根本から見直さなければならないなどの声も上がった。

▼特別支援教育

 通常の学級の生徒指導で困難を感じていること(複数回答)で最多だったのは「指導体制」の51・3%で、「指導方法」の36・1%を大きく上回った。困難を解決するための方法として最も多く挙がったのは「教職員の協力体制の強化」、つぎに「専門性のある教員の増員」「関係機関との連携」など。

 道中は、発達障がいのある生徒が増えていると指摘。校内指導体制について、外部人材の配置や関係機関との連携のみならず、学校全体で共通認識をもち、全教職員で対応することの必要性を示した。

▼小中連携、小中一貫教育

 「一貫を実施」が15・2%、「連携を実施」が69・0%、「実施していない」は15・8%。

 効果としては「教職員の生徒理解の高まり」が最も多く、「きめ細かな指導」「生徒指導上の諸問題の減少」「生徒の規範意識の向上」などと続いた。

 課題で最も多かったのは「打ち合わせ時間の確保」。このほか、継続的な交流、担当教諭の育成、推進組織づくりなども課題として挙がった。

▼CS

 平成30年4月1日現在、CSを導入している中学校は31・7%。校長会の地区別では、函館市が9割、渡島地区が8割、留萌地区が7割、上川地区が6割、日高地区が5割など。

 導入の成果(複数回答)は、「地域との情報共有」「組織的な連携」が多く、成果を実感している学校が多い。

 課題は「業務負担の増加」が最も多く、運営協議会の成果が不明瞭であること、人材の確保なども挙がった。

 道中は「働き方改革の流れの中、いかに教職員の負担増にならずに進めていけるかが今後の大きな課題」とした。

(関係団体 2019-11-14付)

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