【解説】富岳　３月９日から本格稼働

（解説 2021-02-12付）

　文部科学省は９日、令和３年度からの共用開始を目指していたスーパーコンピューター富岳を、３月９日から本格稼働することを決定した。同日の記者会見で萩生田光一文部科学大臣は、国民共有の財産として多様な分野で活用されるよう期待し、研究内容によっては高校生などにも開放する考えを示した。

　富岳は理化学研究所と富士通㈱が共同で開発したスーパーコンピューター。昨年５月に理化学研究所への搬入が完了し、システムの調整や利用環境の構築に取り組んでいる。

　未完成の状況においても、新型コロナウイルス感染症への対策に貢献するために、昨年４月から治療薬候補の探索や飛沫・換気のシミュレーションなどの研究に活用。昨年６・１１月のスパコンランキングでは、単純計算性能、アプリケーション実行性能、AI性能、ビッグデータ処理性能の４性能で２期連続の世界１位を獲得している。

　政府は、感染症への対応のほか、国が直面する課題の解決や産業競争力の強化に可能な限り早期に貢献できるよう、供用開始を前倒しする方針を決定。本年度第３次補正予算で必要な経費を措置した。

　９日の記者会見で萩生田文科大臣は、搬入から本格稼働まで４００日を要した前回のスーパーコンピューター京と比べ、３００日で稼動開始となるとし、関係者の尽力に謝意を表明。「ポストコロナの時代を切り拓くため、フルスペックの富岳を国民共有の財産として、健康、医療、防災、減災、エネルギー、ものづくりなど様々な分野で利用し、世界を先導する成果を創出できるよう取り組んでいきたい」と述べた。

　また、「高校生、さらに中学生、小学生でも、富岳を使うことにふさわしい研究があれば大いに開放したい」との考えを示した。

(解説 2021-02-12付)