広尾町学校教育推進協が研究大会 学力向上へ授業公開など 5年国語「意見文を書く」
(関係団体 2019-11-22付)

広尾町学校教育推進協授業
宮下教諭は交流の目的をもたせて授業を進めた

 【帯広発】広尾町学校教育推進協議会(会長・髙橋敏宏広尾小校長)は14日、広尾小学校で小・中学校教育研究大会を開いた。大会研究主題「子どもたちに“生きる力”を育む学校教育の推進」に向けた研究の成果を発信。公開した授業のうち、5年1組の国語では、児童が自然保護の方法を学びながら意見文の作成に取り組んだ。

 「ほっかいどう学力向上推進事業」授業改善等支援事業における授業公開・十勝管内教育委員会連絡協議会研究実践指定校における授業公開を兼ねて開催。

 広尾小は研究主題を「対話的・協働的な学習活動を通し、学びを深める子どもの育成~言語活動を意識した国語科の授業づくりを通して」と設定。本年度は3ヵ年研究の3年次目となる。研究仮説に、①子どもがよりよく学ぶための学習形態の工夫②つぎの学びへつなげるための振り返り―の2点を設定して研究を推進している。

 平成29年度から「ほっかいどう学力向上推進事業」授業改善等支援授業の指定校として、学習規律に関する指導、国語・算数を中心とした単元テストの分析、ミドルリーダー派遣研修などを進めている。

 2年生、3年生、5年生の国語科3授業を公開。

 うち、5年1組の国語「多様な情報を読み取り、自分の考えを広めよう“世界遺産 白神山地からの提言”―意見文を書こう」(宮下承久教諭、伊賀智子教諭、児童数33人)は10時間扱いの4時間目。これまで、「意見文を書く」という学習の見通しをもたせ、文章構成や自然保護の方法について学んできた。

 本時までに教室の掲示物でこれまでの学習ポイントを整理し、重要な部分を確認できるようにしている。授業は宮下教諭が進め、伊賀教諭は支援に当たった。

 はじめに、宮下教諭が掲示物を使って前時までの振り返りをさせたあと、本時の課題「自分ならどのように白神山地を守るか」を提示。児童は、「人が入って自然を守る考え」「人が入らないで自然を守る考え」のどちらの立場なのかを決めた。

 続いて、自分の考えについて理由をノートに記述したあと、全体交流で発表させた。研究仮説②から、意見文を書くために、自分が感心した他人の意見や納得した内容を意識させた。

 つぎに、自分の意見に説得力をもたせる目的で、資料から根拠になる部分をノートに抜粋させた。「根拠となる部分を見つけたら、できるだけ自分の言葉で書こう」とポイントを示し、主体的に取り組めるようにした。

 自由交流に移り、交流の目的として「違う立場の人と交流する」「付せんを使って“良いと思った部分”“参考になる部分”をメモする」を示した。児童が自分や他者の意見を評価し、深い学びやつぎの学習への意欲喚起をねらった。

 宮下教諭は交流が活発になるよう支援。自由交流を終えたあと、意見と根拠を発表させ、まとめた。

◆「主体的」意味伝える 道教大・横藤学校臨床教授

 広尾町小・中学校教育研究大会では、「ほっかいどう学力向上推進事業」授業改善等支援授業における担当講師の道教育大学の横藤雅人学校臨床教授が記念講演した。演題は「主体的な学びを実現する授業づくり~具体的な指導事例から見る学びの姿」。横藤学校臨床教授は“主体的”の意味を伝え、様々な具体例からこれからの授業改善の在り方を提示した。

 はじめに、主体的の字義にふれ、書籍の言葉を引用し「人間の動機には“恐れ”と“愛”の2種類がある」と提示。SNSなどで世間を騒がせた事例の背後に“恐れ”があると分析しながら、「主体的な行動は、動機が“愛”である場合を指すのではないか」と問題提起した。

 教育活動の“良い活動”と呼ばれるものの中に、主体的とは言えない事例があるとし、「“発案者は誰か”“参加者の納得の度合い”“参加者の手ごたえ”といった視点で、教師は教育活動を見極める必要がある」と強調した。

 授業は、「教師の人間性・専門性」「学級経営」「授業運営の技術」「教科指導」など、段階的に構成されていることを示し、様々な外部要素をうまく組み合わせることによって「子どもたちが明るく主体的に学ぶ授業が実現できる」とまとめた。

 このあと、様々な授業事例を示しながら、参加者に具体的なイメージをもたせた。

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広尾町学校教育推進協横藤雅人
授業改善の在り方などを示した

(関係団体 2019-11-22付)

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