道高教組・道教組 道教委に緊急要請 少人数学級で3密回避を 必要な教職員の配置求める(関係団体 2020-11-10付)
道高教組(尾張聡中央執行委員長)と道教組(川村安浩執行委員長)は4日、道教委に学校における新型コロナウイルス感染症対策に関する緊急要請書を提出した。道教委が各道立学校長や市町村教委教育長に対し、3つの密の回避や身体的距離の確保などを求める通知を発出していることについて、40人学級のままでは対応が困難とし、「早急に3密が回避できるような少人数にすることが最優先」と強調。20人以下の少人数指導が可能となる教職員配置などを求めた。要請書の概要はつぎのとおり。
新型コロナウイルス感染症の新規感染者数増加に伴い、道は10月28日の道新型コロナウイルス感染症対策本部会議で警戒ステージ2に移行することを決定し、特措法に基づく協力を道民に要請した。
その後も、11月2日には96人の感染が発表されるなど、感染者の増加に歯止めがかかっていない。
学校での集団感染を含め、児童生徒や教職員の感染も相次いでおり、何よりも児童生徒の命と健康を守る対応について、ありとあらゆる対策を講じることが必要である。
道教委は、新型コロナウイルス感染症の警戒ステージ移行に伴う道立学校の行動基準について各道立学校長に通知するとともに、市町村教委教育長に対しても通知を発出し、適切な対応を求めている。
通知では「3つの密の回避」「身体的距離の確保」などの対応を求めているが、40人学級のままでは対応が困難であり、教室を早急に3密が回避できるような少人数にすることが最優先である。
学校での感染拡大防止はもちろんのこと、様々な対応に負担が生じている児童生徒の声に耳を傾け、不安な気持ちや悩みを受け止めるためにも、各学校の実態に応じた柔軟な教育課程編成を保障することが重要である。また、教職員の感染拡大防止の対策も必要である。
以上のことから、道教委として必要な対策がとられるよう、つぎのとおり要請する。
▼新型コロナウイルス感染症が児童生徒や教職員にも広がっている状況を踏まえ、何よりも児童生徒の命と健康を守る対応を優先し、つぎの条件整備を早急に行うこと
▽10月28日に通知した行動基準が示す「3つの密の回避」「身体的距離の確保」が十分に行えるよう、20人以下の少人数指導が可能となる教職員を配置すること。状況によっては、分散登校の実施などをはじめ、児童生徒の身体的距離の確保を徹底すること
▽20人以下の少人数学級を早急に実現し、その際に必要となる教職員を追加配置することを国に強く要望すること
▽学習支援員やスクール・サポート・スタッフ等を含む教職員を希望するすべての学校に配置し、学校の実情に応じて柔軟に活用できるようにすること。また、現在配置されている加配教員についても柔軟に活用できるようにすること
▽少人数指導実施のため、空き教室や空き校舎、近隣施設、プレハブ校舎などを積極的に活用するとともに、現在進められようとしている学校の統廃合や学級削減の計画を凍結すること
▽感染拡大防止に必要な物品や施設設備、特別な配慮を要する児童生徒に応じた必要な物品を確保し、学校の要望に応じた物品配備など柔軟に対応できるようにすること
▽保健室での対応に必要な人的財政的支援を行うこと。養護教諭の複数配置や、医療的ケアを必要とする児童生徒のためのスタッフの配置・増員と必要な物品確保を行うこと
▽発熱等感染が疑われる子どもが待機(隔離)する場所を保健室以外で確実に確保するなど、ゾーニングの確立を行うこと
▽10月28日に通知した行動基準が示す「健康観察表の確認」について、登校時、校舎に入る前、玄関内などで行うことは3つの密の回避などの点で問題があるため、各学校での柔軟な対応に任せること
▽児童生徒の感染が判明した場合、できるだけ広い範囲でPCR検査を公費で行うこと
▽臨時休校となった場合、休校分の授業時数の機械的な回復や冬季休業期間の短縮を強制しないこと
▽宿泊行事等の変更に際し、キャンセル料や感染対策のため超過した費用については、保護者や教職員の負担とならないようにすること。また、宿泊行事の安全な実施のため、来年度に延期せざるを得ない場合は、必要な引率旅費等を確保すること
▽冬季間も教室の換気が必要であることに鑑み、各学校の暖房費を大幅に増額すること
▽部活動については、生徒の命と健康・安全の確保や教職員が感染防止対策に集中できるような観点を貫き、大会等の開催は慎重に判断するよう関係団体に周知徹底すること
▽高校の通学スクール便やスクールバスについて、可能な限り座席を離すなど、スペースを十分確保するため、バス会社への増便要請、借り上げバスの増車、市町村への支援を行うこと
▼新型コロナウイルス感染症の影響による不登校の増加も指摘されていることから、心のケアなども含め、保護者や子どもたちが気軽に相談できる体制を確立するため、必要なスクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーの追加配置を行うこと
▼教職員の感染防止のため、労働環境の改善を行うこと。特に、以下の点の対策を早急に行うこと
▽職員室や職員の作業室を含めた校内で「密」が生じることのないよう、施設・設備を改善すること
▽教職員のPCR検査体制を早急に確立し、感染が疑われる子どもに対応する教職員の感染防止策を強化すること
▽感染症対策などのため深刻な長時間業務となっている教職員の実態は疲労の蓄積(易感染性)につながることから、校内の消毒活動など新型コロナウイルス感染症の対策を行うための専門の担当者をすべての学校に配置するとともに、調査・報告書等の削減や簡素化、諸会議の精選や効率化などの対策を行うこと
▽新型コロナウイルス感染症対策を優先させるため、当分の間、道教委や教育局、市町村教委主催の研修の実施を見送ること。少なくとも、教職員の感染拡大防止の観点から、集合形式の研修を実施しないとともに、オンデマンド形式や遠隔研修の実施に伴い課題提出などの新たな業務を発生させないこと
▽道教委が登校時に求めている健康観察表の確認など、感染拡大防止のための勤務時間外の対応について、すでに実施した対応も含めて、勤務の割り振り変更の対象とすること
▽校内の消毒・換気、床やトイレの清掃などの感染防止策を徹底するために、必要な施設・設備の改善、資材の配給、専門業者の配置を含む人的措置を行うこと
▽妊娠中の教職員や重症化しやすい基礎疾患をもつ教職員等が、感染状況に応じて在宅勤務の対応が取れるよう、教職員の加配など必要な条件整備を進めること
▽感染防止の観点からも教職員全員が定時で退勤できるよう、教職員の緊急加配など必要な対策を取ること
▽学校での新型コロナウイルスへの感染が疑われ、発症した場合は公務災害を認定すること
▽臨時休校等が生じた場合、会計年度任用職員の労働条件に不利益が生じないよう、これまでの通知等をあらためて周知徹底すること
▼感染拡大防止の対応を優先させるため、1年単位の変形労働時間制の導入に向けた議論は、少なくとも感染収束まで行わないこと
(関係団体 2020-11-10付)
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