高校教育改善研 道教委所管事項説明〈下〉 英語力身に付ける実践を 到達状況把握し授業改善(道・道教委 2020-09-01付)
道教委の全道高校教育改善協議会(8月25日、道庁別館)における各課所管事項説明概要はつぎのとおり。
《高校教育課・ICT教育推進課②》
【進路指導】
▼大学入学者選抜における調査書
過年度生の調査書については、令和2年6月23日付教高第621号通知「3年度大学入学者選抜実施要項について」によって、従前の様式による調査書を使用することについて通知した。
この取扱いについては、すべての高校卒業者(または退学者)に適用する。
▼大学入学共通テスト
2年7月2日付教高第721号通知「3年度大学入学共通テストの受験日に関する意向調査について」においては、すべての学校に協力をいただいたことに感謝する。
文部科学省高等教育局大学振興課大学入試室は、本年度実施の大学入学共通テストについて、新型コロナウイルス感染症の影響に伴い、高校等の臨時休業等が実施されたことによって、学業の遅れにも対応できる選択肢を確保するため、3年1月16日、17日のほか、1月30日、31日も試験期日として設定した。
1月30日、31日については、新型コロナウイルス感染症の影響を伴う学業の遅れのため、当該日程で受験することが適当であると学校長に認められた生徒が対象となる。
本年度卒業予定者数2万7107人中、「1月16日、17日に受験を希望」または「どちらかと言えば1月16日、17日実施を希望」している生徒は9426人(34・8%)、「1月30日、31日に受験を希望」またはは「どちらかと言えば1月30日、31日実施を希望」している生徒は959人(3・5%)という結果。
各学校においては、どちらの受験日においても受験生に不利益がないよう、適切な対応をお願いする。
▼Japan e―Portfolio
Japan e―Portfolioの取扱いについては、2年8月12日付教高第1060号「一般社団法人教育情報管理機構に対する“Japan e―Portfolio”の運営許可の取消について」で通知した。
Japan e―Portfolioの運営許可の取消に伴い、機構による運用が停止されるため、これまで生徒が登録した情報は、Japan e―Portfolioを通じては3年度の大学入学者選抜に活用することができない。
各学校においては、登録した情報を保存したい生徒について、2年9月10日までに、学びのデータの画面から登録した情報を複写・貼付、または画面を印刷するなどして、データを直接保存するよう適切な対応をお願いする。
【英語教育】
▼元年度英語教育実施状況調査の結果(①全道②全国平均)
▽CEFR A2(英検準2級相当)レベル相当以上の英語力を有すると思われる生徒の割合(目標値50%)=①41・2%、36位(平成30年度39・4%、24位)②43・6%(30年度40・2%)
▽CEFR B2(英検準1級相当)レベル以上を取得している英語担当教員の割合(目標値75%)=①54・0%、47位(52・0%、44位)②72・0%(30年度68・2%)
▼生徒の英語力
各学校においてスピーキングテストなどパフォーマンステストを実施し、生徒の英語力を適切に把握した結果、前年度に比べ1・8ポイント上昇しているが、他都府県の上昇率が大きかったこともあり、順位を大きく落としている。
国および道の目標指標である50%に到達していないことから、引き続き生徒の英語力を身に付けさせる実践や、生徒の英語力を適切に測る評価の取組の実施をお願いする。
本調査において、大幅に生徒の英語力を上昇させた学校の取組事例をリーフレットにまとめ、全道に周知することを予定している。リーフレットの作成の依頼があった場合には協力願う。
CAN―DOリストの形式での学習到達目標については、すべての学校で設定されている。CAN―DOリスト作成の目的は、生徒が身に付ける能力を各学校が明確化することで、指導と評価の改善に役立つこと、教員と生徒が目標を共有することで、主体的に学習する態度・姿勢を生徒が身に付けることを促すことなどであり、ウェブページなどで公表することによって、中高連携や学校間連携等に寄与するものであると考えられることから、年度末に向け、道教委のウェブページに「道立高校CAN―DOリストリンク集」(仮称)を作成し、各校のウェブページに掲載しているCAN―DOリストにリンクを貼る予定である。
今後は、各学校で作成したCAN―DOリストの公表、到達状況の把握、見直しを行い、授業改善に向けた活用をさらに進めるようお願いする。
▼教員の英語力
前年度に比べ、2・0ポイント上昇したものの、半数以上の他都府県において、3・0ポイント以上上昇していることなどから、全国最下位という結果。特に、全国平均と約20ポイントの差がある。
教員においては、生徒の英語力の課題として挙げられる「書くこと」や「話すこと」などの表現する力を育成する指導方法や、授業等において生徒の英語力を適切に評価するためのパフォーマンステストの手法を身に付けるためにも、外部検定の受検を通して、自己の英語力を高め、客観的に確認することが有効。
また、CEFR B2レベル以上の資格は、外資系企業などにおいては評価の対象となったり、大学等においては単位認定に認められたりするなど社会的信頼が大きく、教員の英語力を評価する客観的指標の一つと考えられる。
各学校においては、2年7月8日付事務連絡「中学校・高校の英語担当・小学校の先生へ~英語の各試験団体の“特別受験制度”を英語力向上に活用しませんか」を周知するなどして、管理職から未受験者に対して積極的な資格取得を促していただきたい。
【キャリア教育】
▼未就職者(2年3月卒)の6月末現在の状況
本年3月に就職未決定のまま卒業した生徒は、全日制・定時制を合わせて130人で前年同期と比べて24人減少している。6月末現在において、未就職者は51人となっている。
各学校において、卒業生の状況について可能な限り把握して、関係機関と連携するなど、引き続き、丁寧な就職支援を行うよう、お願いする。
▼道ふるさと・みらい創生推進事業
高校生が主体的に取り組む事業の事例を、広く全道各地域に普及するため、事業の成果の発表や指定校相互の交流を行う全道ミーティングを10月27日(火)に開催する予定。
当日の様子は、YouTubeの高校教育課チャンネルで後日配信することとしていることから、各学校で実践する総合的な探究の時間の参考としていただきたい。
【学校運営費】
▼Windows8・1PCの更新
Windows8・1のサポート期限が5年1月10日までのため、2~4年度の3ヵ年で計画的に更新を予定。
2年度の校務用PCにかかる更新予算は配分した。
▼GIGAスクール構想にかかる経費
緊急時における家庭でのオンライン学習環境の整備として、全道立学校に、臨時休業等の緊急時に学校と児童生徒がやりとりを円滑に行うための学校側が使用するカメラやマイクにかかる予算を配分済。
▼学習用PCの整備
希望調査をもとに、1校に付き11台の学習者用PC端末や1学年の学級数分のプロジェクター等にかかる予算を98校に配分した。
▼学校教育活動再開支援事業費
新型コロナウイルス感染症対策および学びの保障の両立に向けた取組にかかる経費を配分した。
生徒や教職員等の感染症対策に必要となる物品の購入経費や、今後の臨時休業時のオンライン学習の実施に備えタブレット・PC端末等のICT機器を整備するなど、有効活用していただきたい。
本事業は、国の学校保健特別対策事業補助金を財源の一部としていることから、通常の経費と区別して経理するとともに、補助金の対象外の執行とならないよう十分留意していただきたい。
▼物品の適正管理
物品にかかる事故について、本年度、機械警備のカードキーの紛失が2件、職員用のパソコンの損傷が3件発生している。
各学校における物品の厳正な管理の徹底をお願いしたい。
【ICTを活用した教育の推進】
主体的・対話的で深い学びの視点からの授業改善や学習活動の一層の充実を図るため、各学校においては、ICTを活用した授業実践の一層の充実を図っていただきたい。
道教委では、学校におけるICTを効果的に活用した授業実践の支援のため、ICTを活用した授業の目指す姿と、その実現に向けた具体的方策を示すICT活用授業指針の策定と、授業モデルの作成を進めることとしている。
2年8月5日付教ICT31号「ICT活用授業モデル“Tips編”について」によって通知した実践例の提供については、多くの先生方に協力いただき感謝する。
締切後も実践例の募集を継続し、情報の充実を図ることとしているので、引き続き協力をお願いする。
現在、当課では、インターネット上で、ICTを活用した授業を実施する際に参考となる情報を集約したICT活用ポータルサイトの開設を準備しており、Tips編も掲載する予定。
また、ポータルサイトの充実のため、今後も実践例の提供をお願いすることとしているので、協力をお願いする。
【高校における1人1台端末を活用した授業】
1人1台端末環境の実現については、7月に有識者会議を開催し意見を求めた。今後、これらの意見を踏まえ、10月を目途に中間まとめを作成し、方向性を示す予定。
【交換留学】
▼カナダ・アルバータ州
出入国が制限されており、現段階で事業実施の目途は立っていないが、日程の変更・短縮を行った上で、諸条件が整った場合に事業を実施できるよう、生徒募集を再開し、教育局で選考中。
派遣生徒は9月中旬を目途に決定し、通知予定。
実施の可否については、新型コロナウイルス感染症の状況を慎重に見極め、生徒の安全確保を最優先に判断する。
該当校では、その旨留意するとともに、生徒や保護者との連絡調整などについて協力をお願いする。
▼アメリカ・ハワイ州などその他の国・地域
出入国が制限されており、現段階で事業実施の目途は立っていないが、実施の可否も含めて引き続き相手国・地域と調整中。
一部の国・地域からオンライン交流の提案があり、実施規模や方法等について調整中。必要に応じ、情報提供していきたい。
【高大連携によるHokkaido Study Abroad Program】
新型コロナウイルス感染症の影響によって、事業中止や日程等の変更の可能性はあるが、すでに通知しているとおり、9月に北大の留学生を道立高校に派遣し、10月12~14日に道立高校生を北大に派遣する予定。
北大留学生の道立高校への派遣について、前年度は12校、本年度は19校から受入希望があった。積極的な受入希望をいただいたことに感謝する。
受入校では、留学生との連絡調整に協力いただくとともに、留学生の受入時には『学校における新型コロナウイルス感染症に関する衛生管理マニュアル』などに沿って、可能な限り感染リスクの低減に努めていただきたい。
北大への派遣生徒については取りまとめ中であり、9月上旬目途に決定し、通知予定。
北大での事業についても、新型コロナウイルス感染症対策を講じた上で実施することとし、詳細は、参加生徒決定通知の際に併せて知らせる。
【就学支援金事務における個人情報の取扱い】
▼個人情報が記載された書類の取扱い
ことし6月、保護者から提出された書類の所在が不明となる事案が発生した。
個人情報が記載された書類の取扱いについては、2年6月18日付教高第584号通知「高校等就学支援金等事務における個人番号の取扱いについて」で示しているとおり、引き続き十分留意すること。
▼個人情報の漏洩
ことし7月、高校等就学支援金事務処理システム(e―Shienシステム)に保護者がログインした際、別の保護者の情報が表示されるという事案が発生した。
e―Shienシステムで生徒情報を更新する際は、『高校等就学支援金事務処理システム業務マニュアル(学校管理団体・学校用)』を順守し、作業中にミスが生じないよう十分注意するとともに、担当者に加え、複数の職員で更新結果に誤りがないかを確認すること。
今回の事案などを踏まえ、業務マニュアルに記載されていない留意すべき点を整理したものを別途学校あて送付する。
各学校においては、就学支援金事務はもとより、生徒や保護者の個人情報を取り扱う機会が数多くあり、今回のような事案が発生することは、生徒や保護者の不安、ひいては学校や教育行政への不信にもつながりかねないことから、管理職が中心となって、個人情報保護の重要性についてあらためて意識するとともに、個人情報を取り扱う際の校内体制を十分点検すること。
《生徒指導・学校安全課》
【生徒指導】
▼生徒の自殺予防にかかる取組
▽夏季休業明けの自殺予防にかかる取組
『自殺対策白書』でも指摘されているとおり、18歳以下の自殺は、長期休業明けに急増する傾向があり、学校は保護者や地域、関係機関等と連携して、つぎに掲げる取組を積極的に実施していただきたい。
①アンケート調査や教育相談等を実施し、悩みを抱える生徒の早期発見に努める
②保護者に対し家庭における見守りを行うよう働きかける
③保護者、地域住民の参画や、関係機関等と連携の上、生徒への見守り活動を強化する
④学校ネットパトロールを強化し、インターネット上の自殺をほのめかす等の書き込みの発見に努める。また、書き込みを発見した場合は、警察に連絡・相談し、適切に生徒の生命または身体の安全を確保する
子ども相談支援センターの電話相談や、ほっかいどうこどもライン相談をあらためて周知していただきたい。
▽生徒の自殺が発生した際の対応
生徒の自殺(自殺未遂)が起きた場合を想定し、当該保護者への対応、在校生徒や保護者への対応、報道対応などについて、つぎの資料を活用し、確認していただきたい。
①『子どもの自殺が起きたときの緊急対応の手引き』(平成22年3月、文科省)
②『児童生徒の自殺が発生した際の学校等の対応マニュアル』(30年3月、道教委)
▽児童生徒の自殺を予防するためのプログラム
29年7月25日に閣議決定された自殺総合対策大綱を踏まえ、道教委では自殺予防教育の参考となるよう、「援助希求的態度の育成」「早期の問題認識(心の健康)」「ストレス対処スキルの育成」に関するプログラムを作成し、配布した。教職員対象の調査によると、約8割の教職員が自殺予防教育を必要と考えているものの、「実際には取組を行っていない」「具体的に何をすればよいか分からない」との回答があることから、本プログラムを積極的に活用し、自殺予防などにかかる取組を組織的・体系的に進めていただきたい。
▼いじめの防止等
▽教職員の資質・能力の向上
いじめ防止対策推進法に定められている定義を限定的に解釈しているなど、いじめの認知にかかわる課題が指摘されている。令和元年6月11日付教生学第271号通知「教員用リーフレット“いじめの正確な認知に向けて”について」を踏まえ、計画的に研修を実施いただきたい。
元年12月3日付教生学第746号通知「いじめの問題への適切な対応について」に示された教職員の責務の理解を図っていただきたい。
▽調査結果の確実な公表
調査によって、いじめの認知がゼロであった学校は、その事実を生徒や保護者向けに公表し、検証を仰ぐ取組を引き続き実施願いたい。
▽道いじめ問題等解決支援外部専門家チーム
いじめの事案への効果的な対応など、学校等に専門的な見地から助言を行う体制を整備するため、道いじめ問題等解決支援外部専門家チームを設置。積極的に活用いただきたい。
学校からの求めに応じて、弁護士、医師や学識経験者などを派遣し、派遣された専門家はつぎの業務に当たる。
①いじめや不登校等の生徒指導上の諸課題への対応策の検討に関する支援
②児童生徒に対する心のケアに関する支援
③児童生徒の保護者等への対応に関する支援
④いじめや不登校等の生徒指導上の諸課題の解決に向けた関係機関との連携に関する支援
⑤いじめや不登校等の生徒指導上の諸課題の解決に向けた取組に向けた研修等に関する支援
▽児童生徒仲良しコミュニケーション活動奨励事業
本年度からは、これまで実施してきたどさんこ☆子ども全道サミットは開催しない。地区会議については、新型コロナ感染症拡大防止対策等から児童生徒が会場に集合する形での会議などの開催は見送った。
生徒会活動等において、生徒同士がいじめの問題を自分のこととしてとらえ、考え、議論する生徒の自主的な活動を推進し、その成果を自校の学校いじめ防止基本方針の見直しなどに生かす取組を進めていただきたい。
▼児童虐待への対応
2年7月1日付教生学第202号通知によって、『学校・教育委員会等向け虐待対応の手引き』の改訂内容について周知した。本手引の内容を教職員に周知し、虐待が疑われる事案が発生した場合の通告までの流れを確認していただきたい。
▼不登校生徒への支援
各教育局を通じて、不登校の早期発見・早期対応に向けた児童生徒への支援状況の把握のための調査を依頼した。新型コロナ感染症による影響を把握するため、一部の学校には、調査期限を繰り上げての回答を依頼した。趣旨を理解の上、対応いただきたい。
▼SNSを活用した相談体制の構築事業
前年度に引き続き、公立高校生徒(札幌市内を除く)および道立中等教育学校後期課程生徒を対象に、いじめを含む様々な悩みを、LINEを活用して相談するほっかいどうこどもライン相談を、つぎの実施期間の午後4時から午後9時まで開設。
〈実施期間〉
①2年6月22日から3年3月29日までの月曜日のみ
②2年8月17日から31日の毎日
③3年1月15日から29日の毎日
対象生徒には、学校を通じて、相談窓口周知用カードを配布しており、生徒各自がスマートフォン等からLINE上のほっかいどうこどもライン相談公式アカウントに登録した上で、専門の相談員に相談する。
生徒がカードを紛失した場合、当課のホームページ上にあるQRコードから友達登録し、相談することも可能であることや、相談時間外のアクセスが非常に多いので、午後4時から9時までが相談時間であることをあらためて周知いただきたい。
▼非行防止教室
2年6月18日付教生学第158号によって、2年度非行防止教室等の実施について通知した。未実施の学校については、実施に向けて準備いただきたい。
道警本部では、本年度、従来の実施方法に加え校内放送などを活用し、朝のSHRや昼休みの時間も活用した非行防止教室等も準備しており、学校の状況に応じた対応も可能。警察署と連携を図り、実施方法を工夫いただきたい。
新たな非行防止教室として、街頭指導や少年相談を日常業務としている少年サポートセンターの専門職員が警察官とは違う視点で、実際の事例を通し、生徒が自分の大切さなどを実感させる教室を開催。希望する場合は、地域の警察署に相談いただきたい。
▼スクールソーシャルワーカー活用事業
生徒が抱える課題への対応については、保護者の養育や経済状況など、学校以外の生徒を取り巻く環境への働きかけが必要な場合があり、そうした場合は、学校だけの対応では解決が難しい場合も多く、道教委では、必要に応じて、福祉の専門家であるスクールソーシャルワーカーを派遣する。
スクールソーシャルワーカー活用事業は平成20年から開始しているが、一層の浸透を図りたいと考えており、これまで活用した経験のない校長においても、今一度、事業の活用について積極的に検討いただきたい。
【学校安全】
▼交通安全
自転車の安全利用について、生徒に対して指導を徹底し、交通事故の防止に万全を期していただきたい。
▼水難事故の防止
28から30年度まで3年連続で、遊泳中の高校生が死亡する事故が発生した。
令和2年7月1日付教生学第201号通知「遊泳事故に関するリーフレット等の配布について」に基づき、リーフレットを活用するなどして、遊泳事故の未然防止に向けた指導に努めていただきたい。
【道内公立高校(札幌市立を除く)における非行事故(速報)の状況】
2年度における8月15日現在報告分をみると、非行事故は16件で、前年同期と比べ14件減少した。
殺人未遂、脅迫、児童ポルノ禁止法違反などの容疑で逮捕事案等が相次いで発生した。
各学校においては、生徒の悩みや変化など心のサインを見逃さず適切に対応できるよう、生徒指導・教育相談体制の工夫改善に取り組んでいただきたい。
《教育環境支援課》
【遠隔授業の集中化】
▼配信センターの実施に向けた進ちょく状況
来年度からの仮称・道高校遠隔授業配信センターによる遠隔授業の配信に向け、過日、3年度の配信教科・科目一覧および配信時間割を作成し、地域連携特例校や離島にある道立高校に配布し、受信を希望する特例校等において、3年度の受信科目を申請していただいた。
3年度配信教科・科目(予定)はつぎのとおり(研究開発学校のみで実施する科目を除く)。
①国語=国語総合(4単位、古典分野のみの配信可)、古典B(4単位、分割履修可)
②地理歴史=日本史B(4単位)
③公民=倫理(2単位)、政治・経済(2単位)
④数学=数学(3単位)、数学A(2単位)
⑤理科=科学と人間生活(2単位)、物理基礎(2単位)、物理(4単位、分割履修可)、化学基礎(2単位)、化学(4単位、分割履修可)
⑥芸術=音楽Ⅰ(2単位)、書道Ⅰ(2単位)―いずれか一方のみ
⑦外国語=コミュニケーション英語Ⅰ(3単位)、英語表現Ⅰ(2単位)
今後は、申請に基づき、同時に配信する学校や配信時間などの調整を行うとともに、学習内容や授業の進め方等について当該校と打ち合わせするほか、10月に遠隔授業運営協議会を有朋高校で開催し、実務的な内容について協議し、配信に向けて準備を進めることとしている。関係の校長には、関係職員の派遣に配慮いただきたい。
▼遠隔講習の試行配信
夏季休業中に、国語、数学、英語の3教科について、主に大学入学共通テストを受験予定の3年生等を対象に、複数校同時に進学講習をライブ配信した。参加いただだいた学校には、あらためて感謝申し上げる。
参加校は寿都、穂別、松前、美深、豊富、清里、雄武、江差。
12月に冬季講習の配信を予定しており、国語、数学、英語の3教科について、1・2年生を対象とした発展的な学習を行う計画。
今回のアンケートなどを参考に、実施方法の工夫改善を図っていくので、関係学校には、引き続き協力いただきたい。
▼配信センターの周知
7月に行われた第2回公立高校配置計画地域別検討協議会において、配信センターの概要等について説明し、あらためて、市町村教委や中学校、地域の皆さんに広く周知した。
今後、道教委では、中学生や保護者向けにPR用の動画を作成し、YouTubeなどインターネット上に公開する予定。
関係学校においては、1日体験入学など様々な機会を利用して、当配信センターについて周知していただきたい。
▼今後の主な予定
①9月=3年度配信先学校および配信科目の決定
②10月~=2年度遠隔授業運営協議会(札幌市)、遠隔授業指導力向上研修会(札幌市)、教科別研究協議会(学習内容や進め方等の検討)
③12月=冬季講習の試行配信、3年度配信スケジュール・時間割の公表
運営協議会や研修会の日程および会場については、新型コロナウイルス感染症への対応状況に応じて、変更となる場合がある。
【ICT機器の整備】
▼道立学校教育通信ネットワーク環境整備工事
道教委では、国のGIGAスクール構想を踏まえ、本年度中に、各道立高校の各普通教室および職員室に、学習系ネットワークとして無線LAN(Wi―Fi)アクセスポイントを設置するほか、すべての校内ネットワーク配線を新規に敷設することとしており、現在、各学校において、現場調査を実施している。
各学校においては、事前のアンケートや調査の立ち会いなどに対応いただき感謝申し上げる。
今後は、9月から3年2月の期間で工事を行うこととしているが、工事が完了した学校から順次、ネットワークを利用できるように調整中。
▼スクールネットにおけるクラウドサービスの利用
現在、スクールネットにおいて、セキュリティ対策上、外部サービスの利用を制限しており、各学校からのクラウドサービスの利用に当たって、不便をかけているが、工事後は、普通教室はもとより、職員室からも学習系ネットワークからクラウドサービスが利用可能となるよう整備を進めている。
道教委では、9月末を目途に仮称「校内ネットワーク手続要領」などを作成して、利用可能なクラウドサービスやアカウントの配布手続き、管理方法などを示し、各学校が円滑にクラウドサービスを利用できる校内体制の整備に努めていく。
各学校においては、手続要領を参考に、クラウドサービスの利用に向けた校内体制を整備するとともに、校内研修を行うなどして、クラウドサービスを利用した効果的な授業の工夫改善に取り組んでいただきたい。
▼学びの質を高めるICT活用パートナーシップ事業
道教委では、道内の高校における教育活動の充実を目指し、8月21日に、㈱NTTドコモ北海道支社とICTを活用した教育の推進に関する連携協定を締結し、学びの質を高めるICT活用パートナーシップ事業を実施。
事業の概要は、つぎのとおり。
▽モデル校=札幌北高校
▽実施期間=2年9月1日~3年3月31日
▽使用導入端末(ドコモ提供)=Chromebook(セルラーモデル)80台
〈事業の主な内容〉
▽学習支援
①教科「情報」の普通教室における生徒1人1台端末を用いた授業の方法を検証
②各教科および総合的な探究の時間等におけるクラウドサービス(G Suite for Education)等を活用した探究的な学習や協働学習等の研究③授業と家庭学習を連動させた新しい学習スタイルの検討
▽通信状態や通信環境に応じた端末の活用方法の研究
①スクールネットに接続したWi―FiとLTE回線の併用による安定した通信状況の把握と検証
②Wi―Fi環境のない場所におけるLTE回線によるタブレット端末の効果的な活用方法の研究
▽実証事業の成果の分析と普及
①生徒1人1台のタブレット端末を用いた授業方法等を道教委ウェブページへ掲載
②実証実験の結果を取りまとめた報告書の作成・情報発信
③各種研修会等への情報提供および道立学校や市町村教委の取組への支援
道教委では、本事業の研究結果を有効に活用し、道立学校におけるICT環境の充実に努めるとともに、ICTを活用した優れた実践事例を全道に発信するので、各学校においては、学びの質の向上に向けた取組の一層の充実に役立てていただきたい。
《健康・体育課》
【新型コロナウイルス感染症への対応】
6月に学校が再開し、児童生徒等の感染事例が数件報告されている。生徒または教員に感染者が出た場合、必要に応じ、保健所が学校に調査に入り、感染者の行動履歴やマスクの着用状況、昼食時の密の状態、日常の換気や消毒の状況などによって、濃厚接触者や消毒の範囲などを判断することとなる。
報告によると、実際に感染症対策がしっかりなされていた学校は、日常の学校生活を送っていても濃厚接触者がほとんどいないと判断され、消毒も臨時休業の実施も必要がないとされた例があった。
一方、感染症対策が徹底されていない場合は、濃厚接触者の数が多くなり、臨時休業の必要性が高くなると考えられる。
各学校においては、あらためて衛生管理マニュアルの定着状況を確認し、感染症対策を徹底するようお願いする。
なお、2年8月11日付教健体第406号で通知したとおり、衛生管理マニュアルは改訂された。
【熱中症事故の予防】
学校における熱中症の事故防止に向けた取組は、近年、特に重要な課題となっていることに加え、本年度は、新型コロナウイルスの感染防止によって、マスクの着用を含めた「学校の新しい生活様式」が導入されていることから、熱中症事故について、道民やマスコミの関心も一層高いと推察される。
国の衛生管理マニュアルにおいて、マスクの着用について「気温・湿度や暑さ指数が高い日には、熱中症などの健康被害が発生するおそれがあるため、マスクを外す」と明記された。熱中症も命にかかわる危険があることを踏まえ、熱中症への対応を優先させる必要があることから、これまで以上に小まめに水分補給を促したり、暑さを避けたりするなど、積極的に熱中症予防の取組を進めていただきたい。
【体育および保健に関する参考資料】
新型コロナウイルス感染症に対応した教育活動の実施については、これまでも各種通知等を踏まえ対応いただいているが、『衛生管理マニュアル~“学校の新しい生活様式”』では、感染症対策を講じてもなお感染のリスクが高い学習活動として、体育における生徒が密集する運動や近距離で組み合ったり接触したりする運動と示されているとともに、科目「保健」で取扱いのある感染症の学習を充実させることが求められていることから、このたび「体育および保健に関する参考資料について」(2年7月31日付事務連絡)を送付した。ついては、体育および保健指導の工夫・充実のための参考資料として活用いただきたい。
【授業改善セミナー(保健体育)】
新型コロナウイルスの感染状況を踏まえ、道央、道南、道北、道東の各ブロックで授業改善セミナーを開催する予定。現在、授業実践スペシャリストおよび会場校の選定を進めており、あらためて、関係学校には、理解と協力をいただきたい。
授業改善セミナーについては、参加者の旅費は措置されないが、例年、参加者の満足度が非常に高い実践的な研修であり、保健体育科の教員の指導力の向上を図る貴重な機会となっていることから、教員の参加について、配慮いただきたい。
《総務課》
【教職員の不祥事防止】
各学校において、不祥事等の防止に向けた実効性ある取組を実施していただき、感謝申し上げる。その一方で、本年度はすでに、わいせつ行為による懲戒免職処分が1件、金銭事故による懲戒免職処分が1件、体罰による懲戒処分が4件となっており、さらに、飲酒運転の報告や、わいせつ行為による逮捕事案が複数件発覚するなど、憂慮すべき状況となっている。
最近の事案としては、生徒に対する体罰や暴言疑いの事案が連続して報告されている。生徒や保護者からの相談も多く、体罰はもちろんのこと、教員の発言や生徒間トラブルの対応について不十分さがあるとして、処分を求める相談が連続して総務課にもち込まれている。
生徒指導上の留意事項については折にふれ担当課から説明されていると思うが、今一度、各管内の学校に対し、管理職と職員とが必要な情報を共有し、適切に対応するよう周知いただきたい。
【ハラスメントの防止】
パワー・ハラスメントに関し、本年度のパワハラ相談について、管理職からパワハラを受けたというものもあるが、それ以上に同僚職員間でのパワハラに関する訴えが複数寄せられている。
ハラスメントの防止について、各管内の学校に対し、管理職自らが起こさないよう注意するとともに、職員間での人間関係にも気を配り、全職員が気持ちよく働ける職場環境整備に努められるよう、周知いただきたい。
《教育政策課》
【道立学校ふるさと応援事業】
7月に実施した道立学校ふるさと応援事業のアンケートに回答いただき感謝申し上げる。
アンケートは、道立ふるさと応援事業をよりよいものとするため、各道立学校の校長の知見を知るため実施した。
今後、アンケートを集計・分析するとともに、①学校への充当割合が2分の1②学校指定の寄附をした場合、残りの2分の1が高校生の国際交流に充当される③返礼品がないなどという現状の仕組み―について、皆さんからいただいた意見を踏まえ、制度改善の検討を進めていくので承知おきいただきたい。
なお、改善案については、まとまり次第、情報提供等を行っていくので、引き続きお願いしたい。
《教職員課》
【3年度公立高校の校長等の人事資料】
管理職人事に当たり、本年度から身上調書の記載欄の一部を人事調書として新たに整備し、すべての校長、副校長および教頭が作成・提出することとした。
これまでの様式においても異動の意向等を記入することとしていたが、一任とする人が多いなど、人事に対する意向や将来のビジョン等を記載しづらい状況にあったと考えている。
新たな人事調書は、記載欄を「異動希望」「取り組みたい業務」「勤務地の希望」「特に配慮を要する事項」に細分化し、これまで以上に丁寧に各職員の意向を把握することで、より適切な人事配置につなげ、学校の活性化を促すことを目的としているので、自己PRなども含め、積極的に記載いただくようお願いする。
また、人事配置に当たっては、本人希望や所属長意見のほか、人事評価や校長会、教育局、本庁各課などの関係機関の意見、教育指導監の助言などを踏まえた上で、全道的な配置バランスや職員のキャリアプラン、学校や地域の個別事情などを総合的に判断することとしているので、その点についても理解いただくようお願いする。
これらの内容は、2年7月22日付教職第1249号「3年度公立高校および道立特別支援学校の校長等の人事資料について」で通知しているので、承知おきいただきたい。
【勤務時間の実態把握報告】
出退勤管理システムで把握した勤務時間等については「道立学校職員にかかる勤務時間の実態把握報告について」(2年6月9日付教職第692号通知)に基づき、毎月、教職員課あて報告いただいているが、今後とも引き続き、期日までの提出について協力いただきたい。
【1年単位の変形労働時間制】
7月、文部科学省から給特法施行規則の制定および指針の改正等について通知があったため、各道立学校あて周知した。今後、当課で条例改正等の検討を行っていくこととなるので、承知おきいただきたい。
《道立教育研究所》
【研修講座】
8月3日から14日までオンデマンド形式で実施したカリキュラム・マネジメント実践研修について、参加協力いただき、感謝申し上げる。
このあとは、9月に各会場において分散研修で実施するが、引き続き協力をお願いする。
道研では、新しい研修様式として、①集合研修②分散研修③オンデマンド研修④遠隔研修(Zoom、クラウド等の活用)⑤紙上研修―の5つの形態を組み合わせた講座を企画している。高校対象の講座として、カリキュラム・マネジメント実践研修、「総合的な探究の時間」充実研修があるが、初めての企画なので試行的な内容となっている。
生徒一人ひとりの学びを深めるための学校経営・運営、授業改善に向けた研修として支援していきたいと考えているので、多くの先生方に参加していただきたい。
また、受講後の評価についても、次年度以降の研修講座の企画の参考としていきたいと考えているので、きたんのない情報をいただきたい。
前年度までの「管内高校教育研究会連携」研修講座については、2年8月5日付教研第681号で、「管内高校教科指導力向上」研修講座として実施する旨通知した。高校学習指導要領の改訂に向け、その趣旨等を踏まえた授業改善につながる教科指導力向上や、教科担当者相互の継続的なネットワークづくりに資する研修講座として、管内高校教育研究会と連携しながら実施していきたいと考えている。
対象となる管内(日高、檜山、留萌、宗谷、根室)においては積極的に活用していただきたい。
(道・道教委 2020-09-01付)
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