札幌市議会決算特別委ダイジェスト(札幌市 2020-10-28付)
◆情報共有を迅速化 心理的虐待も登録 子育てデータ管理 各システムの連携
26日の札幌市議会第1部決算特別委員会では、子育てデータ管理プラットフォームの構築の推進に向けた各システムの連携について質疑が行われた。
子育てデータ管理プラットフォームとは、母子保健と児童相談の情報を共有化し、児童虐待の未然防止のための新たなシステムを構築すること。
児童相談所と区の健康子ども課、家庭児童相談室のほか、母子保健などを管理する健やか推進係の3つのシステムの情報を統合し、基本情報やリスク評価の共有を目指す。
市では子どもや保護者の相談にかかわる職員たちからヒアリングし、現場の課題をプラットフォーム機能に反映させたほか、各担当の職員からヒアリングを重ねてきた。
山本健晴児童相談所担当局長は、支援対象者情報を統合することで、乳幼児健診の受診状況、各種福祉支援状況などを画面に一覧表示するなど基本的な情報共有の迅速化を図るとした。
点数化することで、リスクが高い場合に警報を鳴らすアラート機能について、面前DV(ドメスティックバイオレンス)など心理的虐待についても情報として登録し、危険度の判定に活用する考えを示した。
町田隆敏副市長は「部局をITでつないで連携し、組織の中で抜け落ちる危険がないようにしたい」と述べた。
前川隆史委員(公明党)の質問に対する答弁。
◆子育てサロンなど引き続き推進へ 子どもの屋内活動
26日の札幌市議会第1部決算特別委員会では、屋内での子どもの活動について質疑が行われた。
市では、放課後の子どもの遊び場を提供する観点から、18歳までの子どもが様々な遊びや世代間交流を体験できる児童会館事業を展開。また、就学前の子どものいる子育て世帯を対象とした取組として、社会全体での子育て支援の充実という観点から児童会館などにおいて、子育てサロン事業を展開している。
具体的な取組としては、児童会館事業において、ダンスやスポーツといった体を動かすクラブ活動を行っているほか、スポーツ大会を開催するなど、屋内で子どもがのびのびと遊べる事業を展開。
また、子育てサロン事業において、平成28年8月、都心部に利便性の高い常設の子育てサロンを開設したほか、児童会館等のホールを活用して体を動かすことができる環境を整えるなど、子育て家庭を支援する取組の充実を図っている。
子ども未来局の山本真司子ども育成部長は「既存の施設において、効果的な事業を展開することで、子どもたちが日常的に体を動かす活動などを行うことが可能となっており、今後も引き続き、既存の取組をしっかりと進めていきたい」との考えを示した。
くまがい誠一委員(公明党)の質問に答えた。
◆今冬の実態調査は教育現場が対象に ヤングケアラー
26日の札幌市議会第1部決算特別委員会では、ヤングケアラーの実態調査にかかる市の検討状況について質疑が行われた。
家族にケアを要する人がいる場合、家事や家族の世話、介護、感情面のサポートなどを行っている18歳未満の子どもを意味するヤングケアラーについて、市では9月から保健福祉局と子ども未来局、市教委で連携し、実態調査の手法など随時研究を進めている。
また、厚生労働省が今冬にも行う予定の実態調査は表面化しにくいヤングケアラーの現場をつかむため、教育現場を対象に行うとしている。
子ども未来局の山本真司子ども育成部長は厚労省が行う実態調査の内容や手法を踏まえ、子どもの権利総合推進本部などを活用することで引き続き検討を進めていくとした。
うるしはら直子委員(民主市民連合)の質問に対する答弁。
◆休園含めた対応 素案作成し備え 保育所等の災害対応
26日の札幌市議会第1部決算特別委員会では、保育所等における災害時の対応について質疑が行われた。
市では、これまで災害発生時に、台風への警戒に関する情報提供や、災害時に対象となる各保育所に個別に被害状況を確認するなどの対応を行ってきた。
一方、北海道胆振東部地震の大規模停電によって連絡手段を十分に活用することができなかったことから、停電時における連絡体制の確保が課題と認識。このため、各保育所と市との連絡が停電時でも可能となるよう、令和元年度に保育所等における非常用電源購入に対する補助を行った。
本年度からは、市内全園を対象に災害時を想定した訓練を開始し、初回は各保育所が被災状況の報告書を作成し、市に報告する情報伝達訓練を実施。報告先、送付タイミング、報告書記載に当たっての注意事項などを確認した。
子ども未来局の加茂貴裕支援制度担当部長は「子どもたちの安全確保のため、各保育所が休園判断を含めた対応を行える基準を作成し、現場の状況に応じて、より速やかに判断することが必要」との認識を表明。その上で、厚生労働省から示されている臨時休園に関する考え方や他都市の事例等も参考に、積雪寒冷地である札幌市の状況等も踏まえながら、現在、素案の作成を進めていることを報告した。
基準の策定に当たっては「素案の作成後に各団体と協議するなど現場からの意見を伺い、可能な限り反映させていきたい」との意向を表明。「災害時の基準を策定した際には、保育所等のみならず保護者にも速やかに周知を行い、今後の災害に備えていきたい」との考えを示した。
恩村健太郎委員(民主市民連合)の質問に答えた。
(札幌市 2020-10-28付)
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